発売になりましたあーーーーーーー!

 

 

まえがき大公開です!

 

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(羽生さんの、この言葉からこの本をスタートしたかったんですね)

 

 

こんなアンケート結果があります。

アメリカで90歳以上のご老人に聞いたものです。

質問は……

 

90年の人生を振り返って、後悔していることはなんですか?」

これに対して、なんと、90%の人が同じ答えでした。

それは……、

 

 

 

「もっと冒険しておけばよかった」

 

 

 

あの世には、お金も家具も服も家も持ってかえれません。

だから、財産を失うことは、ほんとうの不幸ではないんです。

では、この世の最大の不幸はなんでしょう?

それは……。

 

 

 

死ぬ前に後悔することです。

 

 

 

死ぬ前に後悔することこそ、最大の不幸です。

 

では、なぜ、いま、9割もの人が死ぬ前に後悔するような社会になっているのでしょうか?

 

それは、他人との比較から「他人の目」を気にしすぎて、

また、「お金」に縛られて、

「生き方」を置いてきぼりにしてしまったからです。

 

「生き方」とは、生きる「目的」と、そこから生まれる「美学」です。

 

僕らは、今、心からときめく「目的」を失っているのです。

なんのために生きるのか、

なんのために朝、起きるのかという「目的」を……。

だから、美学がないんです。

 

美学がないから、自分の中に行動の基準がないので、周りに流されて、

人生から生きがい、やりがいが消えてしまうのです。

 

それは美しいか、楽しいか、

それはかっこいいか、

それは未来の子どものためになるのか、

という視点が抜け落ちているのです。

それを一緒に取り戻そうというのが

この本なんです。

 

そして

心ときめく、生きる「目的」とは、

そもそも他人と比べるものではないので、本来「数値」がつかないものなんです。

「年収1億円」「100万部ベストセラー」とか

数値がつくものは「目標」に過ぎません。

僕らは「目標」ばかりに囲まれて、一番肝心な「目的」を失っているのです。

 

矢野監督率いる阪神タイガースには、

野球をやる明確な「目的」があります。

 

 

 

 

「こんなかっこいい大人になりたい」と、

子どもたちの見本になること。

 

 

 

 

これが、矢野監督にとっての、野球をやる「目的」なんです。

その目的を実現するために何を大切にすればいいのか、

そこから生まれるのが「美学」(マイポリシー)です。

矢野監督の美学は、これです!

 

「ただ勝つだけじゃ、面白くない。

超積極的なプレイ、そして、あきらめない姿を見せて、

かっこよさで魅了する」

 

お金と勝ち負けばかりを目標にしていくと

人生から「面白さ」と「かっこよさ」が消えるのです。

 

 

矢野阪神は、チャンスがあればすぐ盗塁します。

失敗を恐れず超積極的に挑む姿こそ、面白いし、かっこいいからです。

 

矢野阪神では、一方的に失敗がとがめられることはありません。

超積極的な姿勢で挑んだ失敗に関しては選手に再びチャンスが与えられます。

かっこよさとは失敗しないことではなく、

失敗した後に、どう挽回するか、その姿を見せることだからです。

 

だから阪神は、昨日、失敗した選手が、今日、大活躍する。

先月、成績を残せなかった選手が、今月一番のヒーローになるのです。

 

阪神の選手は、凡打になっても、1塁まで全力疾走します。

あきらめない姿で観客を魅了することが目的だからです。

あるライバルチームのコーチからも

「阪神の選手は、凡打でも全力疾走ですごいな」と言われるようになったそうです。

 

矢野阪神では、打てると思ったら、

ノーストライク・スリーボールでも積極果敢に打ちにいっていいんです。

それが結果、凡打でも、とがめられることはありません。

フォアボールで無難に塁に出るために、練習してきたわけじゃないからです。

超積極的なプレイで、ファンのハートをノックアウトするために野球をしてるからです。

 

だから、「矢野野球は負けても感動がある」と言われる現象が起きているのです。

 

矢野阪神は、負けたときにも深々ファンに頭を下げてお礼を伝えます。

試合の最後に並んで「1、2、3」と声を合わせてカウントして3秒間、

タイガースの選手たちが深々頭を下げて観客に一礼してる姿を見たとき、

矢野監督は心が震えたそうです。

「めっちゃいいチームじゃないか。このチームで日本一になりたい!」と。

自分たちの姿が子どもたちの未来になるからこそ、

最後まで、かっこいい姿を見せたいという矢野監督の想いを、

選手たちがバージョンアップして一礼してる姿を見て、心が震えたそう。

「グランドを去るときの挨拶までかっこいい。

彼らの姿を見て、子どもたちが真似してくれたり、

ファンの人たちに誇りを持ってもらえるのではないか」と。

 

音を楽しむと書いて音楽ですが、野球だって楽しむことが原点です。

困難すら「楽しむ!」と決めて、

超積極的に挑む姿で、

観客を魅了し、

子どもたちの見本になる。

それが矢野監督の美学であり

「俺たちの野球」なんです。

 

 

矢野監督が掲げた「俺たちの野球」は、選手やコーチたちの、

やる気と才能を引き出し、2018年、

前年最下位だった2軍の阪神をわずか1年で日本一に導きました。

 

その勢いのまま2019年、矢野監督は1軍の監督に抜擢され、

1軍でも、前年最下位だった阪神をわずか1年でAクラスの3位に引き上げ、

翌年は1つ順位をあげて2位に。

3年目の2021年は勝ち星77勝と両リーグトップでありながら勝率わずか5厘差、

ゲーム差なしで惜しくもヤクルトスワローズに敗れて2位となりました。

しかし1軍監督就任から3年連続でAクラスに入るというのは1964年以来の57年ぶりのことです。

ましてや矢野監督のように初監督で就任1年目から3年連続Aクラスは

1リーグ時代を含めると77年ぶりの快挙です。

 

もう一度、僕らは「生き方」を取り戻す必要があると思うのです。

 

僕らは、お金や効率、結果だけを追い求めるあまり、

生き方(美学)を置き去りにしてしまった……。

 

でも、時代はいま、変わりつつあるんです。

矢野監督のように、理想を掲げる人に共感が集まる時代に。

何より理想から描いたほうが、絶対、人生面白くなるんです。

 

 

複雑化し、不安定な先の見えない、いまという混迷の時代は

「この先どうなるんだろう?」と予測しても外れるだけです。

こんなときこそ理想を描き、「未来をどうしたいか」というヴィジョンを描き、

新世界へ向かうときなんです。

 

 

「あなたは未来はどうしたいですか?」

「この世界がどうなったら最高ですか?」

あらためて美しい未来を選ぼうという提案なんです。

未来をあきらめる前に。

 

江戸時代までの日本人には、粋か野暮かで物事をシンプルに考える美学がありました。

でも僕らは今、

損か得かだけで考えてしまっている。だから、

粋か野暮かで生きていた頃を復活させたいんです。

美学のない人生なんて香りのない花のようなものだから。

 

矢野監督の「考え方」には、僕らが後悔なく幸せに生きるために、

大事なエッセンスが散りばめられています。

それを矢野監督のメンタルコーチである大嶋啓介と、

「考え方」の研究家であり、作家の、ひすいこたろうが、

3年かけて矢野監督にインタビューさせていただき紐解いたのがこの本です。

 

矢野監督をメインボーカルに、

大嶋啓介がメンタルコーチの立場から矢野野球の強さのポイントを解説し、

ひすいこたろうがその考え方を、リーダーや経営者、主婦、学生まで様々な立場の人が、

それぞれの日常に活かせるようになるコラムを添えて、

3人の共著というスタイルで進めさせてもらいます。

 

だから、野球にまったく関心がなかった人や、

ファーストとセカンドの違いすらわからないという人まで(そんな人、むしろ好きですね)、

ぜひ読んでいただきたい内容になっています。

 

YouTubeで見つけた、阪神ファンのメッセージにこんな一文がありました。

「矢野監督は、阪神の黄金期をつくってくれる監督。あと10年は監督をやってほしい」

でも僕らは、矢野監督の考え方は、

 

阪神の黄金期をつくるだけではなく、

日本の黄金期をつくってくれる考え方だと感じています。

 

もちろん矢野監督だって、まだ道半ばです。

伝えていることがチームとして全て完璧にできているわけではない。

でもいま大事なのは目指すこと。

一番星を見上げて生きることだと思うのです。

 

 

この本は、「もっとかっこよく生きたい!」「もっと楽しく生きたい!」

そして、「日本をもっと面白くしたい!」

そう願うすべての人に捧げます。

 

 

では、プロローグの最後に、矢野監督からもひと言。

 

 

 

矢野燿大です。

プロの世界では、勝ち負けに真剣勝負で、ある意味、

『楽しむ』なんて言葉はタブーな世界で、

僕も現役時代は、楽しもうなんて思ったこともありませんでした。

 

でも現役を引退して、子どもたちの野球教室に指導に行ったときに、

子どもたちが目を輝かせて野球を心から楽しんでいるその表情を見て、

僕は魅力を感じたんです。

同時に、いまのプロ野球は、このままで、ほんとうに

子どもたちの勇気と希望につながっているのだろうかという疑問もありました。

 

そんなときに、たまたまYouTubeで、大嶋啓介さんの講演の映像を見たんです。

大嶋さんは、僕の中に漠然とあったもの、

かっこいい野球、楽しむ野球の世界観が見事に言語化されていました。

それで、『大嶋さんに会いたい!』と思って、

周りに『大嶋さんを知らない?』と声をかけていたら、

紹介いただくことができたのが出会いのきっかけです。

 

そして、その大嶋さんがぜひにすすめてくれたのが、ひすいさんの本でした。

大嶋さんは、ひすいさんの出された本50冊すべてを母校にプレゼントするほど、

ひすいさんの『ものの見方』のファンだそうで、たしかに読み始めたら、めちゃくちゃ面白い。

しかも、面白いだけじゃなくてためになる。

それで僕も、選手たちとのミーティングの場面で、

ひすいさんの本の内容を伝えたりするようになったのです。

 

大嶋さん、ひすいさんのおかげもあり、

僕の目指すべき野球がどんどん確立していったわけですが、

今回、2人に解説いただき、一緒に本を出せる機会に恵まれました。

最後まで楽しんでいただけるとうれしいです。

 

それではお待たせしました!

プレイボール。

 

 

 --------------------引用こここまで。

 

 

というわけで、読んでいただけると嬉しいな。

新刊のこと、たっちゃんとのpodcastラジオでも語っています。

 

 

 

グリーンズではこちらで語っています。

合わせて聞いてもらえたら。