6月に入って3本目の観劇です。
いやー……6月は色々あった割にはしっかり楽しんでいます(笑)
今回お伺いするのは初めての劇団です。
昨年からジャングルベル・シアターに何度か客演している國崎馨嬢ですが、今回はそんな彼女のお誘いで行ってまいりました。
よーく考えたら、犬とか鼠の彼女は観た事あっても、まともな人間役の彼女を観た事ないので、楽しみにしながら行ってきました。
そんな訳で今回お邪魔したのは、u-you.company。
杉山夕嬢が座長を務める劇団です。
2005年頃に旗揚げし、今回が第11回公演との事です。
さてこの座長を務める杉山夕嬢。
脚本も手がける才女です。(脚本の時は、すぎやまゆう名義)
今回の作品も彼女が手がけたものですが、実は今回の公演で久々の役者復帰との事らしいです。
果たして復帰作でどんな演技を見せるのか!?
……と、言っても、休業前の杉山嬢を知らないので何とも言えませんが(汗)
さて今回の会場は下北沢にあるGeki地下Liberty。
舞台の聖地とか、メッカのイメージが非常に強い下北沢ですが、実は降り立つのは約2年ぶり。
下北沢で真っ先に思いつくのは、某隙間産業の地下アイドル(わかる人だけわかって)
会場の場所は予め下調べをしていたので迷う事なく到着……する予定ですが、ちょっと通り過ぎました(笑)
言い方悪いけど、入り口があまり目立たない。
ってか、小さい(笑)
注意散漫でいるとあれは見逃す(笑)
ただ久々に小劇場らしい、小劇場にきたなぁ……って感じもしました。
更に会場も段差のある席が段々と並ぶ。
狭い会場にひしめき合うように並ぶお客様。
……うん。悪くない(笑)
この狭さというか、密着感がたまらないねぇ。
そんな会場で前方にて席案内をしている女性……。
スタッフと見せかけて、彼女こそ座長である杉山夕嬢であった。
一旦、会場からいなくなったと思ったら、すぐに舞台袖から登場して前説(笑)
非常に物腰の柔らかい中にも、ジョークを交えご挨拶。
そして前説が終わり、会場が暗くなって、いよいよ舞台はスタートします。
さて公演終了後につき、ネタバレ全開モードで行かせてもらいます。
休業中のアイドル・柊透子(小花・以下敬称略)は俗に言う「多重人格」
主治医・天海(杉山夕)の元に通院して治療を続けていた。
透子の中には12人の人格が存在していた。
アイドルとしての役割を果たす5人の人格。
年頃の女の子としての4人の人格。
理性だけを司る3人の人格。
しかし通常の多重人格とは違い、それらは全て透子と同じ年代の女子の人格ばかりだった。
そんな中、更に新たな人格が生まれる。
男勝りの瑠衣(國崎馨)とそして中性的な丹(まこと)(結城リナ)……。
丹は「僕が透子を救う」と言い放つ……。
透子の頭の中でひしめきあう14人の人格。
果たして丹が言った透子を救うために取った手段とは……。
そして透子に訪れた結末は……。
そんなあらすじ。
まずタイトルでもっとバリバリなアイドルを描く物語だと思ったら大違い。
かなり硬派な物語だった。
物語の殆どが主人公である透子の中で起こる出来事。
つまり彼女の頭の中の事象を描いている。
自分の中にいる、自分以外の14人と接する透子という構図。
だけどお互いの人格が独立しているため、自分であって自分でないという矛盾を常に孕んでいます。
劇中でも透子は「自分が自分でない、抜け殻になっている」と言って嘆いているシーンがあるけど、まさにそれが如実に再現されていました。
冷静に考えたり、見たりすればする程、奇妙な構図。
だけどこれが違和感なく舞台の上では再現されていました。
この点の演出は非常に良かった。
だけど物語の終盤は若干、あっさりし過ぎている感も。
また透子の人格として作り出された14人には感情移入が出来ない点もあり、あっさりしている感に繋がっているのかも。
一人の症状の精神的な葛藤や苦しみの中で生み出された人格という割には、扱いはぞんざいだった気がする。
取り扱っている題材は面白かった分、人が思ったより描かれていなかったのは、若干残念だったように思います。
ただ色々面白い見方が出来る舞台だったのは、間違いありません。
もう一工夫加えるか、もしくはもっと焦点を絞り込めば、もう少しいい作品になった可能性もあります。
上映時間は約1時間40分……だったかな?
ちょうどいい長さでした。
気になった出演者……といいますか、今回は全出演者女性オンリー。
美人さんが揃っていたので、目の保養にはなりました(照)
まず挙げるなら天海を演じた杉山夕嬢。
まぁ普通にいい女医さんを演じてましたよ。
前座のようなどこかコミカルな部分はなく、冷静沈着な女を演じてましたね。
久々の役者復帰と仰ってましたが続けた方がいい人だと思いました。
続いて挙げるのは、ヒロイン・透子を演じた小花嬢。
実は彼女、舞台も観た事あるし、インディーズアイドルとして活動しているのも知ってます。
(アイドルとして拝見したのは、相当初期だったと思うけど)
凄い上手い……って訳じゃないんだけど、役作りはしっかりしていたと思うし、稀に自分以外の人格も演じなくてはいけないシーンがあり、それも難なくこなしていた印象。
ヒロインとして面目躍如です。
インパクトに残ったのは小西役の松井桃子嬢。
彼女と天海だけが、今回、透子の人格じゃないんだけど、パワフルな看護士を熱演していました。
結構シリアスな展開になりがちな内容の中で、このような役回りは本当に重要。別名、お笑い要員(笑)
だけど彼女がいたからこそ、話のメリハリが出来た部分もあり、影のMVPだと思います。
それ以外は全て透子の中の人格たちになるんだけど、沙月を演じた稲森美優嬢はかわいらしかった。
個人的には葵を演じた、山崎ゆりか嬢の落ち着いたきれいなお姉さん風の立ち振る舞いは好き(笑)
さて今回、お目当ての國崎馨嬢ですが……よく考えると、やっぱり普通の人間じゃないんだよな(笑)
一人の人間の中にいる別の人格って事だし。
女の子なんだけど、どこか男勝りというか……丹とコンビだった事も影響しているかもしれないけど、あの見栄を切ったような表情といい台詞の言い回しといい、國崎節炸裂!……ってところかなぁ(笑)
多分、ブリブリのかわいい女の子よりもどこか特徴的な娘をやらせてナンボなところもあるんだろう。
某ポチや、某白拍子では観れなかった、よりボーイッシュな彼女が観れた事が一番の収穫かな。
ここまで来ると次は男性役の彼女を拝見するべきなのか……。
でも舞台を降りると、普通に歳相応のかわいらしい女の子。
実際話してみた時とのギャップに彼女のポテンシャルの高さや、凄さを改めて感じる次第です。
次はどんな役を見せてくれるのか……また楽しみにしたいところです。
そんな訳で……自分の得意ジャンルと思いきや、タイトルで騙されたけど(笑)まぁ内容としては面白かったので別にいいかな。って感じです。
また機会があれば拝見したいと思いますが、杉山夕嬢が本体で活躍する「アフリカ座」も未見だから、そちらを拝見するのもいいのか……。
まぁそんな事思ったりなんかしていますが、なかなか訪れる機会の無かった、芝居の聖地・下北沢。
次訪れるのはいつになるのやら……。
そんな事を思いつつ、実は今、世話になっている祖母宅からは結構近い事にお得感を覚えて、帰路についたのでした(笑)