ケツフェスト……。
昨年5月、詩人・三木悠莉と、ギタリストなどでお馴染み金色樽兵衛の結婚式イベントとして産声をあげた。
三木悠莉が活動のメインの場とするポエトリーリーディングから多くの詩人と、金色樽兵衛が関わりの強いアイドル、バンド関係の出演者が多数出演。
二人の門出を盛大に祝った事でも記憶に新しいイベントである……。
そんなケツフェストが一年の時を経て帰ってきた!
今回は主催二人の結婚一周年的な意味合いもあるが、前回のように詩人、アイドル、バンドの他、更にラッパーまで集うという一大ミクスチャーイベントとしてパワーアップ。
果たして、どのようなステージが展開されるのか……。
会場は池袋・LIVE INN ROSA
非常に長時間に及んだイベントですが、そのイベントの熱気の断片を今回、レポート[簡易版]としてお届け致します!
●メインステージとサブステージ
レポート本編の前にメインステージとサブステージについて触れておきたい。
今回、このイベントにはステージが二つに分けられている。
一つはメインステージ。
この会場に来た事がある人なら知っていると思うが、バンドとかも出来る大きめのステージである。
もう一つがサブステージ。
メインステージの下手側に設けられたステージで、あまり広さは無い。
いや……ステージの大きさは一人でも手狭か。しかし客との距離は近い。
今回、メインステージでは一組おおよそ20分前後の持ち時間、サブステージは主にメドレーに使われる。
この点踏まえて、本編を読んでいただけると分かりやすいかもしれない。
●本編
・たまたましまゐ(OPアクト/メインステージ)
あのたまのカヴァーをする座敷童姉妹、OPアクトに登場。
歌ったのは「ロシヤのパン」
いつものように歌い始める姉妹……の後ろで、ランニングシャツの男の姿が……。
そう!この日のメインゲスト、元たま(現・ホルモン鉄道)の石川浩司、その人である。
※名曲「さよなら人類」で「ついたー!」と言ってる人。
たまたましまゐと、まさかのご本人の共演……。
これには普段は無表情のたまたましまゐもついつい中の人たちが出てきてしまい、最後は満面の笑みだった。
こうしてOPアクトなのに、いきなりクライマックスのような始まり方でイベントはスタートした。
・金色(メインステージ)
「こんじき」と読む。「きんいろ」じゃない(笑)
主催の一人、金色樽兵衛が所属しているユニットと言えばお馴染み。
ちなみに今回の出演者の中で最年長……まぁ400歳って設定だし(笑)
そんな訳で毎度お馴染み、テクノロックで魅せてくれます金色のお二人。
「あさきゆめみし」から始まり、最新曲「墾田永年私財法」(だったかな?)と続く。
三曲目「テクノ大名」でテンションが上がったところで、ラスト突入。
ラストは毎度お馴染み「ザ・関ケ原」
ちなみに今回討ち取ったのは、最近、世間をお騒がせのドロ○ンだった(笑)
・江織杏(メインステージ)
今回、アイドル枠では唯一のメインステージ。
「エオリズエアライン」から颯爽とスタート。
この日、アイドル枠では最大勢力(?)だった、えおりんファンの皆様も大盛り上がり。
二曲目にロックバラードという事で「Rumble Fish」
この後の長丁場を考えての彼女なりの優しさだろうか?
そしてラストは「パイレーツ・オブ・エオリアン」で〆る。
序盤の出番だったが、一つ山をしっかり作ってみせた。
・POETORY MEDREY1(井出政彦、merry-andrew、三原千尋、葉月之寛、守山ダダマ/サブステージ)
一人あたり3分の時間でポエムを朗読する。
中には名古屋からやってきた出演者も。
たった3分、されど3分。
この3分のために、出演時間より何十倍、何百倍もの時間をかけて会場に駆けつけ、そして僅か3分で詩を読み上げ、客の拍手と歓声を背に去っていく。
その様子はジャンルは違えど、ロックな姿そのものだった。
ここで本来のタイムテーブルと一部進行を変更して、アイドルメドレー1に突入する。
・IDOL MEDREY1(ひよもも、神戸忍/サブステージ)
アイドル枠は基本10分。
通常なら2曲程度の流れ。
ひよももはBGMをバックに長々とMC。
元々一曲の予定だったのだろうけど、やたら長い気がした(笑)
長いMCでうなりくん愛を語り、「うなりくんLOVE」を歌って終了。
色んな意味で通常運転だった。
神戸忍は得意の昭和ROCK歌謡で勝負。
意外と客層の年齢層が高いので、彼女の選曲的に初見の方にも非常に受けは良かった模様。
神戸の良さが光ったステージだった。
・ANCELL(メインステージ)
詩人……なんだけど、気がつけば歌っている人(笑)
MCで昔、好きだった女の子が結婚する事になったんだけど、そんな自分はサマソニに出て見返してやりたい的な事を言っていたのが印象に残っている(笑)
このイベントの趣旨的には、こういう方が王道なのだと思う。
・三木悠莉バンド(メインステージ)
その名の通り、本日の主催・三木悠莉を中心としたバンド。
よーく考えたら、彼女も前述のANCELLと同じ「詩人なんだけど歌っている人」の部類になるのかなぁ(爆)
でもこのバンド形態は結構好き。
樽兵衛氏のサックスに、あのやたら長い民族楽器(名前忘れた)の低音が心地よい。
ドラムスにあをいちんが加わった形態を見たのは今回が初だったけど、違和感無し。むしろ素敵。
最後は「ポエろ!!萌えトリー」で締める。
あ、口上の紙を持つという大役、二年連続で務めさせていただきました(笑)
ありがとうございました。
・HI-VOLT-AGE(メインステージ)
実は金色と同期なんだけど、最近まで活動休止をしていた……というバンド(そのへんうる覚え)
ちょっと三木悠莉バンドの後なので、小休止をしていたので、あまりしっかり見ていない……ごめんなさい……。
・RAP MEDREY1(もがくひと、最都優、東京未開封/サブステージ)
今回はラッパーまで登場。
ポエトリー同様、言葉を操るという意味では、共通点は多いけど、個人的にポエトリーとラッパーの違いが意外に分からない。
ただイメージとしては、ラッパーは音に乗せて、また時に即興で表現するタイプなのかな……なんて思う。
もしかしたらポエトリーと、ラッパーから言わせればお互い「違う」のかもしれないけど……。
ここは勉強不足。申し訳ない。
だけど東京未開封の「のび太に捕らわれたジャイアン」のネタは面白かった(笑)
・エコ怪獣(メインステージ)
実は今回の出演者の中に入ると、ドリルパープルと並んで「異端」なのかもしれない。
ポエトリーじゃない、ラップでもない、バンドと言えば微妙、アイドルともちょっと違う。
しかしステージパフォーマンスは圧巻そのもの!
テクノサウンドに乗せて、歌って踊って、会場を所狭しを暴れまわる姿はまさに「怪獣」
だけど白と黒を基調にした衣装は、スタイリッシュで実にクール。
特に二曲目「彗星らいだー」→三曲目「すたーらいと」の流れは超秀逸。
感動し過ぎて、ちょっと泣きそうになったのは秘密(笑)
個人的に音楽の方向性が凄い好みなのもあるけど、最初から最後まで聴き逃せない、そして目が離せない20分弱のステージだった。
初見は昨年7月で今の体制になる前。それ以来の拝見したステージだったけど、とんでもない……まさに「怪獣」的な進化を遂げていた。
後述のゲスト:石川浩司は別格としても、個人的にこのイベントのMVPはエコ怪獣だと思っている。
現に今も脳内で「すたーらいと」のサビはリピートを続けている。
・猫道(猫道一家)(メインステージ)
今回の総合司会を務めている猫道氏のステージ。
司会の時と違って、パフォーマーとして解き放たれた彼の姿が非常に活き活きとしていたのが印象的でした。
でも今回の彼は司会の印象がやっぱり強いなぁ。だからここで敢えて言いたい。
「お疲れ様でした」と。
・IDOL MEDREY2(りゅうきいずむ、清水舞美/サブステージ)
個人的にはウハウハな時間(笑)
りゅうきいずむは最初、客に紛れて登場。
ミニスカっぽい浴衣にニーソとは、なかなかかわいいじゃないか!(爆)
一週間後に迫った、めるほり主催ライブの宣伝もしっかりこなして、オリジナルの「ミュージアム」で締める。
清水舞美はアイドル枠という事を意識して、半袖Yシャツにチェックのスカートという正統派アイドルスタイルで登場。
まぁいつもの白いドレス風の衣装が個人的には好みですが(爆)まぁこれはこれでありかな……かと。
彼女もオリジナル二曲で終了。「記憶のあと」はやっぱいい。
でも次回はせっかくなので「画家ドル」としての彼女も前面に押し出すステージが見てみたいかも。
・ドリルパープル(メインステージ)
前述のエコ怪獣と並び、この中では「異端」なのかもしれないけど、おかやん。というアイドルを擁しているのでアイドル寄り(笑)
今回もおかやん。サウンド全開だったけど、二曲目に「Self Control」(TM NETWORK)は反則です!(笑)
どうしてもTM好きとしては、もう反応してしまうやん(笑)
もちろんオリジナルが超秀逸なドリルパープルなので、それ以外も安心して、そして大盛り上がりで聴けました。
ヨツイミワの柔らかなヴォーカルと、おかやん。の奏でるメロディラインが奏でるハーモニーが素敵すぎる。
一曲目の「dystopia」から、ラスト「discharge」までの流れはほぼ完璧。
MCのグダグダ具合も含め(笑)安定のドリルパープルクオリティでした。
・POETORY MEDREY2(吉岡あしゅりん、しゃぼん、そにっくなーす、田村飛鳥、ともちゃん9さい/サブステージ)
ともちゃん9さいが何度か拝見した事あるだけで、後は初見or今まで認識していない方。
人魚の恋をテーマに朗読したそにっくなーすが印象に残った。
それ以外だと田村飛鳥が大阪から参加で今回、最も遠いところからの参加だった事は覚えている。
だけどポエトリーメドレー、一人3分。
なかなかこの短時間で印象を残すって難しいと思う。
ここのパートの感想はそんなとっかなぁ……。
・FICE 座 RAINBOW(メインステージ)
皆様、お馴染みのFICE 座 RAINBOW。一応、アイドル枠……じゃないよなぁ(笑)
昨年に続き出演だけど、今年2月に三木悠莉がダンサーズ加入した事で、昨年とは大きくポジションは異なる。
三木悠莉バンドに続き、主催二人が関わる重要なイベンターという意味で超重要ポジション。
セットリスト的には、最初に「再生」、次に「視線」と来る。
この手のイベントで「視線」みたいに初見さんを巻き込む術がある楽曲は強いと思う。
しかしこの日のステージ、一番もっていったのは、間違いなく、みくにちゃん(三木夫妻の娘)だろ。
あの母(三木悠莉)宛ての手紙は感動する。
そしてみくにちゃんの2ヶ月遅れの入学祝も兼ねた「愛鯛」で締め。
FICE 座 RAINBOWのステージには「家族」という壮大なるテーマがあったと思い、一人勝手に感動する。
・RAP MEDREY2(カルラ、土竜、狩谷赤人/サブステージ)
前述のRAP MEDREY1と所感はほぼ同じ。
感受性の不足か、印象に残った方はあまりいなかった……。
・おしまいと温度(メインステージ)
恐らく「祭」と称した、このイベントにおいて、一番静かだったのがこの二人のステージ。
ベーシストとポエトリーによる融合。
とにかく静かな空間に朴訥と奏でるベース音に、読み上げられる歌のような詩のような声……。
何か静けさとは違う、だけど……不思議な空間に誘われた。そんな気がした。
・コトナ(メインステージ)
名古屋から来たポエトリーとバンドの融合みたいなグループ。
ヴォーカルの方が鈴木陽一レモンという名前だったので、そこが妙にインパクトが残っている(笑)
楽曲のクオリティも高かったけど、それ以上にメンバー間のMCが面白かった。
特に三曲目「サンセット」で、本来なら「サンセット、サンライズ」のところを頑なに「サンセット、サンセット」といい続けるところとか(笑)
しかし彼らに限らず、名古屋からの遠征組多かったなぁ……。
・IDOL MEDREY3(かものなつみ、山名純/サブステージ)
実はトリ前だけど、相当アイドルの中でも濃い二組を持ってきたなぁ……と(笑)
かものなつみは前週のBDライブで久々拝見だったけど、この日も破壊力抜群のステージだった(笑)
いや、いつもよりはおしゃれしている感じはしたし、かわいかったのよ。
でもやっている事はいつもの、なつみちゃんだった(笑)
しかしここでのハイライトは、彼女がカヴァーし続けた「リヤカーマン」(たま)で石川浩司乱入!
彼女もたまのファン。真横で歌う石川浩司の姿に感動していた様子が分かった。再び、石川旋風が巻き起こった瞬間だった。
山名純はオリジナル二曲連発。
持ち時間的にもそのまま終わる……と思いきや、なんと主催からのたってのリクエストで歌ったのは「爆乳音頭」(笑)
いや確かにこのイベント「祭」だけどね……最後の最後、トリ前で「寄せて寄せて上げて上げて♪」ですか!?(爆)
……嫌いじゃないね(笑)
・石川浩司(ゲスト/メインステージ)
今回のメインゲスト!
元たまの石川浩司。いや……その言い方も失礼か。パスカルズ、ホルモン鉄道で現在は活躍中の石川浩司の方が表現としては適当か。
アコースティックギター一本で……5曲だったかな?立て続けに熱唱。
正直、たましかまともに知らないので、今回のソロのステージに魅入られた。
シンプル・イズ・ベスト。まさにそれ。
ギターの音色にメッセージ性の強い歌詞の数々……まさにこのゲストステージ、彼のための空間だった。
元たまのファンじゃなくても、この方が一流だという事は誰の目に見ても明らかだった。
そしてこのメッセージ性の強さこそ、今回、彼が「ケツフェスト」という一大イベントに呼ばれた最大の理由だと思った。
そこにジャンルの垣根は無い。
あったのは彼の放つ言葉から広がる、壮大な世界だけ。
圧巻のソロステージが終了。
続いてコラボステージと称し、ドラムセット(風呂桶とかあったけど・笑)でセッション開始。
金色樽兵衛らがギターなどをかき鳴らし、多くのラッパー、詩人がステージに立ち、石川氏の叩くドラムにあわせ思いの丈をぶつける。
そんな楽しい、奇跡のようなセッションも終了し、いよいよイベントは佳境に……。
最後は全出演者がステージの上に上がって、たまの代表曲「さよなら人類」を大合唱。
ステージの上も、客層もイベントの最後に、一つの歌で一つになった瞬間、大団円を迎えた瞬間だった。
こうして7時間超にも及ぶイベントは幕を閉じました。
●総括
どちらかというとアイドル、もしくはそれに近しいと分類される方々よりなので、どうしても好みははっきり分かれた。
でも逆にポエトリー寄りの方、ラッパー寄りの方も同じ心境だったのではないだろうか。
三木夫妻がこのイベントを通じて、大きなセンセーションを起こしたい気持ちは分かる。
事実、三木悠莉が昨今、アイドルイベントに進出して「詩人」の域を出て活躍しているし、実績も出している事実もある。
だけど今回のイベントで、各ジャンルの融合はあったかと言われると、それはちょっと難しかった部分はあるかも知れない。
極端な話、アイドル寄りの方が、もっと詩人に興味を持ったかというとそうでは無いと思うし、逆もまた然りだと思う。
でもそれが悪いとも思えない。
各ジャンルとも、そこには譲れないこだわりもあるだろうし、相容れないところも多々あるだろうから。
それによってアイデンティティを守っている部分もきっとあるだろうし。
むしろその点の各ジャンルの融合においては、個々人の裁量に拠るところが大きいように思える。
三木悠莉バンド、コトナが今回は一番、その点においてははっきり出ていたと思う。
でもそんなジャンルの垣根とか、そういうのを取っ払ったのが今回、ゲストの石川浩司だと思う。
彼の素養はミュージシャンなんだろうけど、最後のステージが全て。
強烈なメッセージを持っていれば、表現方法に関わらず、それは伝わる……というのを体現したと思う。
今回、色んなジャンルの方が出演したけど、最終的に目指すところは彼の領域なのだと思う。
あれこそ究極の「表現者」だと自分は感じた訳です。
まぁそんな訳で長時間イベントでしたが、個人的にはアイドル寄りの方のところでは大いに楽しめました。
ただこうして振り返ると、ポエトリー、ラップに対してはあまり関心が無かった自分に気付く。
でも次回はもうちょっと、その世界を理解できればいいな……なんて思ったりする訳です。
こうしたイベントを繰り返す事で、最終的に大きな各ジャンルの融合のセンセーションが巻き起これば、結果的に成功なのかと思います。
何はともあれ「祭」という表現はとても似合うイベントでした。
最後に主催の三木悠莉、金色樽兵衛夫妻、結婚一周年おめでとうございました!