介護≠お世話  | いつもの中に幸せを見つける高知のビッグマザー

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生まれ育った高知の海や空が好き。
なんでも笑いに変えていくことは特技。
仕事は介護保険外で痒いところに手が届く「フリーランスヘルパー」

毎日、朝夕とある一軒のお宅に行く


 

「おはようございます!」と

玄関の雨戸を開けて中に入る

 

寝たきりのご主人と

介助がなければ外に出ることはできない奥様

お二人暮らし

 

まずは、その日の天気の話や

昨夜眠れたかどうか

なにか変わったことがなかったかお聞きして

台所へ移動し朝食を準備する

 

奥様はパン食

ご主人はおかゆを始めとする和食

 

温タオルを渡して顔や手を拭いてもらい

ベッド上の体を整え

頭元を挙げてから

ご主人の食事を介助する

 

ときどきむせこみがあるため

一口一口飲みこむのを確認する

 

奥様とは

昨夜から今朝にかけての我が家の出来事

奥様はうちの子供の話が大好きでいつもニコニコ笑って聞いてくれる

そして、テレビやニュースの話題

今日の予定など会話する

 

その会話の様子を

ときに微笑んだり眉をしかめたりしながら

聞いているご主人

 

話を聞きながらも

時折、「早くご飯を口に入れて」と目で催促(笑)

 

食後は義歯を外して洗って

口腔ケアの後、再度取り付ける

 

デイサービスに行かない日は

奥様と二人で

コーヒーを楽しまれたりする

 

デイサービスに行く日には

車いすに座って出かけるとき

奥様に

「ごきげんよう」と

挨拶され行かれる

 

 

そして、そのあと奥様と

お昼ご飯のおかずがあるかどうか

夕食のメニューはなににするか

何か買ってくるものはないか

お洗濯をしておこうかとか

暑いから水分を取ってくださいとか

そんな話をする

 

 

毎日、毎日同じように。

 

 

最近は、奥さんと話すことが多くなったけど

以前は、ご主人ともよくお話しした

ご主人が話し出すと

私がなかなかお暇させていただくことができないくらいに

お話し好きな人

 

とても博学なご主人から学ぶことは多くあった

 

いまも、たまにその片鱗を見せてくれることがある

 

少し小難しいことを言われるのだけれど

そんな話が始まると

奥さんとともに

「久しぶりにお父さんの話が聞けますね」と

喜び合う

 

 

奥さんとは、今後のことを

何度も話している

 

 

「できるだけ自分の家でずっと過ごしたい

施設に入所することは望んでいない

病院にもできるだけ入院したくない

この家で最期を迎えることが自分たちの望んでいること」

 

 

 

最期まで自分の家で暮らすこと

 

 

 

それを強く望んでいるこのご夫婦と

一緒に生きたいと思った

お二人を傍らで見ていきたいと思った

毎日を笑って、時に怒ったり悲しんだりしながらも

同じ時間を過ごして

そしてお二人の生活を続けていけるように

ずっと関わらせていただくことを許可してもらった

 

 

決して「介護というお世話」ではなく

このご夫婦と一緒に

少しでも変わりない毎日の中に

クスッと笑ってしまうようなことを話したり

食べたいもの、旬のものが食べられたり

お日様の下でパリッと乾いた洗濯物が

心地よかったり

大便が出てすっきりしたねとか

そんな小さな幸せを一緒に感じられる

毎日を過ごしていく

ただ生きていくことなんだなあ

私がそうしたいからやっていることで

このご夫婦といっしょに実験させてもらっているような

そんな感覚でもある

 

 

やりたくてやっていることだから続くし

ノンストレス

 

 

私ができないときやできないことは

介護保険でお願いする

全部自分で抱えない

できないことはできる人に頼む

 

すべては一番の大きな目標

「最期まで自分の家で暮らしたい」

というご夫婦の望みのために

 

 

 

 

しばらく前のこと、私が選挙の仕事で

1週間ほど訪問できない間

ショートステイで過ごされ帰宅したご主人が

しみじみと私に言った

 

 

「あなたがこの家に来てくれる。そのおかげで

僕たちはここでこうやって暮らしていける。

本当にあなたに感謝している。ありがとう」

 

 

いいえ、私こそ。

毎日、お父さんとお母さんにいろんな話を

聞いてもらって、私のやりたいことを応援してくれて

勇気づけられています。

 

 

これからもいっしょに一日でも

できるだけ長く過ごせるように

どうかどうか元気で過ごしてくださいね