※8/7~8/11公演。既に公演は終了しています。
暦の上では秋になったはずですが、未だに暑い日々をお過ごしの皆様、いかがお過ごしでしょうか。
ちなみに今年の立秋は8/7だったようです。
さて今年はいつもより観劇のペースがここ数年と比べても明らかに落ちています。
正直、8月は「夏の祭典」もあるので(笑)今年は控えてもいいかな……なんて思っていましたが、舞台への熱心なお誘いが一件……。
ちょうど時間もあったのでお伺いする事に決めた……のが、今回お伺いした舞台「夢art」となります。
さて今回の主催団体は「OFF VIVID COLOR」
ただこれ厳密には主催団体ではありません。
むしろ舞台を良く知っている方なら「VIVID COLOR」の方がピンと来る方が多いかもしれません。
「VIVID COLOR」……といえば元、現役のAV女優たちによる演劇集団として有名ですが、今回は頭に「OFF」と銘打ってます。
頭に「OFF」がつくその意味……いつもと何が違うのだろうか?
ただ今まで「VIVID COLOR」の公演を拝見した事の無い自分としては、あまり関係ないので初見の気持ちで観ればいいんでしょうが(笑)
もっとも出演者やスタッフなど拝見すると「アフリカ座」関連にたどり着くので、今回も「アフリカ座」関連と思えばいい。
うん。それが一番手っ取り早い(笑)
そんな訳で前説で登場した杉山夕嬢の姿を拝見して、妙な安心感を覚える自分でした(笑)
会場は下落合のTACCS1179。
何度もお伺いしている会場なので、道に迷う事はありませんでしたが、会場の中に入って思った事……。
舞台がだいぶ前方までせり出していないか……。
今回、この会場の最前列に初めて座ったのですが(笑)それでもこんなに前まで舞台がせり出している印象はありませんでした。
さてこの前にせり出した舞台。どのようなストーリーが展開されるのか!?
ここからは公演終了後につきネタバレありのあらすじを。
ただしまとめるのは非常に難しい(笑)
記憶喪失の少女がそこにいた。
何も思い出せない彼女だが、一つだけ分かっているのは、ここが夢の世界だという事。
その夢の世界で色んな住人が、自由に動き回っていた。
ある人は歌い、ある人は世界を守り、ある人は迫害されるのを恐れたり……。
少女もまた記憶を取り戻す事なく、夢の世界の中で生き続けていた。
本来なら夢を見ている主の目が覚めれば終わるはずの夢の世界は……ただ、ただ続いていた……。
現実の世界ではある一人の患者が昏睡状態から目覚めずに数ヶ月の時を過ごしていた。
主治医の天海(杉山夕・以下敬称略)と、看護師の真野(倉沢いちは)はその患者の素性を知らないまま、長い眠りから覚める日を待っていた。
だがその患者はある日、警察病院へ移される事が決まる。
詳細を知らされないままの通達に戸惑う天海たち……。
……一方、夢の世界でも住人同士の動きが活発化していた。
警察のケイトウ(山元彩)は上からの命令で記憶喪失の少女……ロスト(結城リナ)を捕らえるよう指示がくだっていた。
理由も知らされないまま動くケイトウとその部下達。
何も思い出せないまま狙われる事になったロスト。
しかしそこへ絡んできたのは猟奇殺人者のジェニ(國崎馨)……この夢の主、その者だった。
果たしてジェニの目的とは一体何か?
彼女が目を覚まさない理由とは?
そしてロストの正体は……?
ジェニが目を覚ましたその時、そこに広がった風景とは……。
……まぁこんなお話。
つまり一人の眠り続けている女性の夢の世界と、それに関わる現実世界の二重構造になっております。
物語のメインはジェニの夢の中。
しかしそのジェニも訳あって、数ヶ月に及ぶ長い眠りについている訳です。
最初は夢の中を舞台にした、とってもライトでシュールな展開のドラマでした。
某美少女戦士のパクリだったり(笑)、某ジブリのキャラをごった煮にしたような魔女が出てきたり(笑)
序盤はむしろ小ネタの数々で笑わせていただきました。
しかし中盤を境に一気にミステリアスな展開になっていく。この展開の自然さには舌を巻きました。
徐々に明らかになっていくジェニが眠った理由、そして物語の鍵を握るロストの存在……。
そしてラストは冒頭からでは想像のつかない展開が待ち受けていました……。
とにかく色んな意味で裏切られた。そんな作品です
物語の感想についてはこの辺にして、物語以外でも今回の作品は見所が多かったです。
まず舞台の構造。
通常の舞台は別に外側に一段、下がっている通路みたいな空間がありました。
この外側の構造が劇中では廊下の扱いや、人が通りすぎる描写に効果的に使われておりました。
また最前列の目の前を通るものですから、本当に目と鼻の先で熱演が繰り広げられ、出演者たちの息遣いが伝わってきました。
また劇中歌も素晴らしかった。
もう何度か拝見している結城リナ嬢を始め、本職が歌い手の出演者が多数。
今回もロストを演じた結城リナ嬢はもちろん、ポコ(越智春奈)、メノ(大和姫呂未)を演じた二人もその美声で劇中を大いに魅せてくれました。
あと基本、出演している女性陣が全員美人揃いでしたので、そういう点でも目の保養になって良かったですねぇ(笑)
結構、言葉にすると難解なストーリーですが、それを理解はしやすく書かれています。
上演時間は1時間40分。
どこかディープな世界でしたけど、総合的に見るといい塩梅だったと思います。
それでは気になった出演者でも……。
……となりますが、知っている方が多かったので、今回は知っている方中心に。
ロストの結城リナ嬢。
以前から歌は上手い印象がありましたが、初めて拝見した「MASTER IDOL~マスターアイドル~」の時よりも格段に演技がうまくなっているなぁ……と思いました。
本職は歌い手という事もあり、歌うシーンでは本当に絵になってました。
だいぶコミカルなところから、シリアスなところまで演技の幅が広がっていてよくなっているような気がします。
天海の杉山夕嬢。
なんだろう。この方の前説を聞くと妙な安心感があるんですよね(笑)
ちなみにこの天海って医者……彼女を初見となった「MASTER IDOL~マスターアイドル~」でも全く同じ役名、ポジションで出てましたので、懐かしさを感じました(笑)
むしろ今回の物語は「MASTER IDOL~マスターアイドル~」の後日談なのか……と勝手に想像して、勝手に納得してたりして(笑)
それにしても杉山嬢の白衣姿は映える(照)
ケイトウの山元彩嬢。
いや多分、知っている出演者で一番驚かされたのは彼女。
まず外見……その金髪にビックリしました!また今まで観たことの無いようなシリアスな役柄に二度ビックリ!(爆)
これまでは「残念だけど、なんてかわいらしい」というのがイメージでしたが、それが今回覆りました。
三十路になった事を散々ネタにしておりましたが、こんな三十路なら自分アリだと思います(笑)
そして最後に自分を誘ってくださったジェニを演じた國崎馨嬢……。
「これでもか!」と言わんばかりに彼女の魅力が詰まった舞台でした。
終始、猟奇的な一面を保ちつつも、それをさらっと演じてのけるところなど役柄もそうだけど、それを演じきるその演技力の高さに魅入られました。
時に淡々と、でも時に怪しく……何を考えているのか、簡単には悟らせない表情や立ち振る舞いが舞台の上でも一際、強い存在感を放っていました。
特にラストシーン……あの高笑いしながら舞台を去る間際、あまりの素晴らしさに鳥肌が立ちました……。
今年2月に拝見した「サリー」の春蘭丸も凄いお気に入りでしたけど、今回はそれを遥かに凌駕しました。
恐らく自分の中の「ベスト・オブ・國崎馨」
そう言って過言じゃないと思います。
本当に國崎嬢はアフリカ座関係と凄い相性がいいような気がします。昨年10月の「ウイルス・ミス」のライノでは今回とは全くベクトルが真逆の熱血風邪ウイルス(笑)も演じていたし……。
でも今回は特に彼女が熱心に私や、多くの方を誘った理由が分かった気がする。
そしてそれを観るために時間を割いても、おつりが出るほどの価値はあったと思います。
これは彼女のファンなら、恐らく今後出るであろう公演DVDを買っていいのではないか。それくらいの価値は絶対ある熱演でした。
そんな訳で久々の観劇でしたが、とにかくいい意味で裏切られました。
だけどこういう裏切りなら、何度遭ってもいいかな……なんて思ったりしています。
しかし帰り道、暗い路地に入ると、そこにジェニがいて自分が餌食になってしまうのでは……。
そんな有り得ない恐怖体験を想像しつつ、舞台の余韻に浸りながら夜道を歩いて帰りました……。
……でも今考えると、意外と怖い話だよなぁ……。