「なぜジョブズは黒いタートルネックしか着なかったのか?」
(通称なぜジョブ)
この本を一緒に書いた、
相棒の滝本洋平さんが、
この本のラストメッセージに、こんな話を書いています。
僕は、洋平さんが、
この原稿をメールしてきたときに、
パソコンの前でガッツポーズをしました。
この本に命が宿ったと思ったからです。
今日はその話をシエアしますので、ぜひご覧ください。
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「なぜジョブ ラストメッセージ」滝本洋平
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大学3年生の頃、
今思えば僕はどうしようもない状態でした。
なんとなく入った大学にはほとんど行かず、
レンタルビデオ屋でバイトをしながら、
見通しの悪い将来に目を向けないようにして、
ダラダラと過ごしていました。
そんな僕に、じわりじわりと就職活動(シューカツ)が迫ってきたのです。
将来のために、どうやらシューカツとやらをしなきゃならんらしい。
でも、やりたいことなんてないしなぁ。
ま、なるべく大きな会社に入って、
なるべく多くの給料をもらえれば……。
そんなことを漠然と考えながら、なんのワクワク感もなく、
それどころかよくわからない不安に包まれながら、
シューカツの流れに飲み込まれていったのです。
どよ〜んとした気持ちを抱えながら、
何もできずに悩んでいただけのある日、
近所に住んでいた方の紹介で某出版社の編集長にお話を聞かせていただく機会を得ました。
別に編集者になりたいわけじゃなかったのですが、
「クリエイティブな仕事っぽい! なんかいいじゃん!」
と、何も考えていない学生ならではの好奇心に後押しされて、
出版社に向かいました。
そこでお話を聞かせてくれた編集長が、キラキラした目でこう言ったのです。
「僕はね、作りたい本を作ってるんだ。
やりたいことをやってる。仕事は楽しいよ」
その言葉に、僕は心を撃ち抜かれました。
作りたいものを作る!
やりたいことをやる!
そんな仕事の捉え方があったなんて!
仕事は大変で、嫌なもの。
でも、生きていくためには、仕方なくやらなければならないもの。
残された大学生活は、たぶん人生で最後の自由時間。
はぁ、大人になるのは大変じゃのう……。
そう考えていた当時の僕にとっては、とてつもないインパクトだったのです。
熱くなった僕はその場で言いました。
「いいですね! 僕もやりたいっす。入社させてください!」
間髪入れず、いや、ちょっと食い気味に、編集長は言いました。
「無理! 新入社員採用したばっかりだし」
見事に撃沈した(あたりまえ!)僕は、考えました。
さて、どうしよう。
そこで思い出したのです。
そういえば、出版業界で無茶苦茶な人がいたな。
自分の自伝を出すために出版社を立ち上げた人……
そうだ、高橋歩!
あの人たちの会社は、
まさに「作りたいものを作る。やりたいことをやる」自由なところだったはず!
すぐに、高橋歩が立ち上げた出版社・サンクチュアリ出版のサイトにアクセスしてみました。
そしてそこにあった掲示板で、ひとりの女の子の書き込みを見つけたのです。
「私は大学3年生で、これから就職活動なんですが、その前にサンクチュアリ出版の方に話を聞きに行きたいんですが……」
僕は、勢いで返信を書き込みました。
「俺も同じくこれから就職活動。話を聞いてみたいから、2人で会社を突撃訪問してみようか!」
それを見た副社長から返信が来たのです。
「そんなやり取りをしている2人に座布団一枚! 今度会社説明会をやるから、2人ともおいでよ」
今思えば、優しい対応ですよね。僕が逆の立場なら、絶対に無視すると思います(笑)。
実はサンクチュアリ出版、その時点で高橋歩さんは既に会社を仲間に譲り、
世界一周の旅に出発。営業をやっていた鶴巻謙介(ツル)さんが代表を引き継ぎ、
完全新体制で第2期のスタートを切ったばかりのタイミングだったのです。
そして、緊張しながら会社説明会に行きました。
場所は六本木にあったカフェ。
そこにはリクルートスートを着た7人の学生が集まっていました。
夢と期待に胸を膨らませた僕たちに向かって、新社長であるツルさんが語り始めました。
「サンクチュアリ出版は高橋歩が立ち上げた会社で、出版された本には夢のような話がたくさん書いてあったと思いますが、現実は大変なことが山盛りで……」
なんと、会社の説明ではなく、自分の苦労話を長々と話し続けたのです。
そして最後にこう言いました。
「それでもこの会社に入りたいと思う人、手あげて〜」
1時間の会社説明(苦労話)で、7人中4人が脱落。
3人しか手をあげなかったのです。
恐るべし、ネガティブトーク!
しかし、熱くなっていた僕は、なぜか手をあげてしまっていたのです。
そして後日、事務所で行われた社長面接を経て、実際に入社できることになりました。
しかし、僕は迷っていました。
当時のサンクチュアリ出版は、誰も知らない本当に小さな有限会社だったのです。
「社員数名の、下手すりゃ日本一小さな出版社。給料も10万円だって言うし。親父に伝えたらなんて言うだろう。わざわざ東京の大学にまで行かせてくれたのに、そんな意味不明な会社でやってみたいって言ったら、絶対反対するだろうな。
そもそも、この選択は本当に正しいんだろうか。自分みたいな平凡な人間が、こんな道を選んで生きていけるんだろうか」
そんな不安と迷いを抱えながら、
広島にいる父に、恐る恐る電話をしました。
その電話口で、父がこう言ってくれたのです。
やりたいことをやればええよ
父は、反対するどころか、背中を押してくれたのです。
不安と悩みに満ちていた僕の心が、一瞬で晴れ渡ったのを覚えています。
この一言が、最初の一歩を踏み出すきっかけを与えてくれ、そして僕にとっての重要なマイルールになったのです。
これまでの人生、迷うことが何度もありました。
その度に、僕はこの原点を思い出し、自分の軸を確認してきました。
やりたいことやらなきゃ、今まで選んできたこの道が嘘になる。
そう思いながら、自分の踏み出す一歩を、いつも確認しているのです。
「やりたいことをやる」
ある意味、あたりまえなのですが、すごく重要なことだと思っています。
この本を作りながら、たくさんの人たちのマイルールに触れました。
いろいろな形のルールを紹介しましたが、自分の人生を、自分の意思を持って、かっこよく歩んでいる人たちはみんな、「やりたいことをやる」というルールを根っこに持っているように感じました。
そして今、子育てをしながら、つくづく思うのです。
毎日楽しそうに、全力で生きている子どもたちは、
「やりたいことをやる」という単純で純粋なルールしか持っていないじゃん! と。
もしかしたらこれが、人生を輝かせるための「基本となるルール」なのかもしれません。
そしてもうひとつ、現在進行形でルール化していることがあります。
それは、なるべく早く「やることは決まり!」という設定に持っていくということです。
「やるかやらないか」を悩み続けると、やらない理由も浮かんできてしまう。
そうではなく、まず、「やることは決定ね」と決めてしまう。
そうすれば、「どうすればできるか」に考え方がシフトする。
あとは、動きながら考えていけばいいのです。
本づくりもそうです。
「できたらやろう」では、いつまでたってもできない。「やる」と決めて、締め切りも決めてしまえば、前向きに動き始めるのです。
ズルズルのんびり進行していたこの本も、
「ひすいさん、今年の11月に出すのは決まりですよ」
という話をしてから、一気に形になりましたもんね。
(はい。締め切りを決められるまでは、のらりくらりとしてました(笑)byひすい)
僕がオーガナイザーを務める『旅祭』を、
屋内イベントから野外フェスにチェンジしたときもそうでした。
フェスなんてやったこともないし、
どうすればいいか想像もつかなかったけれど、
「やることは決まりね」と決めて動き始めれば、
転がるようにカタチになっていきました。
11年目を迎えた今年は、7000人が集まるフェスになりました。
鎌倉に移住すると決めたときもそうでした。
住むことを決めてしまえば、働き方やスタイルも自然に出来上がっていきました。気づけば、週の半分は大好きな鎌倉で過ごしながら、バリバリ仕事ができています。
人生の大きな決断は、
ほとんどこの思考で決まっているんじゃないでしょうか。
やりたいことをやる。
そのために、
「やりたい」ではなく「やる」と決めてしまう。
そうやって覚悟を決めれば、転がるようにすべては動き始めるのです。
この本を作っている途中、父が68歳で他界しました。
六十代とは思えないほど若々しく、病気もほとんどしていなかったので、
まだまだ10年、20年と生きていてくれるもんだと思い込んでいた父が、
突然いなくなってしまったのです。
まだ何も恩返しできていない。
親孝行できていない。
後悔の念に何度も襲われました。
それでも前を向くしかありません。だったら……
僕は、「やりたいことをやる」人生をしっかり踏みしめ、毎日を輝かせることで、天国の父に伝えていくしかないと思っています。
お父さん、あの時の言葉のおかげで、毎日が最高に楽しいよ。
幸せな人生だよ。
ありがとう。
ではラスト、僕があなたに伝えたい最後の言葉はこの3行です。
「やりたいことは何?」
「それ、やればいいじゃん」
「じゃあ、いつまでにやる?」
滝本洋平
出典「なぜジョブズは黒いタートルネックしか着なかったのか?」
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4902256754/nicecopy-22
というわけで、みんな
いますぐ9月3日の予定は破棄してくれ^^
破棄してくれたの?
ありがとう。うれしい!!!!!!!!!!
じゃあ、9月3日はここに集合!
洋平さんが、人生をかけてプロデュースしてる
旅祭!
アーテイストの顔ぶれも凄いからぜひチエックしてみて。
http://tabimatsuri.com/2017/artist
旅をテーマにした野外フェス、旅祭。
キーワードは「自由。冒険。非日常。」
旅祭のコンテンツは、音楽だけではありません。
トークやパフォーマンスを楽しんだり、
体験したことのないアトラクションに挑戦したり、
旅仲間と出逢い、一緒に楽しくお酒を飲んだり、
青空の下、芝生の上でゆっくり寝っ転がったり、
友人と一緒に思いっきりはしゃいだり。
ひとりでも、友達とでも、カップルでも、家族でも。
旅のスタイルに決まりがないように、
好きなことを好きなだけ、楽しむことができます。
まるで、世界中を旅するように
刺激的な1日を、お楽しみください。
僕も遊びに行きます^^
敏腕編集者の滝本洋平さんが、
どんなふうに場を「編集」してるか
ぜひ目撃してくださいな。