捨て犬のシロちゃん その1 | ひとさんと愉快な仲間たち

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シロちゃんは、真っ白な野良犬でした。

4月のある日、お姉ちゃんがクンの散歩で少し離れた隣町まで行った

日でした。散歩から帰るなり、「どうしょう!クンの後に白~い犬が連いてきてん。

野良犬みたいで、首輪も付いてへんし…」

私が家の外へ出ると、もう白い犬はどこにもいません。

「あれぇ?どこへ行ったんかなぁ~?」



次の日から、白い犬をよく見かけるようになりました。

他の人が散歩をしていると、同じように散歩をしているつもりなのか、

ず~と連いて歩きます。

「へんな犬やなぁ~」近所の犬好きな人は口々にそういいました。

3軒先に住んでいる犬のピコ(2歳♂)を、兄弟と思ったようで

いつの間にか門の隙間から入っては、エサのおこぼれを頂戴し一緒に遊び、一緒に散歩します。

けれども、人には全く懐かないのです。

そちらのご主人が勝手に入ってくると怒るので、ご主人がいない昼間だけ入っていくのです。

夜は農作業小屋の軒下で眠っているようでした。


ある日、ペリグリームチャムのおまけに付いていた、ボーンをクンにあげました。

クンはあまり興味がないので、食べずに犬小屋に入れたままです。

私が朝の散歩から帰ってくると、犬小屋を背にボーンを咥えて嬉しそうに走り去る、

白犬の姿を見ました。とても可哀想になり、なんとか懐かせてエサをあげたいと思いました。

そうこうしているうちに、農繁期と言う事もあり近所の人が

「あんな犬にうろうろされたら、困る。田や畑に勝手にはいるし、

小さい子、噛んだらどうするんや。わし保険所に言うたってん。

今日か、あさってには捕獲しにくる!」と言いました。

保険所に行った犬の運命は悲しい..というのは誰でも知っているのですが…。

懐かない犬を保護は、如何考えても無理なのです。

シロ犬は、おとなしい子でした。人を襲うなんて出来るはずもないのですが、

田や畑の人は倣っておいたら何をするか分からない。

実際、その2日位まえ畑に置いてあった明らかに毒が入っていると思われる

ドックフードがありました。それもひどいと思いましたが、

私はとにかく捕まらないでほしいと、ひそかに思いました。

強運にも白犬はその日に姿を現しませんでした。保険所の人は捕獲を諦めて帰りました。

何だかほっとしました。


何日かして、犬好きの岡田さんに会いました。岡田さんは白犬の事をよく知っていて、

可哀想なシロを何とかしたい!後ろ足を怪我をしている、雨水でも飲んだら破傷風になってしまう、

それにまだ子犬(生後四ヶ月位紀州犬が入っているので子犬でもうちのクンより大きい)なんだし。

愛護協会にTELをして保険所に捕獲を見合わせるように頼んであるけど、早く保護しないと

いくら愛護協会でも待ってはくれない…。そう言いました。

岡田さんがとにかく助けたいと言います。

岡田さんは、今まで私財をなげうって可哀想な犬助けをしてきた奥さんです。

彼女は、今まで犬の保護を続けてきたと言います。その為に、夫に離婚されたとも言います。

それでも好きな犬のために力になりたい。人生は、犬そのものだと言いました。

私は岡田さんの言葉に感銘を受けました。

私も今まで、猫助けはしてきましたが、その為に何を犠牲にした訳でもなく

ただ、自分の出来る範囲でやってきました。

それで私もシロ犬の保護への協力をする事にしたのです。