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                                 2022年11月1日
                                           VOL.453

                評 論 の 宝 箱
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  第453号・目次
 【 書 評 】 片山恒雄 『「サイエンス・カフェ」にようこそ 』(滝澤公子他編 冨山房センター)
 【私の一言】幸前成隆 『 決断の話 』



・【書 評】
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◇             『「サイエンス・カフェ」にようこそ 』
◇                
(滝澤公子他編 冨山房センター)
└────────────────────────────────────┘
                                                                        片山 恒雄


 今から16年ほど前に「子どもは変わる、大人も変わるー人間発達の無限の可能性」
と題した「第一回サイエンスカフェ@フォリオ」が、日本学術会議と科学技術振興機構を中心とし、日本初の宇宙飛行士の毛利衛氏が委員長となって開催され、以後定期的に開催されてきた。本書はそれを記録した最初の書物である。論じられている色々なテーマの中で、私は「ミトコンドリアの不思議」(講師は佐々木成江名古屋大学特任准教授(当時))に興味を惹かれた。以下はその要旨である。

 人間をはじめ動物に宿るミトコンドリアという細菌は世界中で研究が進められており、それをテーマとした研究で8つのノーベル賞が授与されている。人間の一つ一つの細胞の中には、たくさんのミトコンドリアが存在している。ミトコンドリアはいつどのように人間に寄生したのか。地球に生物が誕生したのは、今から40億年前である。大気中にはまだ酸素がなかったが、27億年前に、太陽の光によってエネルギーを作る、つまり光合成ができる細菌が誕生したのである。この誕生は地球の環境を一変させ、光合成によって酸素を発生させたのである。そして地上に酸素が増加し始めた。一方、酸素の一種である活性酸素は、タンパク質・脂質・糖・核酸などをずたずたに切り裂くほどの猛毒である。そんな中で、酸素をエネルギーに変換できる細菌が生まれた。これがミトコンドリアの先祖である。しかし酸素の一定割合が活性酸素になるので、ミトコンドリアにとって自分のDNAを傷つけられるのを防ぐために、適当な宿主を探し、その中に避難しなければならない。その隠れ場所が真核細胞を持った人間をはじめとする動物の先祖の細胞の中であった。宿主にとっても、吸い込んだ酸素をミトコンドリアがエネルギーに変えてくれるので、有り難い存在であった。しかし人間が宿したミトコンドリアDNAは女性にしか伝わらない。つまり男しか生まない母親は、自分のミトコンドリアDNAを子孫として残せない。ミトコンドリアを遡ると20万年前にアフリカに棲んでいた一人の女性に辿りつくことが分かった。この女性は、「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれる。
また、日本人のDNAの95パーセントは九種類に分類されることが分かった。つまり我々の先祖は、九人の母親に行きつくというわけである。

むすび
 我々の細胞の一つ一つに、ミトコンドリアなる細菌が多数寄生しており、それが酸素をエネルギーに変換してくれる。そのお陰で我々は活動している。エネルギーとは運動だけではない。脳の働きにもエネルギーが費消される。つまりミトコンドリアの助けを借りて、生命維持活動が機能しているのである。言い換えれば、我々人間とミトコンドリアは、持ちつ持たれつの相互依存の関係にあると言えよう。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【私の一言】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

                    『 決断の話 』
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                                幸前 成隆


 仕事は、決断しなければ、前に進めない。
「決断は物事の始まり(松下幸之助)」決断するには、まず判断し、決心しなければ成らない。
判断するには、判断材料を集めなければならないが、完全な情報を集めるのは無理。
60%の見通しがあれば、決断すべきである。決断というのは100%の情報があれば誰でも出来るが、それではビジネスチャンスとしては遅い。
「本当の決断は、60%くらいでしないといけない。(河毛二郎)」
「60%の見通しと判断が出来たら、決断することだ。(松下幸之助)」
判断は素直な心でしなければならない。とらわれたり、こだわったり、うろたえたりしてはいけない。
「「心を空にし、あらゆる事へのこだわりを棄てる。」 物事を決断するときの私の鉄則である(水野一夫)」、
「個人の欲や名誉や世間の評判にとらわれず、真実を見る素直な心で判断することが

大事(松下幸之助)」 
「大事に直面してうろたえず、冷静沈着に者を決断できる事の出来る人こそ本当の人物である。(松下幸之助)」

決断は全てを考えてしなければ成らない。大所高所にたって全体の判断もしなければならない。
「小事は損得を基準にしても、過ちが少ないが、大事を決するときは利害、損得を超越した見地に立たなければ、事を誤る。(松下幸之助)」

そして決断は一人で、タイムリーにしなければ成らない。また、実行することが肝要である。決断と実行はリーダーの要件である。


  編集後記
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  今月は霜月で、朝夕と日中の寒暖差が大きく、また、空気は乾燥しがちで冬の訪れを感じさせる

 時期です。季節の変わり目であり、普段から健康には一段と注意が必要といえます。
 ところで、最近の新型コロナウイルスの感染状況について、医師の中路幸之助氏は、10月19日ま

 での1週間の新規感染者数は、前の週と比べて全国では1.35倍と、8月下旬以来、およそ2カ月ぶり

 に増加に転じたこと、ヨーロッパやアジアなどで感染拡大が起きている状況などから、今後、第8波

 が起きる可能性が高いとも分析されていると指摘されています。

 第5回の接種が始まりましたが、第8波の動向も油断できず、呉々もご自愛のうえご活動ください。

 今号もご愛読・寄稿などご支援ご協力有難うございました。(H.O)
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 第454号・予告
 【 書 評 】 三谷 徹 『 21世紀の難問に備えて 』(ポール・ケネディ著 草思社 )
 【私の一言】 岡本弘昭 『 日本の行く末―日本の立ち位置 』

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