岩波書店と北京政府 | 人差し指のブログ

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「人間は一生学ぶことができる」
谷沢永一・渡部昇一
PHP研究所2007年5月発行・より


谷沢永一   チャイナの古典に惑わされないという根幹を最初に定式化したのが、津田左右吉でした。

昭和二十一年の十月だったか、とにかく左翼の炎が燃えている時期に、「支那の史といふもの」という論文を『歴史学研究』に載せました。

『歴史学研究』は左翼の歴史家の集団で作っていたから、本当は却下したかったのだろうけれども、

さすがに相手が津田左右吉だと、どうしようもなかったのかもしれません。

『支那の史といふもの』で津田は、シナには民族がない、民族の歴史を持たないシナ人に世界史の観念がないのは当たり前である、

世界史の観念のないシナ人に民族の観念が生じなかったのもまた当たり前であると言わなければならない、と指摘しました。

同時に、シナの歴史には根拠なり出処なりを示していないということを注意せられよとも言っています。

  ちなみに、津田左右吉が歴史について書いた論文を集めた『津田左右吉歴史論集』という文庫本が岩波文庫から出ました。

その広告を見るなり注文したら、案の定「支那の史といふもの」と、もう一つ大事な論文の「アジアは一つではない」という二つがきれいに抜いてありました。

それを除くことによって、出版社としての姿勢を北京政府に明示したのでしょう。

光が丘公園(東京・練馬)の紅葉1月5日撮影

光が丘公園の紅葉