蛇と蠍(だかつ、じゃかつ)人が恐れ、嫌うものの例えだ。
日本の多くの地では日常で見掛けることの無い蠍(サソリ)。
蛇は、都会のど真ん中でもなければ、遭遇することは無きに
しも非ずだ。 「蛇蝎視」で、極度に忌み嫌うこととある。
英語では、hate(abominate)●●like a viper. らしい。
viperとは、「くさりへびの類」とある。 英国で見られる
唯一の毒ヘビで、反逆・忘恩の象徴らしい。 ②の意味で、
マムシ・ガラガラヘビ・ハブなどの毒ヘビ。 ③の意味で
マムシのような人間、腹黒いやつ。 だそうだ。
『悪性さらにやめがたし こころは蛇蠍のごとくなり 修
善も雑毒なるゆえに 虚仮の行とぞ名づけたる。
親鸞聖人の言葉だ。
直訳すると
人間の悪い性質は容易には止められない。
心は蛇や蠍のようになる
善を修めることもまた 雑多な毒となるため
それらの行いは虚偽で一時的なものだと名付けられる。
容易に止められない、誰もが持つ悪性とは、貪欲、嫉妬、
怒りなどの感情、利己的な行動などを指している。
心が持つ蛇や蠍は、心が持つ危険な側面で、感情の制御の
難しさや、衝動的な行動のリスクを指摘している。
最後の部分は、私たちが行う行為が、しばしば一時的で、
表面的なものにすぎないと。 真の善行や本質的な価値の
追求において、深い自己認識と真摯な姿勢が必要である。
聖人の言われる「雑毒」とは、自己中心的な動機に基づく
善行だ。 本来は肯定的なはずの行為が、内在する自己中心性のために、本質的な価値を失ってしまっているという警鐘だ。
webページ 『浄土真宗の教え・親鸞聖人の言葉』他