こういう数学的な話って、私は大好きです!!
数学と言っても、そんなに難しい話ではありません。今年2024年夏、米国イリノイ州で1兆匹もの「素数ゼミ」の大合唱があり、地元の人たちは眠れない日が続くかもしれません。
まず、おさらいですが「素数」とは、その数と1でしか割り切れない数の事です。具体的な数字は小さい順から2・3・5・7・11・13・17・19・23・・・と言った具合です。
「素数ゼミ」、具体的に13年ゼミと17年ゼミは、地中でそれぞれ13年・17年過ごした後、地上に出てきます。
地上にエサのなかった氷河期を乗り越えてきたセミは、多くの期間を地中で過ごしてきました。そして、ご存じのように地上に出て生きられるのは、わずか1週間とされています(追記:環境によって、1ヶ月くらい生きられる事もあるようです)。
日本国内によく見られるセミは、アブラゼミで3~4年、ツクツクボウシで1~2年、クマゼミで4~5年の地中生活をします。
「素数ゼミ」は他のセミたちと比べて飛行能力が低く、襲われてもほとんど逃げない事がわかっています。どんなセミいやどんな動物でも、子孫を残す事が大切です。セミも地上に出て1週間の間にオスとメスが出会って子孫を残します。
そして、セミにも天敵がいます。セミを捕食する動物(鳥、ハチ、カマキリなど)がいます。
長年の歴史を経て13年ゼミと17年ゼミは生きてきました。
たとえば、飛行能力の低い6年ゼミがいたとします。こちらは1年・6年ごとに生まれる動物だけでなく2年・3年ごとに生まれる動物にまで捕食され天敵が増えてしまい、長年の歴史の結果、子孫を残せなくなります。
それに対し13年ゼミ、17年ゼミになると、13年周期・17年周期で生まれる天敵なる動物など存在しません。鳥もハチもカマキリも10年以上も生きられないからです。かと言って17年を超えるとなると、今度はセミが地中で生き続けられなくなります。
更には、飛行能力の低い13年ゼミと17年ゼミは、限られた地域にのみで棲息して、1匹あたりの天敵から襲われる確率を減らして、子孫を残してきたのです。尚、日本のセミの周期は短いのですが、数と飛行能力で絶滅を避けてきたのです。
こうして長い地球の歴史から子孫を残し続けてきた13年ゼミと17年ゼミが、13×17=221年に1回、米国イリノイ州で出現が重なり合います。
この地域は間違いなく、「雪かき」ならぬ「セミかき」が行なわれ、きっと日本のニュース番組でも報道される事でしょう。