あの日9月8日のお通夜の夜。
皆がひとりひとり
きらの顔を撫でて
きらに話しかけてくれる為に出来た
行列も最後になり。
 
9時をとっくに過ぎて
静かに私ときらとだけが
残ったあの時に
あの時間に
ふと戻る時があります。


余りの人数に
香典返しの品もあっという間に
無くなってしまい、
お返しも出来ずにお帰りになられた方も
沢山いらっしゃいました。
本当に申し訳ありません。


あの夜
なぜ、私ときらだけになったのかな。と
ふと思います。

確かに階上では
皆さんに精進落としの振る舞いが
行われていて
私の両親も、弟も
主人も、姉妹も
階上に行ってしまいました。
 
沢山いらしたので
大変だったのだと思います。


私はやっぱりきらと
2人きりで
大きな会場の片隅で
何が起きたかわからず
途方に暮れていました。


あの日何が起きたのか
今でもわからないです。

確かに目を閉じたきらがいて、
御坊様が、泣きながらお経を読んでくださり
ピンクの花を散りばめた
立派な祭壇には
きらの写真があり。


その下には
私ときらが
きちんといました。

きらに触り
きらの頬を撫でて
つんと香るアルコール。


可愛いきらの体があって。
でもなんだか
きらはあちこちにいるようで。

なんだろう。

明日は一緒に
火の中に入ろうと思いながらも
しっかりしなくては
と自分を奮い立たせるわたしがいて。


あの時間。


「お疲れ様でございました。
本当にありがとうございました。」と
ご挨拶に葬儀の方がいらっしゃるまで

「いいえ。まだわたしはいますので。」
口が渇いて仕方なくて
上手く喋れなくて
暫くの間何回もお茶をいただき
でもすぐに渇いてしまって。


「我々はこれで失礼しますので。」
と10時過ぎにまた葬儀の方がいらっしゃるまで
私はきらと2人きりやっぱり2人で
広い式場にいました。


あの日にふと戻ると
思います。


CMMにいた時も。
姉妹が高熱と嘔吐で母と主人はつきっきり。
わたしと2人きりでした。



ずっと2人きりでした。

パパもきらともっといたかっただろうと
今なら思うのです。

きらと2人だけの時間を
沢山の沢山人達が
作ってくれました。


こんな風に
いつもいつもいつもいつも

ふとあの日に戻る時
結局感謝に戻ってしまうんです。


いつも
一緒にいさせてくれて
神様ありがとう。
ありがとうございます。


優しい週末をお過ごしください。