中国から入って来た多くの仏典の漢字表記を、日本語として
読んでいく為に、日本人の手によって、朱点、白点、句点、
返り点等が付記される。
返り点には幾つか有って、「一ニ三」「上中下」「甲乙丙」
「天地人」それに「レ(レ点)」である。
一字返読用「レ点」は、カタカナのレと混同されないように
飛んでいる雁の姿を模写したもので故に「雁点・カリガネ点」
とも呼ばれている。
空海は、入唐時にサンスクリット語を学び、インドのオリジ
ナル仏典を研究しており、「ん」を書き表すことの出来る
文字を持ち帰ったのだ。 それまで日本には、「ん」を書き
表す術が無かった。 当時、仮名は無く漢字を仮借して表し
ていたが、その中にも「ん」は無かった。
空海が、45歳から翌年にかけて著したとされる「阿字義」と
「吽字義」。 口を開いて発する音声「あ」で、字音の始ま
りと、口を閉じる時の音声「ん」で、字音の終りである。
万物の初めと終りを象徴。 真言密教では、「阿」を万物の
根源=原因(理)とし、「吽」を一切が帰着する智徳=結果
(智)とする。 寺院山門の仁王や狛犬の「相」でもある。
また、真言宗では、「あ」から始まる「阿字観」という瞑想
を行って宇宙が生じる瞬間を体験し、最後に「吽字観」で、
再びこの宇宙が収縮し種子となることを瞑想する。
これが、空海が目指した「即身成仏」の根本の思想である。 「阿吽の呼吸」とは 共に一つの事をする時などの相互の微妙な調子や気持ち、 特に、それらが一致することだ。 呼気と吸気。 |
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梵語で「阿吽」は、「a-hum」。 |