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筆跡診断士の吉野です。

 

今日は「口」の字にまつわる物語を紹介します。

 

「口」という漢字の成り立ちは、「人のくち」の形を表していると考えるのが一般的です。

 

が、

実は別の説があります。

 

「口」とは、『サイ』である。

(古代文字のため、パソコン上で変換できないので『サイ』と表記します)

 

上の画像のような、人の舌に似た文字が『サイ』です。

「口の成り立ちは『サイ』である」という説は、漢字研究の第一人者・白川静先生の説です。

『サイ』とは、祝詞(のりと)を入れる器、つまり神様への願い事の文を入れる器です。

 

 

口の成り立ちを「人のくち」ではなく、『サイ』と考えた方が、説明しやすい字がたくさんあります。

 

例えば、「告」の字。

「告」は「牛」+「口」です。

「牛が人に何かを訴えようとするとき、口をすり寄せてくる形」という説があります。

なぜ、牛??と疑問に思いますが、「口」を「人のくち」とするならば、そうなってしまいます。

 

しかし、「口」を『サイ』と考えた場合、「告」とは、『サイ』を小枝に懸けて、神に訴え告げることを表した形となります。

こちらの方が、信憑性がありそうですね。

 

ちなみに、古代文字で「告」は、下のようになります。

 

古代の王は、唯一、神と交信する資格を持つものとして、民衆からの絶大な信頼と尊敬を集めていました。

日本でいうならば、卑弥呼が分かりやすい例です。

 

古代の王が神と交信するために使用した道具の一つが古代文字であり、それが現在、私たちが使用している漢字の原型です。

 

 漢字の「口」は「人のくち」なのか?

 それとも『サイ(祝詞を入れる器)』なのか?

 

真実がどちらなのかは不明です。

 

漢字の成り立ちを探究するよりも、大切なことがあります。

あなたが「口」の字をどう見立てるかです。

もちろん、人が「くち」を開けている形と考えてもいいでしょう。

 

ただ、想像してみてください。

 

「口」の字を書くとき、「人のくち」と見立てて書くよりも、「神様との交信するための器」と見立てて書いた方が、漢字からエネルギーをもらえそうな気がしませんか。

 

「口」の字の書き方ですが、二つの書き方を紹介しておきます。

 

一つ目は、左上を離す書き方。

柔軟な考え方ができ、人付き合いも上手な人の書き方です。

金運アップにもつながります。

 

筆跡診断的には、こちらの書き方をオススメする場合が多いです。

実際、私も以前は左上を離して書いていました。

 

 

もう一つは、左上、左下、右下、全てしっかりくっつけた書き方。

筆跡診断では、「口」の字の左上がくっついている人は、真面目な人と説明します。

脳科学的にも空間認知能を鍛えるためには、字の接点をしっかりくっつけて書く方が良いとされています。

 

私は「口」が『サイ』であると知った時、「口」の左上をくっつけて書くように変えました。

『サイ』は神様との交信するための器です。

私たちには、大切なものは外から見えないように、しっかり隠してしまっておく習慣があります。

大切な神様への誓い、訴え、想いなどは、『サイ』の中に大切にしまっておかなければいけません。

その大切な『サイ』に穴が空いていては、『サイ』の効果も半減しそうな気がします。

 

「口」の字を『サイ』と見立てるならば、字の左上、左下、右下をしっかりくっつけて書くことをお勧めします。