【祝 大河ドラマ】大和大納言さまが主役です! | 歴史考察とっきぃの 振り返れば未来

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こんにちは。

歴史考察とっきぃです。

 

春の大風が吹き抜ける春分の日です。

今日を境に、季節は夏へ向かって陽気になっていきます。

 

ついに大和大納言さまこと、豊臣秀長卿が大河ドラマ主役になりました。まさかこの人が主役になる日がくるとは驚きです。

2020年の「麒麟がくる」で光秀公が主役になった時点でも驚きでした。やはり令和になって、確実に時代は動いています。

 

「麒麟がくる」では池端先生が、最新の学説を織り込んで、

素晴らしい作品を編んでくださいました。

もちろん、長谷川博己と染谷将太の熱演あってのことです。

長谷川の演技は、本当に光秀公がのりうつったのではないかと思うほど一途でした。長谷川君のカリスマは本物です。

映画「リボルバー・リリー」のインタビューで語った、「大正時代はエネルギーに溢れている」という彼の発言は正しい認識であり、(関東大)震災後の絶望的壊滅をたった一年であそこまで復興した国民のエネルギーを評価しています。ちなみに当時のロスチャイルド男爵が巨額のポケットマネーを個人で出したのは有名な話ですね。

明智光秀は武士です。百姓ではありません。現場監督くらいはやったでしょう。ですのであくまで上から見た国政を考えました。徳川もそうです。

 

しかし、まったく別の観点から出発して、明智様や家康殿と同じ結論に達した男がいました。言うまでもなく、百姓出身の木下小一郎です。後の大和大納言さまですね。

兄の藤吉郎は継父と折り合いが悪くて、飛び出してしましました。

この人は田舎のヤンキーで勉強とか文化人とかが大嫌いで寺小僧も続かず、テキヤ稼業にも手を出しますがイマイチです。

学歴がありませんから大企業(今川家)に勤めてみるも、パワハラでやめてしまいます。でも根が真面目ですから、そこを買われて就職した先が織田三郎信長です。信長という男はちょっと変わっていて、履歴書はほとんど目を通さないのです。とりあえず使ってみるというのがいつものやり方でした。「小六どん」こと蜂須賀小六と出会ったことで藤吉郎秀吉の運は上昇します。フリーターだった秀吉は小六軍団を配下に置くことで一気に中小企業へと変わったのです。小一郎秀長が秀吉の手伝いで武士になったのはこの頃ではないかと拝察します。

兄秀吉は思いついたことはすぐに実行する人です。役所で「すぐやる課」をつくる若手公務員を彷彿させます。

小六どんはそれがおもしろくてイケイケですから、あとの事務処理とか面倒なことはぜんぶ、奥さんのねねさんと弟の小一郎に回されます。

中村雅俊|人物|NHKアーカイブス さん

堺屋太一の名著、『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』(PHP文庫、文春文庫)で、小一郎が「いい加減にしろ! ちょっとは事務のことも考えろ!」と、兄秀吉に怒鳴るシーンがあります。

ここで秀吉は誰にも言ったことがない本音を吐露します。これを聞いて小一郎は(捨てられない)と意気に感じて兄を支えていこうと決心します。涙がでるシーンです。おすすめの小説です。

ジャパニーズ・ビジネスマン必読です。堺屋小説全盛のバブル時代、リゲイン飲みながらバブルリーマンは会社を支えていたものですね。二徹(にてつ/2日連続徹夜)とか普通にやっていましたからね(マネ厳禁)。

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ちなみに高度経済成長時代はリゲインはなかったからヒロポン(覚醒剤)を射っていました。注射器は使いまわしです。

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労作『豊臣秀長』は、本気で男性を求める婚活女さんにもオススメです。ただし、婚活女さんに一言だけ。淀殿(浅井茶々)みたいな「托卵女子」は現代では不法ですからやめてくださいね。

 

仕事は人間関係です。生きるのが辛い(希死念慮)とボヤく平成の若いビジネスマンや自宅警備員には是非とも一読をおすすめします。

 

小一郎秀長が体験したであろう百姓から見た戦国時代、これはこれでまた悲惨な時代です。

特に飢饉があったら阿鼻叫喚の地獄絵図です。こちらにも勉強になる本があります。黒田基樹博士の『百姓から見た戦国大名』(ちくま新書)です。こちらは本物の歴史研究家の本です。

ちょっと暗くなりますので、興味ある方限定の推奨です。

 

戦国の現実を現場で知り尽くしていたのが小一郎秀長。

こういう上司だからこそ、藤堂和泉(高虎)も、小堀遠州もついて行ったわけです。戦国の世は上司は自分で選ぶ時代です。

そんな中、現代でも城郭建築や作庭で高い評価を受ける、つまり歴史の風雪を超越している男たちが、百姓出身のあか抜けない、もさっとした上司の背中を見て、真実を学んでいくわけ。男の価値は背中で決まります。つまり影響を受けた弟子たちの活躍でです。

小一郎秀長の功績は、人材を残したことでした。

野球でいえば、野村克也監督、仰木彬監督、栗山英樹監督の諸将でしょうか。

 

秀吉の出世とともに、小一郎秀長も大いに活躍していきます。

不思議なことに、堺屋太一に取り上げられるまで一般には全くと言っていいほど知られていない人でした。

大河ドラマ「おんな太閤記」で中村雅俊が好演して、話題になったくらいでしょうか。劇中、招待客は小六たちしかいない、質素な秀吉とねねの結婚式で「姉さまを泣かすようなことがあれば、わしが許さん!」と本気で新郎の秀吉を制していましたね。

 

兄を通して実現したかった理想は「戦のない世の中」でした。

そして、小田原征伐でやっと天下一統が完成したのです。

その理想は徳川や明智と共有していたのではないでしょうか。

徳川幕府は、大和豊臣家旧臣(秀長の家臣)や、明智旧臣を再雇用しています。中でも藤堂和泉守は家康の最側近になりました。明智旧臣は春日局経由で、幕府に召し抱えられています。

これらのことから、大和大納言さまの朝鮮征伐反対、つまり日本再生路線が理解できます。

中央集権体制の本当の意味は、現場を知る人間にしか理解できないのです。

秦の始皇帝や、アッシリア帝国など中央集権の国家は現場の復讐で瓦解しました。中央集権体制は膨大な官僚を支えることになり、その維持費を捻出するためにも地方搾取は厳しくなります。

ローマ帝国がテトラルキア(四頭制)を実施、膨大な軍事力を支えるための官僚を配備してから、どれだけ生き延びたでしょう。

西はあっという間に滅んで(476年)、東は軍管区制の実施など柔軟な方向に流れてどうにかこうにか、1000年生き延びました(1453年)。

 

大河ドラマ「豊臣兄弟!」楽しみです。

いつもながら、主人公の秀長役がイケメンなのが気になります。

こんな平成イケメンで、地べたに足をつけた小一郎秀長が務まるのか、もうジャニーズの時代は終わったのですから、この番組を踏み台にしようなんて考えないで、長谷川博己みたいに本気で演じきってほしいです。「何を演じてもキムタク」のジャニタレは一種の病原で、せっかくの重厚なドラマも上澄みになります。大河ドラマはアイドルのPR番組ではありません。

 

藤田まことが苦心してつくりあげた「はぐれ刑事純情派」は、ジャニーズタレントが出るようになってオチャラケました。

はっきり言えば、山岡刑事(TOKIOのリーダー)が出るようになって、ついには加トちゃん(三波主任役)まで出て、真面目な番組がギャグになりました。

今回のドラマでもいきなり半沢直樹が出てきて「倍返し〜」なんてギャグシーンがないようにお願いしますね、脚本さん。

 

大和大納言さまをドラマ化するならば、外してほしくないのが藤堂高虎とのやり取りですね。堺屋さんの小説では賤ヶ岳の合戦で効に逸る熱い部下に秀長が「高虎よ、兄者あってのわしなのだ」とこんこんと諭すシーンがあります。

他の小説でも涙ながらに高虎をぶん殴るシーンがあります。人材を育てるとはどういうことなのかを説いているわけです。

代々の武家ではありませんので、合戦のときは足がガクガク震えていたことでしょう。それでも踏ん張り、踏ん張り続けて天に見出され、頂点に立った「豊臣兄弟」、いい素材です。

大納言さまは内政のみならず、戦に敗けたことがない大変優秀な司令官でもあります。四国征伐・九州征伐の指揮官は実はこの人だったことを忘れてはいけません。

兄も十分に報いて、約束通り、収入(天下六十余州)の十分の一をこの実直な弟に贈っています。詳細は堺屋太一元経企庁長官の小説の「まえがき」を参照してくださいね。

 

制作フタッフ・全キャストのみなさん、がんばってください。

心より応援いたします!

 

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