懐かしくなってしまった団扇ですが、江戸時代には季節の物売りたちが活躍していました。目にも涼しさを誘うのが「団扇売り」です。図柄は花、植物の絵やら、役者の紋(団十郎なら三つの升ますが重なった三升みます紋、他)などいろいろありましたが、一番人気の図柄は「歌舞伎役者の似顔絵」だったそうです。 徳川10代頃にはまだ粗末な彩色うちわだったので、お値段は一本16文(400円)程でしたが、この後、多色刷り(フルカラー)が開発されると、価格は急上昇! ここで問題です。

 

問い) では高くなった団扇一本のお値段はいくらでしょうか?

   ① 600円         ⓶ 900円

 

 長い竹2本に団扇をはさんで売るタイプ   笠をかぶりワラジをはく、棒手振り

                     

 

答え)⓶ 一本36文で900円です。鈴木春信の絵以降フルカラーとなり、浮世絵が発達しましたが、それが団扇の値段にも反映。 でもやはり花の色や好きな役者の図柄は、美しい色で見たいですもんね。

 

   江戸の衣装と暮らし研究家   文と絵  菊地ひと美

 絵) 日本橋再開発に起用された絵は、江戸東京博物館前の外通路に拡大版で展示中。

   国立劇場の「伝統芸能絵巻」制作。   NHK大河『晴天を衝け』 の8話結婚の時代考証

 著書) 「江戸の衣装と暮らし解剖図鑑」(エクスナレッジ)新刊

     「江戸で部屋さがし」(講談社)重版