47年前の1959年9月26日は、後で伊勢湾台風と名付けられた大型台風がやって来た日である。

 伊勢湾沿岸における被害が余りにも大きく、他の地域のことは余り取上げられないが、私に取っては怖い台風であった。


 伊勢湾から350㎞も西に位置する当地方でも、風雨はすさまじかったと記憶する。


 私が暮らしていた田舎は、内海から20kmほど奥に入ったところにある。

 家のある集落は、谷間にあった。幅は200m余りで緩やかに斜面をなしていた。真ん中を2mもないような小川が流れ、流れに沿って車1台がやっと通れる道がある。小川と道の両側には、段々になった田んぼが山際まで続いた。

 私の家は、その集落の中程で道のすぐ傍らにあった。


 台風がやって来た時、家にはお袋と私達4人兄弟がいた。父は、私には義父であったが、所用でいなかった。

 昼間で良かったと今でも思う。

 雨で水嵩の増えた小川を縁側から見ていたら、道までも流れに変えてしまった濁流が一気に押し寄せて来た。縁側の下に置いてあったサンダルを取上げる暇がない程の流れだった。

 家の前は、田舎道にしては珍しく真直ぐであり、上手側に隣家の畑の高い石垣があったのが幸いした。流れに直接巻き込まれなくて済んだのだ。

 少し落ち着いてから、裏口へ回り、高台の隣家へ皆で避難させて貰った。

 後日、上流へ行ってみると、土砂崩れの後があった。これが鉄砲水となって流れ下ったに違いないと思った。


 万年カレンダーによると、当日は土曜日だったとある。午後だとすれば、もう帰っていたのかも知れないし、台風に備えて休校だったのかも知れない。


 これが私の伊勢湾台風の想い出である。