尊敬できる上司をサポートし、上司がさらに活躍して人生の質を高めることに関与できるのは、秘書という仕事の醍醐味です。一方で、秘書は上司を選べませんから、どうしても尊敬できないという上司であってもプロとして仕えなければなりません。また、上司も人間ですから、毎日仕事をしていく中では、当然イヤな面に触れることもありますから、常に100%尊敬できることばかりではないでしょう。

 

仕事柄多くのお客さまと接するなかで、同じ人を見ても、その人のいい面を見つけ出す人と悪い面ばかり見つけ出す人がいることに気がつきました。ご自身が成長していく方というのは、いい師匠や手本を見つけるのが上手です。そのポイントは、「○○の部分はこの人から学ぼう」「この分野については、○○さんが優れている」というように、モデルを分けて持っているのです。一人の人にすべての手本となってもらうことを期待すると、その人の弱点や欠点が見えたときに、すべてを否定することになります。また、自分にとって、完全に手本となるようなメンターに出会えるかどうかもわかりません。「手本がいない」「尊敬できる人に出会えない」と嘆くよりも、パートごとに手本を見つけ、その人から学んだ方が早いということでしょう。

 

上司についても同じことが言えます。「尊敬できる素晴らしい上司に出会えない」と嘆いていても、残念ながら秘書は上司を選べません。どうせ仕事をするなら、自分の上司の尊敬できる点は何か、学べることはないかと考えた方が建設的です。せっかくたくさんの方と接する仕事をしているのですから、その人のよい面を見つけ、自分に取り入れていきたいと思えば、職場は手本に溢れています。

 

残念ながら上司に尊敬できない点があったとしても、上司も自分と同じ人間なのだと思えば、「仕方ないな」「人間らしいな」と受け入れられるようになります。外からはスーパーマンのように見られている上司の弱点や欠点を知ることができるのも、近くで働く秘書の特権なのですから。それを把握しているからこそ、それを補うためのサポートができるのです。自分だけが知っていて、誰にも言わずに腹に隠して、素知らぬ顔でフォローしている。そんな逞しさを常に持っていたいものです。