参考資料1062 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

エルサレム入城 その5
「さて、神殿への道は、地方から集まってきた人々の群れで昨日にまさるほど埋まっていた。お宮の境内には、そなえ物にする鳩や羊をならべた商人、両替屋などが軒をならべていた。
 イエスはじっとこのありさまを見ていたが、いきなり中庭のまんなかに進み出ると、はげしい怒りをこめて叫んだ。
「神の宮は、祈りをささげる家であるのに、きみたちはそれを強盗の巣にしてしまった。」(マタイ伝21)
 弟子たちもついぞ見たこともないほどの、すさまじい見幕だった。イエスは縄切れを拾いあげると、鳩を追い、羊をひきだし、両替人の屋台までひきたおした。こうしてとうとう商人たちをすっかりお宮の外においはらってしまった。
 神官や商人たちは、腹をたてたが、しばらくはイエスの勢いに気をのまれて手がだせなかった。
 そのうちに祭司長、律法学者、長老たちが出てきて、イエスを咎めた―――何の権威によってこういうことをするのか、誰からそういう権威を授けられたのか、と。イエスは高びしゃに反撃した。
「一つだけたずねるから、それに答えてほしい。そうしたら、何の権威によってわたしがこれらの事をするのか、あなた方に言おう。ヨハネのバプテスマは天からであったか、人からであったか。」
 祭司たちは答えられなかった。天からだと言えば、なぜ彼を信じないで見殺しにしたかを、イエスに突っこまれるだろう。そうかとて、人からだと言えば、ヨハネを真の予言者と信じている民衆が怒るにちがいないからだ。
 するとイエスは言った。「それなら、わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたには言うまい」と。
 たくみといえばたくみな応待だが、最初から挑戦的なのがわかる。この点を十分に理解するには、聖書の記述からだけでは無理で、エルサレムの神殿によっていた祭司たちとパリサイ派サドカイ派などに対する、エッセネ派その他の―――洗礼者ヨハネやイエスその人をも含めての―――分離派ないし異端派との根ぶかい反目、さらにその背後にある北王国(ガリラヤ、サマリヤなど)と南王国(ユダヤ、エルサレム地方)以来の対立を考えなくてはならないだろう。
「キリスト教は、南北二王国の分裂以来、すでに数世紀にわたってユダヤ教内部に起こりつづけていた分裂の過程を強めただけのことである」と、「死海写本とキリスト教の起源」の著者ブラックは言っている。」
「聖書物語・新約物語」山室静著より

感想
>弟子たちもついぞ見たこともないほどの、すさまじい見幕だった。イエスは縄切れを拾いあげると、鳩を追い、羊をひきだし、両替人の屋台までひきたおした。こうしてとうとう商人たちをすっかりお宮の外においはらってしまった。

この著者は色々な対立関係があるからイエスがわざと挑発的な態度を取ったと考えているようだが、イエスは次元が違くて本当に「天の父」の家を汚すなと考えていたのだろう。

「12.それから、イエスは宮にはいられた。そして、宮の庭で売り買いしていた人々をみな追い出し、また両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえされた。
13.そして彼らに言われた、「『わたしの家は、祈の家ととなえらるべきである』と書いてある。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている」。
14.そのとき宮の庭で、盲人や足なえがみもとにきたので、彼らをおいやしになった。
15.しかし、祭司長、律法学者たちは、イエスがなされた不思議なわざを見、また宮の庭で「ダビデの子に、ホサナ」と叫んでいる子供たちを見て立腹し、
16.イエスに言った、「あの子たちが何を言っているのか、お聞きですか」。イエスは彼らに言われた、「そうだ、聞いている。あなたがたは『幼な子、乳のみ子たちの口にさんびを備えられた』とあるのを読んだことがないのか」。」
「マタイによる福音書」第21章12節~16節

そして、自分が天の父の息子である証拠として盲人や下半身麻痺の人を一瞬で治癒したのだろう。また、旧約聖書に書いてある通りの事が自分には起こっているという事も。

>神官や商人たちは、腹をたてたが、しばらくはイエスの勢いに気をのまれて手がだせなかった。
 そのうちに祭司長、律法学者、長老たちが出てきて、イエスを咎めた―――何の権威によってこういうことをするのか、誰からそういう権威を授けられたのか、と。イエスは高びしゃに反撃した。

因みに、原文を読むと日にちも変わっているし説法の事を言っているのである。

「23.イエスが宮にはいられたとき、祭司長たちや民の長老たちが、その教えておられる所にきて言った、「何の権威によって、これらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。
24.そこでイエスは彼らに言われた、「わたしも一つだけ尋ねよう。あなたがたがそれに答えてくれたなら、わたしも、何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。
25.ヨハネのバプテスマはどこからきたのであったか。天からであったか、人からであったか」。すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。
26.しかし、もし人からだと言えば、群衆が恐ろしい。人々がみなヨハネを預言者と思っているのだから」。
27.そこで彼らは、「わたしたちにはわかりません」と答えた。すると、イエスが言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい。」
「マタイによる福音書」第21章23節~27節

>たくみといえばたくみな応待だが、最初から挑戦的なのがわかる。

別に説き伏せるための技術ではなく、洗礼者ヨハネを天からと言えば、私も同じ天の父から命じられた事を話しているだけだと言い、洗礼者ヨハネを人からと言えば、「群衆が恐ろしい。人々がみなヨハネを預言者と思っているのだから」を越えて挑んでくるのだから本気を出して相手をしてやろうと試しているだけだろう。

>「キリスト教は、南北二王国の分裂以来、すでに数世紀にわたってユダヤ教内部に起こりつづけていた分裂の過程を強めただけのことである」と、「死海写本とキリスト教の起源」の著者ブラックは言っている。

いや、次元の違う存在が現れてどうしようもない状態になっていたと思うよ。だから、冤罪のような罪で磔刑にされて殺されたのだろう。ただし、それも計算の上という次元が全く違う「神の計画」。(洗礼者ヨハネ自体が凄い民衆の支持を得ていて、その彼が自分はメシアではなくイエスこそがメシアと述べていたのだから、推して知るべきだろう。他にも死者の復活とかからもね。)

おまけ