週末のお話をする前に…

(「週末のお話」でピンと来ないかたは、もし宜しければ前の回から読んで頂けたら幸いです)




10月ですね。


いつの間にか年が明けたと思っていたのに
いつの間にか令和になって増税して
いつの間にか年末になるのでしょうね。


私が子供のころは
1日がすごく長く感じていたけれど
今の時代の子供たちはどうなのかな。


いつの間にか大人になり
時間が過ぎるのなんて本当にあっという間だと感じているけれど


遠足の日が待ち遠しかったように、
今でも楽しみな日はなかなかやってこないし
ほんの1分の愛しい瞬間を永遠に感じることも
味わえるようになりました。


美しいハーモニーに出逢えたら
心には永遠に残るものです。



















しかし…

 










わずか1分が






地獄のように感じることも



ありますよね…











今日の不協和音は、
そんなお話…
(以下の文章の表現・言葉遣いにご気分を害されるかたがいらしたらゴメンナサイ)





















「初リハーサル」






それは一番緊張するもの





日曜日は桐朋の大先輩ピアニスト青柳晋さんと、せんくら(仙台クラシックフェスティバル)でのリサイタルのための初リハーサルでした。

青柳さんは、それはそれは楽しく良いかたで、素晴らしいハーモニーを奏でて下さり、月曜日の2度目のリハーサルでもさらに打ち解けたアンサンブルをご一緒させて頂けたのですが…





初リハーサルへ向かう電車内で
その不協和音は鳴り響いたのです










家を出るときに少し予兆はあった



しかし、この予兆は「気のせい〜」
と思い込んでいた













でも















ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ〜ピッシャーン.........
















おおお腹が
いいい痛い…

















A.今降りますか?
B.もう少し、我慢しますか?








   





…収まるかもしれぬと期待した私は
ここでBを選んでしまう










だって初リハーサルだもの…ぜぇぜぇ
     

     





いくら早めに出発しているとはいえ
お籠りするならリハーサル会場に出来るだけ近づいてからが良いのだもの…うおお


    





ガタンゴトン…と揺れる電車が恨めしい…
揺れがお腹に響くうう…んだよおおお     








電車の吊り広告を読んで回文を考えてみようの会を実施したり

ガタンッゴトンッの3拍子のリズムに合わせて4拍子を感じてみようポリリズムの会を実施したり



必死に気をそらす



でもそう思えば思うほど、

 

全神経はお腹に集まってしまう



    





アナタのことなんか気にしていないんだからっ
と思えば思うほど




アナタのことばかり気になってしまうのね




   



あぁ儚き人間かな…
ああああああああ








眼を白黒させ、冷や汗をかき
ちょっと気が遠くなりながら
私は中学生の自分を回想していた



そういえば中学生のときは電車通学で
毎朝電車に乗るのが恐怖だったナァ…


痴漢やらストーカーやら露出狂
なかなか危険な目にもあったけど
それ以上に自身のお腹事情に怯えていたナァ…
    

この駅のトイレなら駆けこみやすい
とか、やたら詳しかったナァ…



大人になっても絶好腸の私は

「あぁ、何日も音沙汰が無いワ」

とは縁遠く

1日のうちにかなりマメに便りがくる

積極的なのはありがたいのだが…

ちょっと過激なのはイヤよ…ってな具合である


しかもチェロが一緒だと、
本当にトイレには入りづらい

というか一緒のときには必ず一緒に入るのだが…
ウルトラ恥ずかしいのだ…

 

あああああああ

そうだよ、次の駅で降りてもチェロが一緒に入れるスペースがある綺麗なトイレだといいな…














間も無く〇〇、〇〇に到着します




    








おぉ
トイレの神様よ










うっ




気が緩むと同時にあちらの門のほうも緩みそうになる







ぬあっ…っと油断はしてはならぬ…





まだ5駅くらい踏ん張る心得でいようと
気と門を引き締めた…






幸い、電車は混んでいなかったので、
扉が開いたらすぐに出られるよう
扉の隙間の黒いゴムに鼻がぶつかりそうな距離にて降りるスタンバイが出来ていた





いやしかしこういうときって電車が止まるまでがスローモーションに感じるんですねぇ







早ぐ止まってええええ!!








プシューッ






ようやく呑気に扉が開き、


変な歩きかたで、一目散にトイレを目指す









ヒヨコヒヨコヒヨコ





  



トイレを流す音が
キラッキラの
とても明るい長調の和音に聴こえた。




初リハーサルでご一緒の青柳さんには

「すみません緊急事態女性トイレにより途中下車したので少し遅れるかもしれません」

と、正直にお伝えする他なかった。




…でも、幸い遅刻はせずに済んだ。
リハーサル場所が芸大、
上野駅から芸大までの道のりが美しい散歩道なので、
ゆっくり散歩しながらリハーサルに向かおうと思い
かなり早めに向かっていたのだ。







そして私のメールから事情を察した優しい青柳さんは、常温のお水を用意していて下さった。
感謝。。






リハーサル中は
チェロからも、ピアノからも、お腹からも
不協和音は鳴らなかった





青柳さん、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした、ありがとうございました!









リハーサルを終えてからは
 

ヒヤヒヤしながらもなんとか帰路に着き
 

90歳を迎えた施設に居る祖母の元へ


お誕生日おめでとう&近況報告






   
お金は持ってないわ、
相変わらず途中下車するわ、
ホント情けないんだよ〜


と言うと

理解能力が著しく低下している祖母だが








大丈夫よ〜








と小さな声で言ってくれた。








すごく嬉しかった。










色々なことがわからなくなって、
心の中の不協和音と戦ってきている祖母。  







それでも、時々正気に戻ると人の為を思う言葉しか出てこない祖母。








私は、まだまだ自分のことばかりだ。









週が明けた次の日、
朝から晩まで色々あったけど
どうしても祖母にチェロを聴いて貰いたくて
祖母のためだけの音楽会をさせていただいた。

1日遅れのケーキも。いえーい!




そして、今日は日帰り仙台で
仙台フィルハーモニーさんと高関健マエストロとのリハーサル。





 



実はまた今日のリハーサル直前も…
帰京時も…




不協和音が鳴りまくりで
駆け込み&お籠りでしたの…




リハーサル時はやはり不協和音は鳴らず
はじめは緊張しつつも
高関マエストロと仙フィルの皆様のおかげで
とても楽しく
最高のハーモニーを楽しませて頂きました。

ロココをまるでバレリーナのように弾くと
とっても光栄なお言葉を頂き、感無量。



不器用だし絶不腸なバレリーナですが…

本番も楽しめるよう

色々な最終調整、しっかりします!!















週明けの不協和音とならぬよう