※この公演は6/29~7/7に行われたもので既に終了しています。
自分の中でライフワークとも言える劇団「ジャングルベル・シアター」
この「ジャングルベル・シアター」の名物公演がギャラリー公演シリーズです。
小劇場ではなく、本当に小じんまりとした空間で行われる、簡素な作りの舞台……。
客と出演者が同じ空間に存在し、お互いの息遣いすら聞こえる程、身近に感じる、まさに一体感を感じる世界……。
そんなギャラリー公演で演じられてきた七福神を取り扱った「おとぎ夜話」シリーズ。
いよいよ今回でシリーズ最終幕。
その名も「おとぎ夜話 -終(つひ)-」……。
今回はそんな「おとぎ夜話 -終(つひ)-」のレポートを致します。
会場はお馴染み、神保町・ART SPOT LADO。
40席程度の会場には普通の席と、前三列は毎度お馴染みの座布団席や、公衆浴槽でお馴染みの椅子が置いてあったりします(笑)
この座布団席など前列で座って観る事は、ある意味、一つの儀式と化しています(笑)
そしてこの座布団席など前列は本当に舞台が目の前に広がります。
とにかく近い!
前述のように出演者と常に同じ空間にいて、常に近くに感じるのがギャラリー公演の特徴です。
それでいて舞台は簡素な作りの階段状の舞台、それを覆う紺色の布があるだけで本当にシンプル。
出演者も一部メインの出演者を除いて、全身黒いスウェットに身を包んで佇んでいます……。
殆ど何も無い空間に、殆ど着飾っていない出演者が演技だけで一つの舞台を作り上げていく。
そういう意味で、出演者の技量がこんなに問われる舞台は他に無いと思います。
入場の案内から、チケットの処理なども数人のスタッフがいる以外は殆ど出演者だけで本番直前まで行っており、まさに手作りの舞台という表現が似合うでしょう。
さて前置きが長くなりました。
いよいよ開演という時間、主宰である浅野泰徳氏の挨拶から始まります。
例の如く、彼のライフワークである民俗学を小話を交えて説明してくれます。
この小話一つとっても、浅野氏の民俗学における造詣の深さが伺えます。
そして今回の題材……「布袋」について軽く触れてから、浅野氏の「おとぎ夜話、始まります」の掛け声の後、いよいよ本編開始と相成ります。
今回も公演終了後につき、簡単だけど詳細なあらすじを完全ネタバレモードで紹介します!(笑)
恒例となっていますが、この「おとぎ夜話」シリーズは大まかなストーリーと三本のオムニバス形式で進行します。
今回もその進行に沿ってあらすじを説明いたします。
民俗学を専攻する大学生・川端諸子(野上あつみ・以下敬称略)は卒業を控え進路で悩んでいた。
自分の好きな民俗学を極めるために大学院に行くか、それとも記者を目指し出版社に就職するか……。
そんな折、何故かこれまでの居酒屋のバイトに加え、呉町にあるゴルフ場のキャディーのバイトを始める。
ある日のキャディーのバイトの帰り道……。
突然雨が降り出し、屋根のあるバス停に駆け込む。
そこへ郷土史研究家・大伴御幸(大塚大作)と、近隣の美浜町在住の老女・北野真記(松宮かんな)が次々とバス停に駆け込む。
当初は大伴の怪しい言動に警戒していた諸子だったが、大伴が真記に見せた一枚の写真から話は動き出す……。
竹の林と大きな松の木、その間の一本道。
そして……松の木の下に一体の地蔵……。
この戦前の古い写真を偶然見つけた大伴は郷土史研究の一環でこの場所を探していた。
理由としてこの写真に写っている地蔵が珍しい様式をしていたのが、大伴の興味を強烈に惹いたのだ。
それは諸子とて同じで「地蔵の諸子」と呼ばれる彼女にしてみれば、これほど血が騒ぐ事は無かった。
竹の竿に袋を担ぐ地蔵……。
大伴はこの呉町近辺に伝わっている伝承から、この地蔵が「布袋」を現すのではないかと推測した。
その伝承というのが……。
・第一話「布袋竹」
昔、ある貧しい村の出来事。
毎日食うものに困るありさまで、村人同士の心はすさみ、喧嘩が絶えなかった。
村に住む青年・清兵衛(福津けんぞう)は、毎日僅かな食糧の中からお供え物を布袋に捧げ、村の暮らしが豊かになるように祈っていた。
そんな折、村の子供たちが一斉に行方不明になった。
村人総出で探索するが、子供たちは見つからない。
独り者の清兵衛はこの様子に気を病み、その日の食糧を全て布袋にお供え物として捧げ、村の子供たちが戻ってくるよう祈った。
その日の夜……夢枕にエガ……もとい、布袋(及川崇治)が現れる。
目が覚めたら、ある物を用意しておくから、それを使って子供たちを助けろと言って去って行った。
清兵衛が目覚めると、そこには一本の竹と大きな白い布。
竹に布をくくりつけ、清兵衛は山に分け入ると、しばらくして大きな鬼(竹内俊樹)が現れた。
清兵衛はなんとかその場凌ぎで自分を布屋と偽ると、鬼は自分の住みかまで清兵衛と共にひとっとび。
そこには行方不明になった子供たちが鬼の命令で働かされていた……。
鬼の居ぬ間に子供たちを布に隠す清兵衛だったが、結局、鬼に見つかる。
あっという間に追い詰められ、大ピンチの清兵衛!
その時「竹に掴まれ!」というエガ……布袋の天の声が……!
清兵衛が竹に掴まると……。
……そんな呉町に伝わる、布袋にまつわる伝承。
この話の中では、ちょっと布袋が違っていたような気がするけど(笑)
その話を聞いた後、真記は写真に写っている竹が「布袋竹」ではないかと指摘。
かつてこの近辺に住んでいた真記にとって、布袋竹は身近な存在だった。
この話をきっかけに真記、そして諸子も大伴と意気投合。
こうして一枚の写真がきっかけで三人の距離は近づき、毎週木曜日に会う事になった。
その後、親交を深めた三人だったが、一向に写真の場所は掴めず、もちろん写真の地蔵も見つからない日々が続いた。
だが偶然、諸子はこの写真の地蔵と似た……だけど一ヶ所決定的な違いを見せる地蔵の写真をある古本で見つける。
その古本の発行元、マイトレイア出版に諸子は赴く。
社長(西村太一)の話だと、先代の社長……つまり彼の父親が竹機村という場所で1951年に撮影したものだとわかる。
小学生時分にこの……首の無い地蔵写真を見せられた社長は、泣きながら登校したエピソードを語る。
そしてこの地蔵にまつわる、都市伝説についても聞ける。
それは夜中、この地蔵に触ると手足が無くなり、女性なら流産するというもの……。
そのエピソードとなった怪談話が1952年、呉在住の女子中学生から投稿されていた。
そのタイトルは……。
・第二話「袋担ぎ」
昔、ある村での話。
村の女の子が一人、行方不明になった。
女の子の母親(塚本善枝)は村中探し回るが見つからない。
やがて村人総出で山狩りが行われたが、それでも見つからなかった。
山からの帰り道、松の木の元に一人の袋を担いだ男の姿があった。
彼は数年に一度、この村を訪れる行商人(西村太一)
この日も偶然、村に立ち寄っただけだった。
娘を見なかったか尋ねる母親に行対し商人は「この袋の中に」と答える。
行商人が取り出したのは、娘の特徴を捉えた女の子の絵が描かれた薬箱。
事情を知らない故の軽い冗談だったつもりだが、この不用意な冗談が元で母親や村人から疑われてしまう。
そして行商人は母親と取っ組み合いになった際、松の下にいた地蔵を倒してしまい、さらに地蔵の首がもげてしまった。
これをきっかけに地蔵が身を挺して犯人を教えてくれたと思った村人たちは、彼を娘をさらった犯人と決めつけ、村に連れ込んで拷問にかけた。
三日三晩拷問が続き、それでも行商人が口を割らない。
そこで娘の母親は行商人の手足を焼くように提案する。
真っ黒にすすけた行商人の手足……。
さらに村人たちは真っ黒にすすけた手足を斬りおとした。
命乞いをする行商人の願いをよそに、村人たちは首のもげた地蔵の近くに穴を掘り、最後は行商人を生き埋めにした。
「覚えてろよ。お前たちも同じ目に遭わせてやる」
そう呪いの言葉を吐きながら、行商人は生き埋めにされた。
その翌日、行方不明の娘が町で保護されている知らせが入り、娘は無事戻ってきた。
しかし誰一人、無実の罪で生き埋めにした行商人の事を話す者はいなかった。
やがて一年の時が過ぎ、行商人が埋められた近くの竹に花がついた。
その竹は実をつけ、村人たちはありがたくその実をすりつぶし、団子にして口にした。
だがその夜、村は悲鳴に包まれた……。
一年前に生き埋めにしたはずの行商人の姿が……そこにはあった!
そして翌朝、村人には更なる悲劇が待ち受けていた……。
……そんな怪談話。
あまりに恐ろしい内容だったが、社長は諸子が地蔵を探している経緯に興味を持つ。
首なし地蔵を探していけば、本来探しているあの地蔵にたどり着けるのではないかと……。
これまでの経緯に興味を持った社長はレポートにして面白ければ、雑誌に掲載するかもしれないという話をして諸子に名刺を渡した。
突然の申し出に有頂天になる諸子。
地蔵に関する情報を調べつつ、ある事実にたどり着く……。
……次の木曜日。
首なし地蔵と「袋担ぎ」の話を見つけた事を得意気に話す諸子。
また大伴は1940年、「袋担ぎ」の話にあったのと同じ奇病が、首なし地蔵があった竹機村で起こった事を報告する。
すると真記の様子がおかしい……。
急に竹機村の場所を二人に問う。
竹機村の場所についてまでは調べがついてない事を二人が伝えると落胆した様子で席を立つ……。
真記が席を立っている間に、大伴に得意気に真記の過去をほじくり返した事を諸子は話す。
実は1940年、竹機村で真記という女の子が神隠しにあっている事。
そして真記がこれまで二人に話していた事(レストランを経営している、孫がいるなど)が全部嘘という事……。
だが真記はこれを全て聞いていた。
そして真記は神隠しにあったのは、多分自分と告白する。
昔、自分が竹機村で仕事をしていた過去を話し、それを「布袋様に助けてもらった」と言葉を残す。
竹機村の場所、そしてこの地蔵があった場所を探して欲しいと懇願する真記。
二つ返事で快諾する大伴と違い、諸子は何もいえなかった。
真記が去った後、大伴は諸子にこう言い放つ。
「実証も確証も無いまま、勝手に相手の過去をほじくり返して、勝手に発表している者なんか……研究者とはいえない」
……こう言い残して大伴もその場を去る。
大伴の言葉にショックを受けた諸子。
だがこのままでは終われないと、必死に地蔵の在り処を探した。
そして迎えた七夕の夜……諸子は大伴、そして真記を初めて出会ったバス停に呼び出した。
このバス停こそ、実は地蔵がかつてあった場所である事を諸子は突き止めた。
更に首のあった地蔵と、首なし地蔵が同じ地蔵である事を話す。
実は写真に写っている松は、ゴルフコースに株だけが残されて、今は「松株前」というバス停の名前だけがその名残を残していた。
更に偶然にも、罰当たりな事にゴルフコースのバンカーに埋まっていた地蔵まで諸子は発見して掘り起こした。
三人が出会ったバス停……実はここが真記の探し続けた、かつての竹機村だった。
そして真記は「そう……ここだったの……」と呟いた後……70年以上前の七夕の出来事を話し始める……。
・第三話「かくれんぼ」
話は真記の少女時代。
度重なる飢饉の末、竹機村の機織工場に女工として売られた少女時代の真記(升田智美)
他の女工が「故郷に帰りたい」と泣き言を言う中、自分が働くから、家族が食べていけると叱咤し続けて働いてきた。
やがてあっという間に四年が過ぎ、真記が14歳になった1940年6月頃、竹機村にとあるブームが巻き起こる。
明治時代の有名人「仙台四郎」の生まれ変わりとして「布袋の四郎」(本多照長)と呼ばれる男がやってきた。
うさんくさい男(浅野泰徳)に引きつられていたが、有難い存在として当時娯楽が少ない村では彼にご利益があやかろうと、村中で大騒ぎになった。
そんなある日「布袋の四郎」と真記は偶然出会う。それは二人にとって偶然の再会であった。
実は「布袋の四郎」と呼ばれた彼は真記の生まれ故郷・造り酒屋の三男坊「ぺーちゃん」だったからだ。
旧知のぺーちゃんに会った真記は最初、事情を飲み込めなかったが、ぺーちゃんを見出した男が彼を言葉巧みに騙している事がわかった。
真記は男に脅されたのもあるが、誰も自分の言うことなど信じないと決め込み、誰にもそれを言わず日々過ごしていた。
更に数日経った七夕の日、真記の元に一通の電報が届く。
それは妹が真記に宛てた、母危篤の報だった。
工場長(浅野泰徳/二役)に頼み込んで帰郷を懇願する真記。
すると工場長は夜の誘いを条件に考えていいと言い出した。
呆然とする真記。
偶然、その日風呂炊きの当番だった真記に、女工のユキ(浅野泰徳/三役)は小さな短冊の束を渡す。
女工たちの短冊を工場長に見つからないように燃やすため、毎年風呂炊きの当番は短冊を書いては燃やしていたのだ。
その光景を偶然見かけた、ぺーちゃん。
何故短冊を飾らないのか。飾らないと願いは叶わないと真記に語りかける。
すると真記の目から、次々と望郷の念が涙となって溢れた。
「私、おうちに帰りたい」
二つ返事で「じゃあ帰ろう」と返すぺーちゃん。
そしてぺーちゃんが取った行動とは……。
そんな感動秘話。
そして待ち受けていた結末とは……。
長い時を経て、紡がれた想いが一つの形となり結実していく……。
あぁここまで話の8割語っているな(笑)
あらすじじゃないよな(笑)
これが映像化されていたら、営業妨害で訴えられるレベルだな(笑)
それはさておき、そんな「布袋」をテーマにした今作ですが、おそらく「おとぎ夜話」シリーズの中でも、屈指の傑作!
自分も何度も見ましたけど、本当に感動して、毎回のように涙腺が崩壊しかけました。
一方でオムニバスの出来も非常に良く、第一話の大爆笑なストーリーと、第二話の背筋の凍る怖さは素晴らしかった。
ただ今回は謎解きという部分では、若干物足りない部分もあったかと。
諸子が主人公の「おとぎ夜話」ではヒューマンドラマに偏りがちで、彼女が頭をひねって謎解きしている描写が実は少ない。
なので諸子の人間的な成長や魅力はふんだんに盛り込まれているのですが、竜胆丸や大伴の時と比べると、いきなし謎解きが飛躍的に進んでいる感はありました。
結局、諸子の解明できなかった謎は、最後に大伴が調べ上げていたりするし……。
でも多分、これは重箱の隅をつついているだけで、諸子を主人公にするなら、これでよかったと思います。
まだまだ研究者の卵。だけど民俗学を愛し、その中で失敗も繰り返すけど、成長しようとしている彼女がそこには描かれていると思いました。
それにしても今回の「おとぎ夜話」は実はジャンベル作品史においても重大なターニングポイントになりました。
ジャンベル屈指の名物キャラ、諸子と大伴の初共演作品です!
これをジャンベル史上最大の事件といわず、なんという(笑)
大伴の最後の台詞から明らかに年末の本公演に向けての布石が整ったと思いましたが……これはジャンベルファンにとってはもう生唾もんですよ(笑)
とにかく年末の本公演も楽しみになる結末。
もう最高でした。
さてここからは出演者について語りたいと思います。
出演者の皆様、戦々恐々としてください(笑)
[ナビゲーター]
・野上あつみ
川端諸子役。民俗学を専攻している女子大生。本公演「河童の水際」の他、過去の「おとぎ夜話」シリーズでも登場している名物キャラクター。
あつみ嬢が最初に諸子を演じて、もう7年の月日が経つのか……まさに野上あつみという女優と共に成長しているキャラクターと言って過言ではない。
人間味が非常に溢れていて、年々魅力的になっているキャラクター。喜怒哀楽の表現が非常に秀逸。
これからも大切に演じていってほしい。
・大塚大作
大伴御幸役。本公演「青葉の足音」「サラマンドラの虹」の他、過去の「おとぎ夜話」シリーズでも登場している名物キャラクター。
暑苦しさとどこかうざったさは残しつつも、大伴もまた人としての成長が見られるキャラクター。
いつもなら竜胆丸に諭されるような事を、今回は諸子にしてみせるなど、彼もまた成長していると感じる場面が多々。
大塚大作氏にとって代表的なキャラなので、これからも大切に演じてほしい。
・松宮かんな
北野真記役。今回は老婆に挑戦した、ジャンベルが誇る「ジョーカー」
……すげーよ。松宮さん。その一言に尽きる。
どこかキュートなおばあちゃんを演じていたと思うと、暗い影の部分を演じて見せたり、その演技の幅にはいつも驚かされる。
ラス前のぺーちゃんに向かって語りかけるワンシーンは涙なしでは語れない。すごすぎて鳥肌が立ちました。
[第一話]
・福津けんぞう
主に清兵衛役。今年4月に結婚した、新婚さん。
相変わらずキャラクターの濃さはジャンベル随一。我が道をいっている。
ここ数回、第三話で外国籍(もしくはそれに近い)役ばかりだったので、久々に日本人を演じている彼を見た気もする(笑)
今回は第一話で彼の面白おかしさが前面に出ていたと思う。汗まみれになって笑いを取りにいった姿に感服。
・及川崇治
主に恵比寿(?)役。今回唯一の客演で、劇団ふれる~じゅ所属。
狭い会場を所狭しと暴れまわっていた印象が非常に強い。それにしても相変わらず運動神経凄すぎ。
またエガちゃん風な恵比寿や、相川のところの翔、邦衛どんところの蛍など小ネタも満載。
実は凄い芸達者だというのが、今回でわかりました。またジャンベルに出てほしい。
・竹内俊樹
主に鬼役。語り部などをさせても非常に落ち着いていてオールマイティーさが光る。
メインで演じた鬼の演技が非常に光るものがあったけど、相変わらず高年齢層の役にうまさがある。
優しい感じの声と、鬼の時のような怒った感じの声の使い分けは本当にうまい。
すっかりジャンベル劇団員として馴染んでます。これからも頑張ってほしいです。
[第二話]
・西村太一
主に行商人、社長役。ジャンベルが誇るアクションスター。
まぁ今回は及川氏にアクションスターの座は明け渡したけど、普通にいろんなキャラの使い分けがうまい。
何気に今回、一番感心したのは、悲鳴をあげたり、苦悶の表情を見せるシーンの数々。
あんなに痛々しい、西村氏を見たのは初めてだった……でも素晴らしい演技でした。
・塚本善枝
主に母親役。通称・おこ様。最近は少年役や、低年齢層の役が多かった。
……こんな怖い、善枝嬢、見たことが無い(爆)多分、今まで演じた中で一番ブラックな役柄が多かったと思う。
一方であんなに恐怖に恐れおののく彼女も見た事が無かったから、ある意味、一番新鮮な発見があったのは彼女だと思う。彼女の新境地が見えました。
あと出版社の女性社員(元ネタは「CALL ME」の長崎泉らしいが)も笑わせてもらいました。
[第三話]
・浅野泰徳
主に工場長、うさんくさい男、そして女工のユキ(笑)ジャンベルの主宰である。
工場長とうさんくさい男の悪い人っぷりが今回は半端ない。以前から悪い人をやらせても演技が光る人だったけど、今回はえげつないと……。
だからこそ女工のユキは大爆笑(笑)悪い人を演じる、彼の心苦しさがわかるワンシーンでした。
なんだかんだ言って、やっぱり美味しいなぁ主宰。
・升田智美
主に少女時代の真記役。通称・マッシュ。ハスキーボイスが特徴的な女優。
今回、ほぼすっぴんの三つ編みで臨み、見事に少女時代の真記を演じきった。
「おとぎ夜話」のたびに彼女の美しさ、面白さに気づかされますが、今回は純真さがとても良かった。
おそらく今まで見た彼女の中では最高の出来と言って過言じゃない。本当に素敵な少女でした。
・本多照長
主にぺーちゃん役。ジャンベルが誇る存在感。
今回は本当に無垢なまでに良い役。腹黒いものが一切無かった(失敬)
ほぼ全編通して、にこやかな笑顔であり続けた彼の姿はまさに「布袋」そのものでした。
最近、ちょっと黒い本多氏が多かったので、今回、久々に白い本多氏が見れて個人的には大満足。
……といったところでしょうか。
もう皆さんの演技にケチをつける気はさらさらありません。
本当に皆さんの演技に大笑いして、恐怖を感じ、そして号泣しました。
本当に素晴らしかったですよ。
でも今回は今までと違った面を見せた出演者も多く、それが一番個人的には楽しかったです。
後は及川氏が思っている以上にジャンベルに馴染んでいた事に驚きました。
そんなこんなで長くなったので、今回はこの辺で締めたいと思います。
今回、実は初めて「皆勤」なんて事をしました。
一度、やってみたかったんです。
初演から千秋楽まで、毎回欠かさず拝見して、毎日、微妙に変化している出演者の演技を、それを見届けたかったんです。
最後は殆どの台詞が頭に入っていたかもしれません。
毎日、同じ舞台を観続ける。
同じ物語を何度も観たら飽きる人もいるかもしれません。
だけど自分にとっては最高に贅沢な日々でした。
何故なら毎日、微妙に変化と成長を続ける、一つの舞台が本当の意味で完成されていく様を見届ける事が出来たのですから。
皆様、8日間本当にお疲れ様でした!
そして多くの感動を、本当にありがとうございました!
・ジャングルベル・シアター公式サイト↓
http://www.junglebell.com/