解散は総理の専権事項? | 声なき声を聴く政治 千葉県議会議員 鈴木ひとし

声なき声を聴く政治 千葉県議会議員 鈴木ひとし

千葉県議会議員選挙で20328票を投じていただき当選致しました。
引き続き公平公正な社会づくりに力を尽くしていきたいと考えています。

 

風を吹かせる 

この「県政かわら版」は野田佳彦元総理の「かわら版」と一緒に配布していますので誤解が生じないようにしたいのですが、これから述べていくことは、あくまでも私の考え方であることを、ご承知の上でお読み頂きたいと思います。

 私は日々、新聞を紙で3紙(日経・朝日・千葉日報)、ネット版を併せると5紙(前述+読売・毎日)に目を通しています。同じニュースでも、新聞社によって捉え方、書き方が違うので、考え方を広げるという意味で、興味深く読んでいます。

 ところで、各紙ともサミット前から「衆議院解散近し」という、いわゆる「解散風」が吹き始めたと、しきりに報道しています。いずれも「サミットで世論を盛り上げて、支持率が上向いたところで解散に打って出る。いまなら野党の選挙準備も整っていないので、勝機がある」。という論調ですね。

 

7条解散

 「衆議院解散」とは、「任期を満了する前に、議員の身分を奪ってただの人」にする極めて重大な行為といえます。さて、新聞などには「解散は内閣総理大臣の専権事項」と書かれていますが、それでは憲法に解散権の行使に関する規定があるのかというと憲法69条の「内閣不信任案が可決した場合には議会を解散して国民に信を問うことができる」という意外には、憲法には7条で「天皇の国事行為としての解散」がある以外、明確な条文は無いのです。実は1993年に宮澤内閣に対する内閣不信任案が成立し、解散したとき以来、憲法69条による解散は一度も行われておらず、「内閣総理大臣の専権」として憲法7条による解散が慣例化しています。

 この憲法7条による解散について、憲法学者の芦部信喜氏は(1)衆議院で内閣の重要案件(法律案、予算等)が否決され、または審議未了になった場合(2)政界再編成等により内閣の性格が基本的に変わった場合(3)総選挙の争点でなかった新しい重大な政治的課題(立法、条約締結等)に対処する場合(4)内閣が基本政策を根本的に変更する場合(5)議員の任期満了時期が接近している場合、などに限られるべきと解すべきであり、「内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は、不当である」と述べていて、「解散は内閣総理大臣の専権事項」というのは絶対的とは言えないのです。

 実は日本が議院内閣制を敷く上でお手本とした英国では、2011年に下院の解散には議員の3分の2以上の賛成が必要となる法改正をし、首相が自分の都合がいい時に解散権を行使するしてしまうのを制限しています。

 議員に選出されるには、有権者の皆様から投票して頂く、つまり民意を得なければなりません。本来、その民意は任期中(例えば4年間)は有効であると想定されます。解散はその民意を覆す重大な行為であり、時の内閣総理大臣が自己の権力基盤強化や、党利党略で行うことが許されるのか否か、もし解散総選挙が行われたときには、頭の片隅に浮かべていただければと思うのです。