「娘さんに聞いてみます。」

担当看護師が言った

 

 

お仕事の都合上

週1回の面会

 

 

そのタイミングを

逃すまい

娘さんがいらっしゃるのを

その日勤務していた全員が

アンテナを張って

待っていた

 

 

 

 

 

 

 

来た!!!

 

 

 

 

 

 

気がついた看護師同士で

アイコンタクトをとり

速やかに

担当看護師へ伝える

 

 

 

担当看護師はダッシュでナースステーションへ

戻ってきた

 

 

その後

偶然を装い

娘さんへご挨拶をし

ミニミニおばあちゃんのお部屋へ

一緒に入って行った

 

 

 

 

 

面会後

娘さんと

なにやら話し込んでいる

担当看護師

 

 

 

 

 

スタッフは

みんな

その動向が

気になった

 

どうか

こちらの想いが

真っ直ぐ

伝わりますように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり悩むって言ってました。」

少し残念そうな表情で

ナースステーションに戻ってきた

担当看護師

 

 

 

娘さんも

片付けのために

帰りたいことは

ご存じだった

 

もちろん

それだけなら

帰らせてあげたい

 

でも

一度帰ってしまうと

”やっぱり家が良い”

なってしまうのではないか

 

ホスピスには戻らない

言われてしまうのではないか

 

そうしたら

その後の生活は

どう支えたら良いのか

 

ホスピスを

一度出てしまったら

次に入れるアテがない

 

ホスピスも

再エントリーとなり

すぐには入ることができない

 

いつ空きが出て

入ることができるのかわからない

 

思うように動けなくなってから

施設や病院を探しても

入れるまでの間の生活を

どうしたら良いのかわからない

 

だから

数時間の帰宅も

悩む

 

 

 

 

 

 

 

 

娘さんは

本当に

いろいろなことを考えておられ

一生懸命悩んでいらっしゃる

ということがわかった

 

 

娘さんが

何に悩んでいるのかが

わかってよかったね

 

 

その日は

みんなで認め合った