■「困る」




イッセー尾形さんの一人芝居を見に行ったことがあります。

舞台後、ロビーでサイン会があり、僕は即座に並びました。


徐々に僕の番が近づきドキドキしてきます。





さて、ついにイッセーさんが至近距離で見える位置まできました。

すると、「あれれれれれーーー」って。


イッセーさんじゃない人がサインしてるんです!


並ぶ場所間違った!


と思いきや、その人こそイッセー尾形さんでした。




舞台後のイッセーさんは、繊細でシャイな感じで、


まるでアルバイトのスタッフのように存在感が消えてました。


素でロビーに座ってるイッセーさんと、


舞台で演じてるときのイッセーさんは


僕には全くの別人に見えて、そのギャップが、めちゃめちゃにかっこよかったんです!




勝負してるときの自分と普段の自分が別人のように違うってステキですよね。




それは、別人のようになれるリングをもっているってことですから。

別人のようになれるリングをもてるかどうか、


そこが人生の勝負だと思います。




でも、実は、誰もが別人のようになれる瞬間が人生にはあると思うんです。




それは……「困ったとき」


この日、僕がサインをしてもらった本、




「イッセー尾形の人生コーチング」の監修者で、


イッセーさんの舞台の演出を手がけている森田雄三さんはこう書かれていました。




「人生は、いいことばっかりだと、つまらないじゃない。


思ってもいなかったことに出会っていくことのほうが面白いというか。


たいてい思いがけないことというのは、いいことよりも、悪いこと、


困ってしまうことのほうが多いんだけど。


どうやって大変な事態に立ち会ったときに、これを乗り越えるのか。


『はい、こうしたらいいですよ』なんて、そんないい方法はあるわけがない。


だから困るんだけど、困ったときほど人間って、不思議と生き生きとするものなんだよね」




火事場のバカ力ってありますよね。




例えば、子供が車の下にはさまれたとき、お母さんが車を持ち上げたとか。

困ったときは、「心のバカ力」がでるとき。




困ること、それは別人のあなたが顔を出すときなんです。




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■24世紀の国語辞典

□「困る」=「究極の潜在能力開発法」



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だから、ルパンはピンチのときにいつもこう言うんです。



「次元、おもしろくなってきたぜ♪」





出典「イッセー尾形の人生コーチング」朝山 実 (著) 森田 雄三 (監修)