フジコ・ヘミング逝く | hitonotoumadeのブログ

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60歳→65歳→ついに『75歳のブログ』

何年か前、すみだトリフォニーホールに行った。

開演直前にアナウンスが有り、体調により舞台袖からピアノ

のところまで「?」で登場しますので、お許し下さい、と。

その直後、下手から黒い手押し車を押しながら、ゆっくりと

登場。ピアノの傍まで来て左手をピアノの端に伸ばし、それ

を支えにしながら、やっとのことで腰を下ろし姿勢を正す。

80代後半に入っての独演会で心配はしていたのだが、余りに

痛々しい姿だった。 

 

しかし、鍵盤に指先が触れた途端、神が降臨したかのごとく

情熱的な演奏が始まったのだ。

『間違えることもあるのよ。 でも気にしない。 それが私

の音楽だから。』 つまり、それも含めて、彼女の熱き

パフォーマンスなのだ。 文字通りの一期一会である。

生の『ラ・カンパネラ』。 世界一だと絶賛される一方で、

酷評もされる、それこそがフジコ・ヘミングの真骨頂だ。

 

ご冥福をお祈り申し上げます

 

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