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2025年11月15日
VOL.526
評 論 の 宝 箱
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見方が変われば生き方変わる。
読者の、筆者の活性化を目指す、
書評、映画・演芸評をお届けします。
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第526号・目次
【 書 評 】 岡本弘昭 『一九四五年・夏・神戸』(野坂昭如著 中央公論 )
【 私の一言 】 庄子情宣 『心のぬくもり』
【書 評 】
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『一九四五年・夏・神戸』
(野坂昭如著 中央公論 )
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岡本 弘昭
本書は全17章からなる。1944年12月の神戸に初めてB29があらわれた日を出発点
に、対米開戦以後の神戸市葺合区N町が「完全に消滅する」日迄を描いた著者の自
伝的作品ある。
なかでも第16章・第17章の神戸空襲の記述は人員殺傷用の小型爆弾と焼夷弾が降り
そそぐ中、人々が必死に生きようとした姿が生々しく描き込まれ本書の中心をなし
ている。
具体的には、昭和19年・20年時代の市立神戸一中生だった主人公とその家族に焦
点を当てつつ、神戸の石屋川沿いのN町のある新興住宅地の人々の日常が丹念に書
きとめられている。同時に、同地の人々に「戦争」がどのように浸透し、「当たり
前」として受け取られていく姿が描かれている。また、米軍の空襲のすさまじさ、
戦災状況の悲惨さが詳細に記されそれだけに生々しい戦争罹災の歴史書ともいえる。
戦後80年間を経過してきた今日、世界では国際間の紛争は絶えず、また、国際情
勢は微妙に推移しつつある。このような時期だけに、戦争による市民の苦悩、空襲
による焼失、飢え、家族の死など、戦争がもたらす破壊と喪失を改めて再認識して
おく事は肝要であり、その観点から本書は読み直す価値がある。
蛇足であるが、次のような事なども併せて学べる。
B29の爆撃機と我が軍の高射砲の性能等から、戦争は兵器のレベルで勝負は決まる。
昭和19年当時からアメリカの新型爆弾の開発状況など日本の民間でも噂は流れてい
た。その割には投下される焼夷弾・小型爆弾の性能、対応策等の情報は不十分であ
った。また、当時は厳格な統制経済下であったが闇市・横流しは存在し、また、生
産力の増強から当時は学徒動員等も行われたが、部品不足等から有効に活用された
わけでない等から混乱期ほど情報の重要さが認識される。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
『心のぬくもり』
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庄子 情宣
松下孝之助の著書「続・道を開く」には、「人の心」に関する記述が多い。つまり、
人生には心が重要という指摘である。
現在はAI時代と言われるが、それだけに我々は心について一段と学んでおく必要が
あるのでないか。
上記著書に『心のぬくもり』と言う項目がある。いつの時代にも人間関係の保持には
「心のぬくもり」が必要という事である。
内容は次の通りであり、心して過ごしたいものである。
「人の心は暖かくもなれば冷たくも成る。手に取ってその暖かみ、冷たさをはかるわ
けにはいかないけれど、心の冷暖は温度計ではかる以上の正確さで、人から人につた
わっていく。そのつたわり方は口先でもなければジェスチャ-でもない。
心と心のジカのふれあいである。それにしてもこのごろの世の中心のぬくもりのなん
とうすくなった事か。
頭が良くて、口先が巧で、理が立って、それでなお寒々とした心の気配しか伝わらな
い人のなんと多いことか。
そこにはジ―ンと胸に響く感動もなければ、お互いに慕いよる情熱も生まれてこない。
感謝の心がないのである。ありがたく思う心がうすれたのである。米一粒にも天地に
恩を感じ、人の情けに涙したあの日本人の心のぬくもりはどこに行ったのだろう。音
もなく崩れ行くこの日本人の心を慄然とした思いで省みたい。このままで良いのかと
問い返してみたい。他人事でない。自分のことなのである。」
編集後記
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慶應義塾大学・前野隆司教授によると、幸せには4つの因子 があり、これらを少しでも
高めていくことが幸せにつながると指摘されています。(ベネッセ・ウェルビーイングLab)
ウエルビーイングに関してこの4点を意識しておきたいと思いますが、いずれも心の持ち
方といえましょう。
1) やってみよう 因子――自己実現と成長
やりがいや強み、目標を持ち、主体性が高い人は幸せ。
2) ありがとう因子――つながりと感謝
つながりや感謝、利他性や思いやりを持つことが幸せ。
3)なんとかなる因子――前向きと楽観
前向きかつ楽観的で、なんとかなるというポジティブな人は幸せ。チャレンジ
精神が大事。
4)ありのままに因子――独立と自分らしさ
自分と他者を比べ過ぎず、しっかりとした自分らしさを持っている人は幸せ。
今号もご支援ご協力有難うございました。(HO)
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第527号・予告
【 書 評 】 吉田竜一 『般若心経』(瀬戸内寂聴著 中公文庫 )
【 私の一言 】幸前成隆 『予防は事後措置にまさる』
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■ 配信元:『評論の宝箱』発行人 岡本弘昭
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