魔女でも
こうもりでも
なくってよ


マレフィセントっぽく見えるのはハロウィンだからだと思いたいのですが…

日本橋高島屋S.C.にて11月12日まで
プロデュースさせて頂いております演奏家のためのドレスが
再び展開されております
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こちらのチュールドレスは肩紐のチュールのアレンジが自由自在の優れもの。

是非色々なドレス、色々な着方を試してみて下さいね!



      








さてさて











ハロウィン





 


皆さまはどうお過ごしですか?

私自身はハロウィンに特別何かしようとは思わないのですが
仮装を楽しまれているかたの姿をみるのは好きですし

ゾンビたちで賑わう街中をチェロ持って移動するのは気が滅入りますが
さりげない場所にさりげなくかぼちゃが飾ってあったりするとにっこりしてしまいます



アメリカで過ごした幼少期は
近くの畑のかぼちゃをくりぬき
魔女になり
お菓子を頂きまくっておりました




でも、アメリカ幼少期を終え
小学生時代をドイツで過ごした私にとって
この時期の行事といえばハロウィンではなく






マルティン祭

のほうが鮮明に記憶に残っている



寒い季節に震える貧しい人へ自分のマントを切り裂いて分け与えたご立派なマルティン騎手を称える行事で

「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」ではなく

ラタルネという提灯を持ってマルティンの歌(ラタルネの歌)を歌いに他人様宅の玄関にお邪魔し、そのお礼としてお菓子を頂いた。


ラタルネは市販のものもあったが
幼稚園や小学校の図工の時間では
11月11日のマルティン祭へ向けて
10月後半はもっぱらラタルネ作りの時間となり
皆各々のラタルネを作っていた。


黒い画用紙で四角い箱を作り
その4面をカッターで好きなデザインに切り抜き
切り抜いたところに色とりどりのセロハンを貼る

つまりステンドグラスみたいになるのだ。


クラスには

ウルトラやる気のない子もいれば

親も一緒に張り切ってスーパーハイクオリティに仕上げてくる子もいた


私は工作大好き人間ですから
もちろん我が魂をラタルネに捧げましたよ



ドイツに居た期間は何回かラタルネを作ったが、私の最高傑作(自称)は小学校4年生のときに作った
四面のデザインを、春夏秋冬にしたラタルネ


…余談だが
初めて両親に買ってもらったCDが
ヴィヴァルディ「四季」
そのジャケ写がりんごなのだが、
春は花、夏は青りんご
秋は赤りんご、冬は食べちゃって芯



曲は聴いたことがなかったが
タイトルとそのジャケ写に惹かれて選んだ


私にとって4という数字は
4拍子でもなく4輪車でもなく
4 seasons なのだ



だから、四面のラタルネをデザインするときに閃き温めていたアイディアが、四季だった



   
各季節に、小さな動物たちも登場させた





三色団子を持ったお花見をするうさぎ

ひまわりの陰に隠れるカエル

木の穴から顔を出すリス

冬は…動物は冬眠という意識があり雪だるまにした






我ながら詩的な仕上がりだった。










ラタルネの歌は今でも覚えている

Laterne, Laterne,
Sonne, Mond und Sterne.
Brenne auf mein Licht, 
Brenne auf mein Licht, 
aber nur meine liebe Laterne nicht. 

ちょうちん、ちょうちん、
太陽、月、星
燃え上がれ
燃え上がれ
でも私の可愛いちょうちんは燃やさないでね
















 

11月11日



  









小雨が降り、風もある日だったが












雨天決行












ニイクラタルネにあかりを灯し














いざ出陣!






















世界に一つだけのラタルネを持って誇らしかった




細い木の棒から垂れ下がる豆電球が
セロハンの色を映し出し



雨に濡れてしなっとなった黒の画用紙からは
独特な香りがした



親が一緒に作ったであろう子のラタルネは
鳥籠などのほっそい細かいデザインまで丈夫そう
雨なんかものともしなかったし


四面とも無地のセロハンで埋めただけになったやる気のなかった子のラタルネも
それはそれで頑丈だった。

















私のラタルネは











   








すぐに壊れた












先生とクラスメイトで数軒ラタルネ持って歌を歌いにお邪魔したが

2軒目のお宅の玄関にたどり着くころには
うさぎはもうお団子を持っていなかったし

3軒目では
冬の空はビリビリになっていた

絵画的に作りすぎて黒い画用紙の部分とセロハンの割合が悪かったし、動物は主役にせずあくまで四季を表現する一部にしたくてまぁ小さく小さく作っていたので、すぐにちぎれてしまった







あ〜壊れちゃったよ〜ん





とてへぺろなかんじで友人には笑って見せたし

徐々にみんなのラタルネもあやしくなってきて
みんなもてへぺろっとしていたが

みんなはラタルネが壊れることよりも
みんなで歌ったり歩くことが楽しそうだった


そうだよね
マルティンさんを称える行事で
みんなで何かをシェアする喜びを感じるためのマルティン祭だよね











私だって楽しかったし
頭でも分かっていた




    





でもとっても悲しくて


  







ラータールネーと熱唱しながら
顔にあたる雨粒に便乗し隠れて泣いた












こんなに気持ちをこめて作ったのに
こんなにもあっけなく壊れてしまうなんて
















壊れたニイクラタルネと共に
びしょびしょで帰宅






母はタオルを持ってきて
おつかれさま、早くお風呂で温まりなさいねと言って
私の落ち込んだ表情からボロボロのラタルネにチラッと視線をうつして
「へぇ、うさぎがお花見してるなんて可愛いじゃない、お風呂の後また説明してみせてね!」
と、うさぎがお団子を持っていたことを知らないはずなのにお花見だと分かってくれた





すごく嬉しかった





お風呂の中ではもう泣かなかった





















今どんなに探しても
あのラタルネの写真が一枚もない










  
でも











私の記憶には鮮明にあのラタルネが残っている






   



なんだか安心した













形有るものは
やがて無くなってしまうけれど





   



それでいいの










岩手県北上市は初めて訪れましたが 
まるでヨーロッパでのサロンコンサートのような雰囲気、とても演奏しやすくてあたたかな皆さんと出逢えて嬉しかったです!


ありがとうございました。




また、今日は小学校でも演奏。




彼らが触れる人生初のチェロとピアノの生演奏だったわけで




形として残るものじゃないけれど




やっぱりそれでいいの








ノートルダム寺院も首里城も燃えてしまって
それでいいのとは思えないけれど



演奏の合間に訪れた北上の紅葉と錦秋湖も



写真におさめた以上に
私の心に残るのです