参考資料3151 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

トリテームとの謎の出会い
「ノストラダムスはみずからの年代学をつくり、みずからが予言している大異変の日付をわれわれに与えるために、黄道上の曲線の上にある黄道帯周期をわれわれがつくりあげることができるように、この日付を太陽暦年で示さなければならなかったのである。もちろん、こうした基礎知識がなければ、いわゆる”最後の大滅亡”の日付、つまり黄道帯の魚座の周期が終わって、次の水瓶座の周期が始まる日付を得ることはできないのだ。
 しかし、ノストラダムスはいたるところで年代学的問題や予言詩の暗号についてふれ、謎を解き明かすことができるように仕組んでいる。遺言書やセザールに宛てた手紙など、ノストラダムスの残した作品のさまざまな場所にあいまいな方法でくりかえされている同じデータがあるのを見出すとき、われわれは正しい道筋をたどっていることをあらためて確認するのだ。
 ノストラダムスは、われわれをだまそうとするほら吹きではない。彼はまさに、予言の謎を解き明かそうとする者の歩みを一歩ずつ真実に導いていく案内人なのである。
 それでは、ノストラダムスと同じころに、いやそれ以前にこうした神秘年代学をすでに作品のなかで著していたという謎の司教、ジャン・トリテームとは、いったいいかなる人物であったのだろう。そして、また、ノストラダムスとのつながりはあったのだろうか。
 ノストラダムスが生まれたとき、トリテームは41歳であった。トリテームが死んだ時点でなおノストラダムスは、13歳にもなっていない。したがって、当然、二人のあいだには個人的な接触はなかったと考えてよいだろう。経歴を見ると、二人はまったくちがった道をたどっていることがわかる。
 トリテームは極貧のまっただなかに生を受け、修道院の貧民救護所に育ち、ある君主の保護のもとに予言を書きつづけたのだ。神からの啓示をそのまま表現するには危険が大きすぎる時代であったので、彼は巧妙に文章のなかに秘密を隠すことができるように、謄写学の教師になったそうだ。いまだに、だれも彼の不可解な作品のベールを剥ぐことはできないでいる。
 一方、ノストラダムスは、裕福なユダヤ人の家系に生まれ、つねに安定した社会的身分を得ていた。医師と天文学者という職業を選び、この二つの肩書きのおかげで、あらゆる場所に出入りすることが可能だったし、カトリーヌ・ド・メディチとフランス国王一家の擁護を受けることもできた。にもかかわらず、教会や聖職関係者には疑わしい目で見られていたという。
 トリテームとノストラダムス、この偉大な二人の予言者は、このように正反対の生き方をしながらも、着実に同じ目的に向かって歩んでいたのである。二人はほぼ共通の時代に生きていた。それはひじょうに困難な時代といえるだろう。王政は栄華をきわめ、人心は荒廃しきっていた。とても悲観的な予言などに耳を傾ける者はいない。そんな時代にもかかわらず、彼らはみずからの作品を救うことに成功している。ひとりは、神父という仮面の下に不可思議な謄写学を用いて自分の知識を隠しながらであり、もうひとりは、まるでなにごともなかったかのような顔をして、絶対に解き明かされないような暗号通信法で、自分の作品を謎のなかに閉じこめることによって・・・。」
「ノストラダムスの遺言書」ダニエル・ルゾー著・流 智明監修より

感想
>遺言書やセザールに宛てた手紙など、ノストラダムスの残した作品のさまざまな場所にあいまいな方法でくりかえされている同じデータがあるのを見出すとき、われわれは正しい道筋をたどっていることをあらためて確認するのだ。

前回は省略したが、例えば、「セザールへの手紙」の一部と1巻62番の詩の内容は明らかにリンクしているだろう。

「40. さてわが息子よ、(以上の話を)終えるに当たって、お前の知覚の将来の許容量のためにあまり深入りした寄り道はしないでおく。(次に)私は、文芸が非常に大きく比類のない損失に見舞われるであろうことを見出す。であるので、世界的な大変動に先立って大洪水や高水位の大浸水が起こり、水で覆われない土地がほとんどなくなるであろうこと、そしてそれが長く続き、エノグラフィとトポグラフィ〔=葡萄栽培地やその他の土地利用図?〕を除けば、全てが失われるであろうことを見出すのである。」
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/2649.html

詩百篇第1巻62番
ああ、文芸が大損失を蒙るだろう、
ラトニアの周期が完成する前に、
火と大洪水、より甚だしくは無知な王杖によって。
長き諸時代を経てしか、回復されないだろう。
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/770.html

因みに、「ノストラダムスの大事典」のsumaru氏は権力者によって学芸が迫害されると解釈している(念のため、sumaru氏は予言だとは思っていない)が、私は誤訳だと考えている。

「ピエール・ブランダムールが指摘したように、ノストラダムスの予言には、しばしば無知な権力者によって学芸が迫害される様子が登場している(第4巻18番、第6巻8番など)。」
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/770.html(「同時代的な視点」という所)

3,4行目が「ノアの大洪水」のようなイメージなのに1行目の「文芸」は規模が合わないだろう。そこで、原語を調べると「lettres」。手元の辞書には、
「1 文字;字体;[印]活字,[古]筆跡,2 字句,字義;[原]文,文面;[版画の]銘,題辞,3 手紙,書簡,4 [複数で][文史][17世紀の書簡文作家・現代の著名作家の]書簡;書簡体の作品,5 公式書状;令状,通達,6 [複数で]文学,文芸;文科)」
しかないが、古語辞典には「Bonnes lettres」で「l'ensemble de la culture des Anciens.」(古代人の文化全体。)「Lettres humaines」で「l'ensemble du savoir sur l'homme que l'on trouve dans les ouvrages.」(本に書かれている人間に関するすべての知識。)「Les lettres sainctes」または「Les lettres divines」で「l'Écriture sainte.」(聖書。)とあるので、「人類の文化全体」と解釈した方が良いだろう。

詩百篇第1巻4番
世界に一人の君主が産み出されるが、
その平穏と生涯は長くはないだろう。
そのとき釣り舟は失われ、
最大の損害に見舞われるだろう。
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/1129.html

4行目が「学芸の迫害」だけだとは思わないだろう。念のため、3行目の「釣り舟」は真のキリスト教会(復活した原始キリスト教会)の比喩の可能性が高い。

ところで、素朴な疑問だが、1巻62番の詩の「より甚だしくは無知な王杖によって」なんて、現代の王族にはあり得ない事である。もしかしたら、ノストラダムスが「王」と呼ぶのは「再臨したイエス」の事なのかもしれない。

補足
「杖(立法者)とは律法の探究者である。背神の時代のあいだ・・・・時の終わりに義の教師が到来するまで、彼らが終始その道を歩むよう、立法者は掟を公布した。その掟をたよりに井戸を掘るために来る者が、民のうちの貴人である。」(『ダマスコ文書』写本A第6章7-11節)
引用元:https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-11115651590.html

百詩篇第6巻24番
マルスと王杖が交会するだろう、
巨蟹宮の下で。凄惨な戦争。
少し後で新しい王が聖油を塗られるだろう。
その者は長らく地上に平和をもたらすだろう。
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/154.html

「王杖」が「メシア」と関係している事は確かである。

「「王杖」が神々の王ユピテルを象徴したもので、この場合木星を表しているとする点は、星位と解釈する場合には信奉者側も含め異論がない。」
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/154.html

詩百篇第10巻73番
今の時代は過去とともに、
偉大なユピテル主義者に裁かれるだろう。
世界は後に彼に疲弊させられ、
そして教会の法曹家により不誠実とされるだろう。
引用元:https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/1124.html

10巻42番の詩
Le regne humain d'Angelique geniture,
Fera son regne paix vnion tenir:
Captiue guerre demy de sa closture,
Long temps la paix leur fera maintenir.
天使のような子供の人間的統治が、
その王国に平和と統一を保たせるだろう。
戦争が終結の道半ばに置かれる
長い間、平和が彼らを維持させるだろう。
引用元:https://ameblo.jp/hitorinomeaki/entry-12810364495.html

最終的には「偉大なユピテル主義者」の息子が平和を維持するのだろう。

おまけ