遺言が2つある場合、

前の遺言と後の遺言のどちらが有効でしょうか。

 

遺言の内容が抵触している場合には、

後の遺言が前の遺言を撤回したとみなされるので、後の遺言が有効となります。

 

みなさん、結構ご存じですよね。

 

でも、これって

あくまで、遺言内容が抵触している場合なんです。

 

では、前後の遺言で内容が同じ部分はどうでしょうか?

 

遺言内容のうち、同じ部分は、前の遺言が有効となります。

 

同じならまだいいのですが、

後の遺言で前の遺言にふれていない場合はどうなるのでしょうか。

 

もちろん、前の遺言は有効のままです。

 

例えば、

前の遺言

1 すべての財産はAが相続する

2 死亡保険金の受取人をBからAに変更する

3 上記の遺言執行者を〇〇会社にする

 

後の遺言

1 すべての財産一切をBが相続する

2 上記の遺言執行者をBにする。

 

いかかがでしょうか。

前の遺言の2の死亡保険金の受取人の変更は相続財産ではありません。

したがって、死亡保険金の受取人をBとする内容は有効のままです。

当然、前の遺言の〇〇会社は遺言執行者の就任承諾すれば、遺言執行者です。

 

遺言執行者には遺言に基づき忠実に執行する責任があります。

遺言執行報酬は、どうなるのでしょうか?

もちろん発生します。

(トラブルを避けるため、遺言執行者に ならない場合が多いと思いますが…)

 

前の遺言と後の遺言で内容が抵触のない場合って結構あるもんですよ。

 

判断能力もあり、時間も許せるなら、複数遺言を書く場合には、前の遺言を撤回したうえで、全部書き直した方が安全です。

 

まあ、前の遺言を撤回する場合、前の遺言で多くもらうはずだったのに、後の遺言で少なくなった場合には不満がでしまうので、すべての遺言を撤回するのがいいとはいえないですけどね。

 

ですので、誰にも遺言内容をしられていない場合は、遺言者自身が遺言を破棄するほうがいいときもあります。遺言がなかった

ことにできるわけですから。

 

なお、公正証書遺言や自筆書遺言で法務局の保管制度を利用している場合は、遺言者が死亡したときに調査すれば、前の遺言があったこと(書き換えたこと)がわかってしまうので、どの方法がいいかはケースバイケースであるとは思います。

 

遺言を書き換えるたい場合は、あとで困らないように、司法書士、弁護士、行政書士等の相続の専門家に確認したほうがいいですよ。ってお話しでした。

 

川崎市麻生区新百合ヶ丘、稲城市で

遺言書の書き換えといったらの

司法書士田中康雅事務所がお届けしました。