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hither and thither

格別別様の言葉を述べるのでなく、

打ち返した水のように和やかに通過したい日々

昨日読んだ3冊の小説全部面白くなかった

今日見た3本のDVD全部泣けなかった

信じてと言う彼女全く信じられなかった

明日の朝御飯はいるのか尋ねる母五月蝿かった

捕まったミュージシャンの話題気にならなかった

休みの間は何処に行くのか聞く友人煩わしかった

まだ部活に勧誘する先生どうでも良かった

4浪目の医学部希望の兄可哀相だった

この夏イチ押しの流行りのパンツ欲しかった

バイトの面接に遅刻行きたくなかった

明日読む3冊の小説頼む俺を裏切らないでくれ



その男は

熟れた月の夜に鏡の中の自分を愛するのだ

鍛えぬいた肢体を撫で回しうねる

彼が接吻したい相手は彼でも彼女でもない

温室で乱れ咲いた薔薇の中に埋もれる自分だ

贅肉の無い筋肉質な足に女物のストッキングを穿き

手でなぞって鏡に映し出されたそれを愛でて射精するのだ

錆び付いた世界の寂びついた孤独の中で

男は彩り輝く愛する自分の排泄物でさえ受け入れる

溶け出す狂ったエロスは毎夜途切れなく続く

隣の空き地に15階建のマンションが建つんだ

母親が反対運動に参加するって鉢巻を作っていた

父親はコーヒーだけ飲んで新聞を持って家を出た

姉は英語のテストで満点を取る為と殺気だっている

祖父はもう十年以上も前に亡くなっている

祖母は病で床に臥せってもう長い

右隣りに宝くじで1億円当てた弁当屋がある

そこの奥さんが1億円持って若い男と夜逃げしたって

今じゃお祖母さんと逃げられた亭主で切り盛りしている

おばさんが作るから揚げはものすごくうまかったのに

向いの家ではお兄さんが子供を2人連れて戻って来た

「会社の寮がなくなって」とそこの家のおばさんは言った

「本当は離婚して戻って来た」と裏のお婆さんが言った

お兄さんは何も言わずに子供を毎朝保育園に連れて行く

角の家は新興宗教に入っていていつでもお経が聞こえてくる

その家の子供たちはぐれて暴走族に入ってしまった

昔はガンダムとガンキャノンのプラモを作ってくれたのに

「今日は雨が降ります」とTVのお天気姉さんが言った

夜中までかかった宿題のレポートと傘を持って僕はこれから学校に行くのだ

詐欺師は闇を過ぎ行く灰の中


涸れてゆく愛情の最後の滴り


暗いほうへ明るいほうへ転がりぬ


空の無い孤独の崩るる様を見つ


はるじゃじゃなたより送りけむ


サバイバル乗り越えた勇者の背


ネオンに魅せられくだりより病む


知ることで全て終わりし水枕


散らねど悲しき千年杉


少年は

毎晩顔を殴られた

たくさん鼻血が出て倒れるまで

父親は手を振り下ろすのを止めなかった

酒臭い唾を吐き捨てて部屋に入る

少年は

まだ寒い2月に庭に放り出され

血で滲んだ顔をトレーナーの袖口で拭った

母親は

夜な夜な繰り広げられる

アルコールと暴力ショーのせいで

アザだらけになった身体ひとつで

ある日全てを置いて逃げてしまった

医者である父親と

その少年と弟を残して


まだ8歳だった少年は

逃げ場も無く

それでも愛に餓えていた少年は

毎晩

父親に顔を殴られた


それから

20歳を過ぎた彼は

父親の跡を継ぐために医学部に入った

父親から殴られた傷跡が少し顔に残っているが

全身ブランドの鎧を身につけて

彼は堂々とキャンパスを闊歩している


私を肌の色で分けてしまわないで

私を宗教で分けてしまわないで

私を男と女で分けてしまわないで

私を言葉で分けてしまわないで

私を強いものと弱いもので分けてしまわないで

私を歴史に囚われて分けてしまわないで

私をあなたとの違いで分けてしまわないで

それだけで私の居る場所を奪わないで

青い空の下にいる私を見つめて

雨に打たれてずぶ濡れになっている私を見つめて

素晴らしく壮快に目覚める朝があるように

如何仕様も無く涙ばかり流れる日があるように

私の居る場所は奪わないで

夜中に煙草の匂いがする腕の中で目覚めた

名前くらいしか知らない男の鼓動に触れると

一瞬に全てを知ったかの様になり

重要ポイントは繰り返し復習したのに

偽物の愛とは気づかずに両手を伸ばし掴もうとしては狂う


地上の遥かに咲く花の命も

光の中を飛んで行く虫の命も

全てが私の手の中で起これば良いのに


やがて


玄関の鍵は永遠に閉めたけれど

クローゼットから

やがてあなたは私の部屋から出て行った

何処かに帰るの


何処へ帰るの

ビールの栓を抜いて 今夜の相手を値踏みして

衰えてきた駅前のビルの臭いを嗅ぎながら通り過ぎる

炎天下を歩くことはとても狂気じみているが今は子の刻

思い余って道端で済ませてしまったが吹く熱いビル風は強く

あの乱れが一層私を哀しくさせる


足音も無く静かに立ち去る

漏れた息を取り戻す 無駄な行為


まだ幸せになりたいのか




沈んでしまう太陽なんていらないから

東から昇る太陽が美しくても


消えてしまう炎なんていらないから

私たちの文明がそこから始まっていようと


枯れてしまう花なんかいらないから

例え世界中で珍しいものだと言われても


誰も未来なんか分からないのなら

誰も明日の事なんかわからないのなら


様々な屈辱を味わってきた体には

踏みじられたプライドを捨てた心には

自分自身の過去から逃れられた私には


人生は至って簡単なものだと教えてくれた彼と

働くことがいきる事の全てだって言う彼と

夜に目覚めて朝に寝る酔っ払いの彼と

愛人が3人もいるお金持ちの彼と

人に愛されるのを酷く拒む彼と

私を支えてきた多くの彼らにせめて拍手と喝采を


さあカーテンコール

彼の骨太の指が私のと絡まって溶けた

彼は口唇で左手に翳した指輪を盗ってしまって

ひゅうっと風が通り過ぎる感覚を楽しんでいる

形にならない此処で互いに慰め合って

私たちは太陽を必要としないのだ


言葉の問題はもっと深刻で

渇いた喉は潤す水ばかりほしがっている


薄っぺらいけれど広い胸に耳を押しあてて

鼓動に雑じって聞こえる彼の本音をそっと聞く


良き人よく見このまま私がいなくなっても

惜しも淋しい鉄砲は声のする方へ行ってしまう

その前に手放してしまえば良い

どうせ空に放たれて終い私はこがれ散るのだから