【舞台観賞】「フォーク」(劇団ロオル) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

※3/6~3/9公演。既に公演は終了しています。

さて3月になりました。
そろそろ春の気配も……と言いたいですが、まだまだ肌寒い日々が続きます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

早くも私自身、今年5回……いや5本目の舞台観賞に行きました。
(回数だけなら、1公演5回観劇とかあるので・笑)
今回はお初の劇団です。
もっとも知っている方の舞台ですが……。

今回お伺いしたのは劇団ロオル。
この劇団の主宰は本山由乃嬢。
実はこの本山嬢、実は演劇界隈ではなく、インディーズアイドル界隈で知り合った方です。
その界隈の方には「りん14歳」の中の人という表現が妥当でしょう(笑)

ただ今回はそのような先入観を抜きにして、一人の女優・本山由乃嬢が作り出す演劇の世界を楽しみに劇場に足を運びました。
もっともお目当てはもう一方おりましたが……それは後半語りましょう。

さて今回は初の劇団なので簡単に紹介を。
前述の通り、女優・本山由乃嬢が主催の劇団で2011年12月旗揚げ。
「女性のしあわせの在処」をテーマに作品を作る……と公式サイトにはあります。
今回の舞台が劇団ロオルとしての第三回の本公演。
劇団員は今のところ役者としては彼女が一人、制作が二名と所帯としては小さく、まだまだ若い劇団。
もちろん本山由乃嬢以外の出演者は全員客演となります。

そんな劇団ロオルの公演が行われるのは、高円寺にある明石スタジオ。
初めて行く劇場だったので前日に簡単に地図を見て行きましたが……迷いました(笑)
開演の20分前には最寄り駅の高円寺に到着しており、駅から5分と書いてあったので楽勝だと思いましたが……意外に分かりにくい場所でした(汗)
いやダメだね……初めての場所に山勘で行くのは(笑)

それでも開演5分前には到着。
急いで劇場に入ろうとするところで、客案内をしている由乃嬢にバッタリ遭遇(笑)
しかし舞台本番直前なので、会釈だけして席へ……。

さて今回の会場、初めてなのでどういう会場か書きますが……。

まず今回の舞台の配置から説明した方がいいかな……。
入口を入って、客席はL字状に配置されている。
自由席なのでどこに座ってもいいのですが、これは座る場所によって視点が全く異なる。
この配置は面白いと思いつつも、よほど視覚に訴える舞台でないと死角が出来てしまう事もあり、一種の賭けにも思えました。
そして舞台には3対の襖のような、白いドア状のような物体。
そこがやや高くなっておりましたが、劇中では様々な役割をこなします。

そして入場直後。
既に舞台の中央には丸まっている人らしき姿が……。

こうして入場後からカオスな雰囲気に飲み込まれ、やがて舞台の幕は上がります……。

公演終了後につき、ネタバレ有のあらすじ。



故郷である島に15年ぶりに戻ってきた晴海(岡元愛里)。
亡き母・碇(伊喜真理)が務めていた灯台守の跡を継ぐために戻ってきた。

この島の灯台守は、漁で出ている男達がいない間、島を取り仕切るいわば女達の長という立場にあった。
そんな晴海の帰りを歓迎する住人達。

しかし晴海の様子は何かの決意で固められているようだった……。
やがて彼女の記憶と思い出の狭間に現れる、白波(和田麻菜)の存在……。

立ち入りを禁じられた山に居る白波。
何かを明かそうとする晴海。

時が止まったような島の時間は、今まさに動き出そうとしていた……。



……えーっと……あらすじでどんな物語か分かった人、挙手!(爆)
実は自分も良く分かっていません(爆)

もっと簡単に言ってしまおう。

「故郷の島で幼馴染二人が再会して、島の因習などの謎を謎解きしていく物語」

ぶっちゃけるとこの一言で集約できる。

前半はこの物語の雰囲気作りがうまく展開していたと思う訳です。
とにかくどこか謎めいた島の雰囲気。
過去の晴海と白波の回想シーンを交えて、その辺りの表現はうまく出来ていたと思うのです。

島に住む人々の閉塞感とか、逆に島の外から来た行商人やら外から来た人間から見ると異様な光景というものも観てて分かるのです。

ただ……あまりにもその辺りの表現を抽象的にし過ぎて、印象を与える事に終始したためか、中盤以降の展開はどうにも理解しにくい。
島にどういう因習があるのかも、そして山に立ち入ってはいけない理由も分かる事は分かるんですよ。
ただ表現としては遠回しで、分かりにくい。ストレートに心に入ってこないんです。

そして終盤、特にオチ。
……ごめんなさい。なんとなくどうなったかは分かるんだけど、結局、最後どうなったのかが分かり難かった。
最後、これで終わりなの……?というスッキリしない感じはありました。

こうして観てみると、前半はまぁまぁ期待出来そうな展開だったにも関わらず、中盤以降が勿体無かった。
特に物語の筋や、結論が分かりにくい。
そしてこの物語で作り手が伝えたかったテーマや、メッセージ、これが全く見えてこなかった。

もしかしたら座る席を替えて2回以上、観劇をすれば今回見えてこなかったものが見えるのかもしれない。
だけどこの内容を2回以上観たいかというと……今回、出演している出演者のファンでも無い限り厳しいかな……。
純粋に出演者の演技を楽しむのであれば、その価値は大いにあると思いますが……。

敢えて厳しい言葉を言うなら脚本は大いに改善の余地あり。
もっと単純に、もっと分かりやすい言葉で伝える努力をしていいのではないでしょうか。

また座席の配置について。
私は前から3列目に座ったのですが、既に高さが足りませんでした。
今回の舞台は元からある舞台ではなく、椅子が高いところにあり、そこから出演者を見下ろす形になっているのですが、高さが足りず前が邪魔になって非常に観にくかったです。
こういう観客目線も一考してもらいたいと思いました。

上演時間は1時間20分。
前売料金が2,000円でしたが妥当かと。
ただ2,000円以上の価値の物を見せる努力は今後、精進してもらいたいと思います。



ここから先は気になる出演者でも。

今回は敢えてお目当てから行きましょう。
一人目のお目当ては主宰である本山由乃嬢。
脚本については厳しい事を言いましたが、一出演者としては期待に沿う物を見せてくれたと思います。
歳を取らない有明という女の役でしたが、その色気というかそういうものは存分に出ていたと思います。
今回は作、演出に回った都合上、出演が短かったですが、もう少し長く、色んな役を今後拝見したいと思いました。

そしてもう一人のお目当て、伊喜真理嬢。
先月「Dear...私様」では少年役を演じた彼女ですが、その面影は微塵も無い先代の灯台守・碇という女性の役。
劇中では既に故人ですが、キーマンの一人なので重要な場面では数多く出てきます。
灯台守としての威厳、そして時折見せる母親としての姿……彼女の演技の幅を垣間見た瞬間でした。
今年に入って、自分の中での評価が急上昇している役者の一人。
また拝見したいと思わせてくれる女優の一人でした。

なおこの作品。全て女性キャスト。
女性オンリーだと非常に華がありますが、今回は内容が島にまつわる因習に関わる内容だったので、華の中にも陰を感じました。
正直言ってしまうと、キャスト個々の演技力に多少の差は感じました。
しかしそこは違和感程度の差。
そういう意味では、個々の出演者の良さを引き出すという意味での演出はうまく行っていたように思います。

個人的に印象に残ったのは海猫役のつかさ嬢と、野原役の三原静夏嬢。
ただ鴎役の白井美歩嬢の抑えた演技も捨て難いし、実は少年時代の晴海と紺の二役だった小坂真名美嬢も評価したい。



総じて今回の所感としては、出演者と彼女達を引き立たせる演出はいいけど、脚本が……という感想。

今後、どういう方向に劇団ロオルが進むかわかりませんが、公演によっては売り切れも出るレベルの人気はある訳ですから、それだけファンも多い訳です。
次回の本公演でのパワーアップしている事を期待しつつレポートを締めたいと思います。

・劇団ロオル・公式ホームページ↓
http://gekidanrole.web.fc2.com/index.html