ジューンブライド、六月の花嫁にちなみます。婚礼で江戸と現代が大きく異なる点は、現代の結婚式では両家が集まって一度で済ませますが、江戸時代の祝言は武家、町人ともに花婿方で行われました。 この絵は上層武家・祝言の際、花嫁の輿こしが玄関から座敷(休息の間か、祝言の間)へと進んでいるところです。 ここで問題です。

 

問い)この絵は花嫁の輿入れ情景ですが、では上層部家の夫人、姫の駕籠はどうしたでしょうか? 

 ① 殿様同様、玄関先で駕籠を下ろして板の間(式台)から入った 

 ⓶ 祝言同様、駕籠は姫の座敷までかついで下ろした

 

婚礼で花嫁が(地方や遠距離でも自宅から花嫁行列をして)花婿宅に着き、玄関から座敷へ向かうところ

     

                      「小笠原諸礼大全」より。模写、菊地ひと美

答え) ⓶の姫の座敷までかつぐです。 当時上層女性の駕籠をかつぐのは、専門の腰元の女性たちでした。祝言は武家、町人ともに夜に行われますが、この図ではお付きの裃かみしも姿の男性二人が、手に灯りを持っています。 武家の結婚は愛だの恋とは無縁で、大名から下級武士まで許可制です。 息がつまって死にそうです。

 

 江戸の衣装と暮らし研究家   文と絵  菊地ひと美

 絵) 日本橋再開発に起用された絵は、江戸東京博物館前の外通路に拡大版で展示中。

    国立劇場の「伝統芸能絵巻」制作。 NHK大河『晴天を衝け』の8話結婚の時代考証

 クイズ出題本、著書)「お江戸の結婚」(三省堂)「江戸で部屋さがし」(講談社)重版