【舞台観賞】「割れて砕けてキラキラ落ちる」(演劇企画ハッピー圏外) | ヒトデ大石のなんとなくレポート置場

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2011年8月「ヒトデ大石のどんなブログにしようか検討中。」からタイトル変更。
ライブイベント、舞台観劇のレポートを中心に書いていこうというブログ。
以前はmixiが主戦場だったけど、今はこっちが主戦場(笑)

5月に入り急に暑くなり始めた昨今。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

先月末から今月頭にかけて諸事情により、あまり観劇する事が出来ませんでしたが、今月も一本拝見したい舞台がありましたので行ってきました。

今回、観劇したのは演劇企画ハッピー圏外「割れて砕けてキラキラ落ちる」です。
ハッピー圏外さんは私自身三度目ですが、主宰でもある内堀優一氏の脚本が個人的にお気に入りです。
そして「ジャンベルでは見れない」浅野泰徳氏が見れる劇団です(笑)
また出演者も以前の作品に出演されていた方が多数でしたので、非常に楽しみにしておりました。

会場はすっかりお馴染み、下落合・TACCS1179。
いつものように階段を降りて、地下の劇場に到着。
開場直後に席を取ったので、自分的には比較的ベストポジションを確保。

そして開演をひたすら待つ。
すると……訪れるお客様の中にチラホラ知っている方の顔が……。
ぶっちゃけるといつも素敵な演技を見せてくれる役者の皆様なのですが、3月に行われた「天満月のネコ」メンバーが大勢……。

確かに一人、二人お会いする事は過去にも何度もありましたが、これだけの人数のメンバーを同時に拝見するとは……。
正直、驚きました(笑)
ただ本編とは直接関係無い話なので、ここは割愛させていただきます(笑)

開演直前になり、主宰で席案内もしていた内堀優一氏の前説が開始。
間もなくして舞台の幕が上がります……。

既に公演も終了しているのでネタバレ有りモードで簡単なあらすじを書いていきます。
まぁ私が拝見した時が千秋楽だったのですが(笑)



今回の舞台は事前に告知していた通り、三つの話のオムニバス形式になっている。
だがそれぞれの話の案内人的な役割で登場するのは、前作「砂のカケラを取りに行く」での怪演も記憶に新しい死神(大串潤也・以下敬称略)
彼が関わるという事は、よからぬ出来事の前触れと思うのだが……。

「一幕:オーダーストップ」

「年に一度だけ奇跡の一杯が出される」という噂の喫茶店が舞台。
客席には誰かをずっと待ち続けているという古風な学生(西村耕之)と何故か死神の姿が……。
死神は程なくして席を立つが、学生はコーヒーを何杯もおかわりしてある人を待ち続けている。
そこへある人物を追っている警察や、この店の噂を聞きつけて来店した有名人(出村貴)を巻き込んで、話は突飛な方向へ飛躍していく……。

果たして学生の待ち続けている人とは?
学生の意外な正体とは?
そして「年に一度だけ奇跡の一杯」とは……?
ちょっと不思議なファンタジー。

「二幕:シェークスピアの進撃」

舞台は変わって「劇団光」の稽古場。
前作「砂のカケラを取りに行く」でも縦横無尽(?)の活躍をした後藤田文蔵(矢野平祐)の劇団である。
そして今回は後藤田の盟友で大御所俳優・ザムザ祖師谷(家紋健大朗)を向かえ本公演を開くというのである。
しかし裏方を交えた会合の段階で、ハチャメチャな無理難題を要望しまくる後藤田とザムザ。

紆余曲折を経ながらも迎えた本公演!
果たしてどんな舞台が待っていたのか……。
抱腹絶倒間違いなしのコメディー。

「三幕:割れて砕けてキラキラ落ちる」

ある森に迷い込んだ、喫茶店の一人娘・梅子(彩島りあな)
彼女は森に住む死者たちに命を狙われている。
それもそのはず。死者たちは迷い込んだ生きているものを森の出口で殺せば、森の外に出られそして成仏できるからだ。
そんな梅子と偶然出会った戦国時代の落武者(中川敏伸)と死神。
落武者は梅子を言葉巧みに騙して、森の出口で殺そうと画策する……。
しかしそんな梅子を追いかけていた江戸時代の武士(東野善典)、更に警察が追いかけていた強盗犯・大久保(高橋雄一)も生きたまま森に迷い込み事態は混迷を極める。

そして落武者の方も、当初は梅子を殺すつもりだったが、彼女に娘の面影を重ねある事に気付き、落武者の心境に変化が生まれる……。
しかし追いかけていた武士との戦い、その混乱に乗じ(梅子を死者と勘違いした)大久保の手にかかり梅子は刺されてしまう……。

死神に梅子を助けて欲しいと懇願する落武者。
死神は落武者にそれなりの代価を支払う覚悟があるのか尋ねる。
首を縦に振る落武者。

そして死神の手により、時間は遡り始める……。

果たして梅子の運命は?
落武者の行く末は?
これまでの話を絡めて、そして物語は結末に向かっていく……。



……まぁこんな感じですね。

一見すると一番関連性が高いのは一幕と三幕。
特に二幕は単独の話として成立するレベル。アクが強すぎる(笑)

ただ二幕の圧倒的な存在感の強さがあって、三幕後半に深みを持たせていると私は思う。
それまでの一幕、二幕の一見関係ないように見える伏線までが、ここに繋がっていたという点では感心する……というよりは面白かった。

オムニバスはそれこそジャングルベル・シアターの「おとぎ夜話」シリーズで何度も触れていますが、最後に話が一つにまとまって初めて完成形を見ると思います。
そういう意味では今回も、最後の最後でキレイにオチがついたので、完成形を観たのかな……とは思います。

ただ人によっては三幕後半については、人によっては「力技」と見る向きもあるかもしれません。
二幕のシーンが絡んでくるのですが、二幕の存在自体が今回のオムニバスでは飛びぬけて異色だったからなぁ(笑)
三幕のラストであんなに感動したのに、脳裏にはどうしても後藤田文蔵とザムザ祖師谷だけがリフレインされる(笑)
でもこの手の濃いキャラを際立たせる事が出来るのは、やはり以前から何度かお話している通り、脚本・内堀優一氏がライトノベル作家ならではの発想力、力量なのかな……とは思います。

……ってか、後藤田といい、ザムザといい、今回出なかったけどデンキマンといい「ハッピー圏外」は濃いキャラの宝庫過ぎる(笑)



そんな訳で気になった出演者でも。

言うまでもなく後藤田文蔵の矢野平祐氏と、ザムザ祖師谷の家紋健大朗氏。
この二人を挙げないと、今回バチがあたりますよ!いやマジで!(笑)
後藤田文蔵は前作「砂のカケラを取りに行く」でも、デンキマン同様「有り得ない」枠での活躍を見せたネタキャラ(笑)
しかしこのキャラがここまで活きるとは……しかも今回はネタキャラのはずが、無茶苦茶センター張っていたからもう大爆笑。
それに対抗するように、またこのザムザ祖師谷というキャラも濃いなぁ……と。
家紋健大朗氏は毎回、演技を評価している方なんですが、ここまでぶっ壊れたキャラを拝見したのは初めてだったんで、また彼の違った一面が観れて良かったです。
とにかくこの二人のインパクトが本当に強すぎ。
これで今回、出てこなかったデンキマンが絡んだら、どんなストーリーになるんだ……(爆)

あとこの二人の濃さには及ばなかったものの、有名人役の出村貴氏も良かった。
有名人なんだけど名前がそこまで出掛かって出てこないレベルの有名人という微妙な立ち位置(笑)
でも劇中で見せる演技の数々はその微妙な立ち位置を見事にこなしていたと思います。
劇中では後藤田とザムザと混じっても唯一、違和感の無い役柄だった事も評価大(笑)
でも今回は濃い目でしたねぇ(笑)

さっきから二幕ばかり評価しているので、それ以外もちょっと……。

一幕を中心に出演した、喫茶店マスターの高木順巨氏。
落ち着いた感じのいかにもマスターという大人の感じの男を好演。
終始、浮ついた印象があった一幕の中でも、地に足ついた感じが印象的でした。

三幕だと落武者の中川敏伸氏。
前作では冷徹な敵役でしたが、今回は感情豊かな人間味溢れる落武者を演じていました。
前作とのギャップもひっくるめて、評価したいと思います。

そして梅子の彩島りあなちゃん……今回も健気な演技がおじさんの心を打ったぞ!(笑)
前回よりは出番も少なくて本領発揮とはいかなかったかもしれないけど、この年頃の娘としては最高にうまい演技を見せてくれたと思います。

さてここからは知っている出演者でも……。

ご存知、ジャングルベル・シアター、浅野泰徳氏。
今回はデンキマンじゃなくて、作家1として登場。名前もまんま「浅野さん」だし(笑)
劇団員の方が見たらどうなのか分からないけど、きっと普段の浅野さんがそのまんま舞台に出たのが今回なのかなぁ?
自分は「そうか。普段、浅野さんはこんな感じで脚本を作っているんだ」みたいに想像してしまいました。
こういう自然体の浅野さんも、たまにはいいかなぁ……(でもデンキマンをまた期待している自分がいたりして・笑)

続いて青木準氏。3月の「天満月のネコ」ではあらいぐま親子の父・ラスコーを演じていた事で記憶に新しい。
今回は二役。「兄貴」と呼ばれる刑事と、二幕では舞台監督役で登場。
どちらも好きでしたけどね。インパクトがあるのは兄貴の方ですけど(笑)
この方、台詞がとても聞き取りやすい。だからハキハキしている印象があります。
また違った役を拝見したい一人ですねぇ。

そして今回、実は影の主役だったんじゃないかと思われる死神を演じた大串潤也氏。
言い方は失礼かもしれませんが、微妙にムカつくところあるんです。この死神(笑)
ただそれは人間と感性が違う故、人間の心情を理解出来ない(もしくは理解しようとしない)が故。
それをうまく演じているという印象があります。
奇妙な迫力と怖さがあって、まさにハマリ役と言って過言では無かったと思います。

またこの劇団特有の集団での演出。
今回も二幕を中心に本領発揮。
毎回、あの集団での動きには感心させられてしまいます。
出演者全員に今回も盛大な拍手を送りたいと思います。



大体、こんな感じでしょうか。
ちなみに上演時間は内堀氏曰く「1時間59分30秒」(笑)
でもこれだけの内容ならば、これくらいで適当だと思いますし、ちょうど良かったと思います。

ただ思い返せば、やっぱり二幕は長めに取っていたとは思うんですけど……うーん長く感じなかった。不思議だなぁ。

そんな訳で満足して会場を出ると、一角が「天満月のネコ」プチ同窓会になってました(笑)
自分的にはこの一角が豪華過ぎて、目をキラキラ輝かせていたのですが(笑)あまりお時間を割いてはいけないと思い、早々に挨拶だけして立ち去りました(笑)

でも「ハッピー圏外」今回も期待に違わぬ出来でした。
また次回公演も観に行きたいと思います。
果たして次回はどんなとんでもキャラが登場するのか……(笑)



・演劇企画ハッピー圏外・公式サイト↓
http://happykengaiofficial.web.fc2.com/index.html