8月はすっかり舞台観賞をお休みしていましたが、9月になりボチボチ再開……といったところでしょうか。
しかし今月はインディーズアイドル業界の皆様は誕生日ライブのラッシュ期間!
本当に毎週のように誕生日ライブがあって大変です。
さてそんな私も何故か9月に知っている方や、観に行きたい舞台が重なって超大変!
本当に体は2つ、そして収入は3倍欲しいです(笑)
そんな訳で9月の観劇ラッシュになるであろう第1弾!
まず今回、観劇したのはハグハグ共和国の「プロタゴニスト」という舞台です。
ハグハグ共和国はこの舞台観賞シリーズでは2回目の登場ですが、昨年末の「ハグワィベル・シアター」以降、ちょいちょい触れています。
このハグハグ共和国で自分が一番、お気に入りの役者さんが、副代表の月野原りん嬢。
長身でスレンダー、きれいな方ですが美人という枠に収まらない、不思議な魅力の持ち主です。
昨年の「シュガー×ペッパー」以来、すっかり彼女の演技の虜になってしまいました。
そんな彼女が今回、どんな演技を見せるのか!?
そして客演のジャンベル座長、浅野泰徳氏はどんな怪演を見せるのか!?(笑)
観劇前の楽しみは大体、そんなところでしたが……。
さてそんな訳で訪れたのは、中野にあるテアトルBONBON。
今年の4月に「バカバッカ」で訪れて以来ですですが、中野MOMOなど4つの劇場が集中している同劇場。
もうすっかり自分の中でお馴染みの立地です。
そんな訳で開場直後くらいに到着。
早速受付……受付にジャンベルのマッシュこと升田智美嬢がいて、妙にそわそわする(笑)
まぁそんな一幕はさておき、自由席なので後方中央よりの席にスタンバイ。
何気に客席を見回すと、3月に「猫」だった方々もチラホラ……。
今回の舞台、3月のジャングルベル・シアター公演「天満月のネコ」のメンバーも多数出演していました。
そりゃ気になりますわな。
そんな個人的なうきうきな気分はさておき、やがて開演の時刻……。
公演も終了したのでネタバレ有りモードで感想を書きたいと思います。
……が、今回の作品、ネタバレ有りモードでも表現は難しいかもしれませんが……。
舞台は三里町という集落。
「上里」「中里」「下里」の三つの地区からなるこの集落に、茜(月野原りん・以下敬称略)という女性が「ドキュメント映画」を撮影するためにスタッフを引き連れるところから物語は始まる。
結構メチャクチャな事発言する茜に振り回される、三里町の人々。
町役場の職員の真菜(宇田奈央子)は呆れ返った様子でいたが、やがて茜に脚本を渡され語りかけられる……。
やがて物語は過去、未来、そして現在より少し前の世界と変遷する……。
真菜が観た物語とは……。
茜とは一体何者なのか?そして彼女が観てきた物語とは……。
幾つもの物語はやがて、一つの結末を迎える……。
まず第一声。
あらすじにするのは難しい(笑)
前作「シュガー×ペッパー」もそうでしたが、これが脚本・久光真央嬢の特徴的な表現と言ってしまえばそれまでなのですが、言葉にまとめようとして物語がまとめらるタイプの物語になっていない。
言ってしまえば、物語全体の輪郭はどこか朧気で、どこかふわっとしている。
だけどどういう物語なのか、この物語を通して何を伝えたいのか、それはしっかり伝わってくる。
いや伝わってくるという表現も適当ではない……心に訴えかけてくる。そういう表現の方が適当かもしれない。
それでは物語が難解なものかというと、そういう訳でもない。
でも言葉に説明するのは、若干、難解かもしれない。
恐らく文章の上では、物語はただの文字の羅列でしかない……はず。
だけど演出によって、敢えてところどころ、道筋をはっきり示さないで我々客層に判断を委ねるようなシーンの数々が想像力を掻き立てる……。
あくまで自分の解釈になってしまいますが、これは一人の女性の凄まじい半生を描いた物語であり、またある伝統を守ろうとした女性たちが紡いだ物語……という見方が出来る。
そしてこの物語を作り上げる上で、核となった出演者がいた。
茜を演じた月野原りん嬢、真菜を演じた宇田奈央子嬢、静子を演じた窪田悠紀子嬢……。
この三人を中心に物語は回り、三人の熱演があったからこそ、最後は大きな大きな感動を呼び起こした……自分はそう感じています。
とにかく今回の物語、特にこの三人を際立たせるために作られていたように思います。
そういう意味では久光真央嬢は、ジャングルベル・シアター・浅野泰徳氏とは対極にいる脚本家かもしれません。
全ての登場人物に愛を注いで見せ場を作る浅野氏とは対照的に、特定の登場人物を際立たせ、活かした上で物語を紡ぎあげていく久光嬢と言ったところでしょうか。
自分が最も対比しやすいので浅野氏を比較対象としましたが、こういう舞台の作り方があるというのを久光嬢は教えてくれたような気がします。
一見繋がっているようで、はっきりと繋がりがあるとは言い切れない、三つの物語……。
オムニバスとも言い切れない、このぼんやりとした風景の中から、伝わってくる、それぞれの生き方、そして生き様……。
不思議な感覚でした。
でも最後には涙腺が緩んでいました。
今回の舞台、正直、これ以上、言葉にするのは難しいくらい感動しました。
単純にOPから鳥肌もののダンスがあったり、EDの情景といい、ここまで文句のつけようの無い舞台は久々。
恐らく今年観た中では、自分が贔屓にしているジャングルベル・シアターを除いたら一番の舞台に出会えたかもしれない……。
……という事で、今回の舞台は1時間45分。
終盤、若干お尻が痛かったりしますが、終盤の感動で相殺される事間違いありません(笑)
暗転の多さとか細かいところのマイナス点はこの際、どうでもいいです。
そんな舞台でした。
さて今回気になった出演者の方々を枚挙していきますと……。
やはり茜を演じた月野原りん嬢。
毎回、素敵な演技を魅せてくれる方ですが、これまで観た中では今回が一番鳥肌ものの演技を魅せてくれました。
特に演じた年齢の幅が素晴らしい。
終盤は老婆の姿でしたけど、その老婆としての茜が本物の老婆と見間違うくらい、鬼気迫るものがありました。
この老婆の茜の悲しみ、そして信念というのが、ひしひし伝わってきました。
素晴らしいの一言しか出てこない。
続いて真菜を演じた宇田奈央子嬢。
彼女も年齢層が広めでしたねぇ。
劇中、殆どしゃべれないシーンが途中あったけど、そこでの表現の上手さは秀逸。
今回のヒロイン(もしくは裏ヒロイン?)と言って過言じゃない、活躍っぷりでした。
更に静子を演じた窪田悠紀子嬢。
彼女が演じた静子は、今回の登場人物の中では珍しく設定にあまり変化が無いキャラでした。
物語全体の楔ともいえるキーマン的なポジションで、印象深かったです。
それにしても宇田嬢も窪田嬢もうまいなぁ……。
今までハグハグ共和国は月野原嬢ばかり目が行っていた自分ですが、この二人の好演も光るものがありました。
それ以外のハグハグ共和国メンバーも全員秀逸。
個人的には伊喜真理嬢の日菜は、場面によってキャラが全然違うのにしっかり演じ分けていたのが印象的。
後は中村和之氏の好青年チックなところとか、個人的に好み。
総じて今回の舞台ではキーマンの殆どが劇団員でしたが、まさに「女傑」と呼ぶに相応しい演劇集団だと思います。
※あ、でも中村氏とこぢ氏は……どう表現しよう(爆)
さてそれ以外の出演者も触れていきますと、やっぱり今年3月に「ネコ」だった方々がどうしても目が行ってしまう。
そんな中で飛びぬけて印象に残っているのが、岡教寛氏。
彼は今回はメインじゃないはずなんですけど、妙にインパクトに残るんですよねぇ。
まぁ実際に毎回、濃いキャラを演じる機会が多いんでしょうけど……。
彼だけは昨年のハグワィベル・シアター以来、毎回、何故かしっかり覚えています。
でもこれって役者にとって大きな武器だと思います。
対極の位置にいるのが、笠田康平氏。
必ず岡氏とセットで拝見する機会が多いのですが、結構渋くて味のある演技が多い印象。
今回も派手さは無いけど、堅実さが光ったと思います。
「ネコ」だった方々以外だと、一色彩世嬢。
若い娘役をやらせると本当に絵になる方です。
ただ今後はもっと別のタイプの役を見てみたい方でもあります。
そして浅野泰徳氏。
今回はやや控え目でしたが、やはりところどころ悪かったり、おかしかったり(笑)
久光嬢は浅野氏のこういう使い方が上手いですね。
ジャンベルで見れない浅野氏の魅力が今回も満載でした。
……という事で「プロタゴニスト」の感想でしたが、既に終わってしまったしまったのが残念。
でもハグハグ共和国はDVDを販売するはずなので、機会があったらDVDで観てみたい作品です。
ちなみに「プロタゴニスト」の和訳は「主役」
物語全編のテーマが物語の「主役」をクローズアップしていた事からも納得のタイトルでした。
ハグハグ共和国。
これからもこの劇団の動向に注目していきたいと思いました。
・ハグハグ共和国・公式サイト↓
http://hughug.com/index.html