娘さんとともに

無口おじさんやってきた




「こんにちは。」

声をかけるが

視線も合わず

発語もない





あいさつもままならないまま

入り口で

娘さんとお別れとなる




「コロナの関係上

こちらでお別れとなります。」

師長が娘さんへ

説明をした




娘さんは

「え?はい。」

と返事をされ

ストレッチャーで運ばれていく

父親を見ていた





そのあと

入院の諸々の手続きを済ませて


娘さんと私

2人きりになった





娘さん「本当にもう会えないんでしょうか。」







きたー…

それ聞かないでー…





泣きそうになるのを

なんとか堪え

ただ謝るしかなかった




娘さん「亡くなる10分前って。ここホスピスなのに。」




娘さんは

素直な気持ちを教えてくださった




娘さん「ようやく父のために力になれると思ってたんです。なのにこれじゃ何もできないですね。」





なんとかできることを

探しましょう





そう言いながら

一緒に泣いた