「こじつけ。」の補足 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

「フランス語で書いてある彼の詩を、フランス人の学者が「解読」できないのであるから、日本で理解されるわけがない。だから「十人十色」、解説者が変わると、同じ予言がまるで別の予言になってしまう。それなのにどの本も「当たった!当たった!」と盛んに誉めたたえているのである。これでは、作家が自由にいじくりまわす「小説」でしかない。しかし多く読めば読むほど、ノストラダムスの真相が見えてきた。ことに自分で原詩を訳してみると、これまで発売されているものは、まるで「訳」になっていない実にいいかげんなものを、自説に都合のいいようにネジ曲げて、当たっていると自称しているだけのものが大半だったのだ。
・・・・ことにノストラダムスは、現代フランス語辞典にない中世語や、詩の形を整えるために接ぎ合わせた合成語をたくさん使っているから、語学に未熟な解説者が自分勝手に想像で作り上げた先入観に合わせて解釈すると、次第にそれらしく思えてきて、知らずしらず都合のいい部分だけを寄せ集めて、自分の好みに合うような勝手な文章にしてしまい「当たっている!」と鬼の首を取ったように大喜びすることになる。しかしそれは予言解読でも何でもない。単なる「パズル遊び」に過ぎない。作家の高木彬光氏が五島勉氏の本を「コジつけがひどすぎる」と指摘して憤慨したのも、その五島氏やフランス第一のノストラダムス学者アルベール・スロスマン氏が、フォンブリュンヌ父子二代にわたる作品を「余りにもひどい、たちの悪い空想の産物」と指摘し、とくにスロスマン氏が、「世に害毒を流すだけのペテン・愚劣な本」とさえ言うのも、こういう目で冷静に批判してみると至極当然で、決して商売仇の悪口でも、言いすぎでもない。」
「真説・ノストラダムスの大予言」加治木義博著より

「多くの占星術師が、1999年危機説を唱えています。それは、1999年に天体の動きが、きわめて珍しい様相を呈するからです。多くの危機説の中でも、ノストラダムスの大予言が最も有名ですが、彼は『諸世紀』という予言書を残しています。それに対する解説書はきわめて多いのですが、『諸世紀』の解説書の約半数が、1999年に人類が滅亡するといっているのです。よく知られたものに、五島勉さんの『ノストラダムスの大予言』があります。十数年前にそれが出されると、たちまち百数十万部が売り切れてしまいました。未来に悲観した人たちによる「大予言パニック」ともいうべき現象まで起こったくらいでした。しかし、ここで注意しておきたいことは、ノストラダムスは「1999年に人類が滅亡する」とは、明言していない点です。『諸世紀』は四行詩の形をとる予言詩を並べたものです。これが象徴的言葉を集めた難解なものである点が、くせ物なのです。常識的にいえば、―――1550年代に活躍したノストラダムスは、絶対に1999年の出来事を正確に予言できない―――ということになります。ただし、抽象的な言葉を並べた詩で予言を書けば、はるか未来のことを言い当てられる可能性があります。ただし、―――そのような予言は、単なるまぐれ当たりにすぎない―――と言わざるを得ません。
・・・・ノストラダムス信者は、彼が日本の敗戦を言い当てたといいます。しかし、彼がはるか東の島国の存在を知っていたかどうかさえ疑わしいのです。一歩譲って、彼がはるか東の島国の存在を知っていたと考えてみましょう。1543年にポルトガル人が種子島に来ていますから、フランス宮廷の早耳の人が日本のことを知っていた可能性もわずかながらあります。しかし、彼がわけのわからない東方の一後進国が四百年後に世界をむこうにまわして戦争すると考えたかどうかは定かではないのです。むしろその可能性はほとんどなかったといってもいいでしょう。この十年のうちに(1991年)、ソ連とアメリカが合併して、「ロシア、アメリカ共和国」といった国ができることを想像してみてください。だれ一人として、そんなことが実現するとは考えないでしょう。しかし、もし「ロシア、アメリカ共和国」ができたら、前にあげた私の占いは外れてしまうことになるのです。私の占いによれば、今後十年間は、どんなに政治情勢が変化しても、そのような事態は決して起こらないと出ているからです。占い師が理性的に読めないかなり先の出来事は、占星術でも正確に判断できません。だから、どんな腕のよい占星術師でも、せいぜい十年先まで予言するのが精一杯なのです。」
「「宿曜経」戦慄の大予言」武光誠著より

おまけ