『カデギ: 物流倉庫でミックスコーヒーをがぶ飲みしながら働いた話』
発売日:2023/7/15
イ・ジョンチョル (著)
印 イェニ (翻訳)
首藤 若菜 (解説)
ある船上で著者に出会ったことから、この本に巡り会った。
韓国で出版した本が日本語に翻訳された本ということは、表紙から読み取れた。
読み始めてから、著者が若い頃に経験した話を元に書かれたお話。
独特のテンポで進んでいくストーリー。
これは韓国特有のものなのか、著者の特徴なのかはわからない。
今、日本でも物販会社の倉庫業務は過酷と言われている。
それは、韓国でも同じということがわかった。
労働環境の過酷さと、
やさしい著者の視点に
しみじみと
静かな気持ちになった。
しみじみ
他にも『제철동 사람들(製鉄村の人たち)』という本があるらしいが、韓国語しかないよう。
いつか読んでみたい。
漫画家を目指すパダは、物流倉庫でのバイトで生計を立てている。
トラックで運ばれてくる積み荷をおろす作業を業界では「カデギ」と呼び、「地獄のバイト」として知られる。
ケミカルな甘さが特徴のミックスコーヒーはそんな過酷労働に必須のポーション(霊薬)だ。
6年間の「底辺労働」から見えてきた社会を「壁にあたる」「壁をくずす」のふたつの章で描きだす。
***** 宛先に「幸せ」とだけ書いた送り状を自分に貼って、”こわれもの注意”でやさしく確実に即日配達されたい日に読もう。こんなはずじゃなかった人生を送るすべての人へ贈りたい。 松田洋子(漫画家)
◎目次 第1部
壁にあたる
カデギ?
一日一日
こわれもの注意
赤いジャンパー
一週間
先輩の畑
ぬれないように
見慣れた光景
名前は聞かない
労働者ではない労働者
かぼそい絆
”トンジム”
第2部
壁をくずす
恐竜とハエ
マッコリの力
時給制
それぞれの事情
お盆パニック
ホコリのにおい
かけ持ち
寒さに耐える方法
ミックスコーヒー
ふんばる
カデギ!
◎プロフィール
イ・ジョンチョル
韓国・浦項生まれ。漫画家。
韓国最大の鉄鋼メーカーPOSCOの労働者団地で食堂を経営する両親のもとに育つ。
美術大学で西洋画を専攻。卒業後、漫画家を目指しソウルへ上京。生計を立てるために6年間、複数の宅配便会社で「カデギ」のアルバイトを続けた。
その体験を描いた『カデギ』は2019年「いまの私たちの漫画賞」を受賞。ほかに少年時代を描いた『제철동 사람들(製鉄村の人たち)』などがある。