数学もお笑いも意外なところで役に立つ
「本書は数学が嫌いという人を対象に書かれた数学お笑いの本である。しかし数学が嫌いな人は、そもそもこの本を手に取らないだろう。想定した読者対象に本書を手に取る人はいないという変わったコンセプト。この状態を数学では「購読者の集合は空集合である」と表現する。
数学という科目は嫌われている。たまに数学好きという人がいても、それを隠していることが多い。数学好きというだけで変人扱いされてモテないからである。
数学が嫌われる理由は試験にある。私も試験は苦手だった。時間に迫られながら問題を考えるときの、あの切迫した感じは今思い返してもイヤなものである。
試験との関係を外して数学自身を見よう。それなりに面白いものである。数学は間違いようのない世界を扱うので、これほど頼りになるものはない。数学者が行政改革の司令塔になっていたり、世の中で意外なほど役に立っているのだ。しかしそれを人は知らない。
ここに数学を試験から解きはなち「お笑いの世界」から見てやろうという人があらわれた。本書のメイン著者・大輪教授である。「大輪教授」は芸名だから、「教授」は名前の一部。実際、この本の共著者名は「大輪教授」＋「飯高茂」となっている。
教授（以下、「大輪教授」を教授と呼ぶ）は数学を世に広めることを使命と信じて生きかつ成功しているので、その人気を利用しようという大学が出てきて、教授として採用すると言いだしても不思議はない。すると彼は「○○大学 大輪教授教授」という名刺を持つことになる。
数学は難しいから嫌われる。それならやさしくしてやればいいだろう、という人がいる。教授はその意見に反対する。
「数学を楽しい、難しくないものにするために、子どもに媚びる必要はまったくないと思う。例えば、円周率を『３．１４』ではなく『およそ３』にしたからといって、子どもが算数・数学に親しみを持つとは思えない。むしろ逆に、『円周率って３．１４からずっとずっと永遠に続いて終わりがないんだよ』と言ったほうが、俄然興味が沸く。『ずっとずっと続くのなら、終わりはどうなっているのだろう？』『数字が何百個も何千個も、いやもっともっと並ぶんだ』『不思議！！』と感じ取ってもらったほうが、よっぽどいい」（大輪教授が数学教育者に向けたエッセイより）
私はこの文章を読んで本当に驚き、かつ感動した。数学者の言いたいことがそのまま書かれていたからである。
数学を職として生きている人は、実はこのようなことを思っているのだが、あえて言わないでいる。こんなことを言うと世間から「また数学者が好き勝手なことを言っている」と叩かれるからである。
お笑いの世界で生きる大輪教授は、実は数学者と同じハートの持ち主なのである。世界広しといえど、数学のお笑いを業にする人は他にいないだろう。世界の数学者が大輪教授の存在を知ったら「日本の数学レベルはすごい」と驚くに違いない。
数学者 飯高茂」
「ウケる数学！」大輪教授×飯高茂著より
感想
数学が嫌いな大人にも興味を持って貰うには、易しくても難しくても面白いと思って貰う事が大事だと思う。（役に立つと考えるような人は数学が嫌いではないだろう。）
そこで、ちょっとネット検索して面白そうな題材を探してみました。
「電卓でどんな数でも√を何度も押すとなぜ１になるの？」
引用元：http://www.nikkei.com/article/DGXMZO80396050S4A201C1000000/
これを理解するには、中３か高１の知識がないとダメである。
まず、√（ルート）の意味は、何かを２乗したらその数になる元の数。例えば、√８１は９である。２乗とは同じ数を２回かける事で９×９＝８１だから９の２乗は８１で何かを２乗したら８１になる数が√８１でそれは９であるという事。
例えば、√３は何かを２乗したら３だから、１より大きく２より小さい事は分かるが、電卓で求めると１．７３２０５０８・・・・となる。逆にこれを２回かければ３になる。
つまり、ある数をaとすると、√aを電卓で叩くとある数ｘとなるので、√a＝ｘ
この両辺を２乗すると、a＝ｘ^2 この辺は初めに話した事の数式である。
この両辺を１/２乗すると、aの１/２乗＝ｘとなる。（√をかけるという事は１/２乗するという意味である。）
よって、何度も√を押すという事は、何度も１/２乗をするという事で、ここで指数法則でaを２回√するという事は（１/２）×（１/２）＝１/４乗するという事。３回は（１/２）×（１/２）×（１/２）＝１/８乗で、何回も√を押すという事は限りなく０乗に近くなるという事である。（どんどん半分半分になるから０に近づく。）
そして、どんな数でも０乗（aの０乗）は１であるからである。Q.E.D.
おまけ