度々見かけるが、添付画像の上のグラフを使用して、『喫煙率が下がっているのに肺がん死亡率は上昇している』と、喫煙と肺がんは無関係であるかのような常識とは真逆の事を発信する医師がいる。
結論から言うと、このような発信をする医師は、素人を食い物にしようとしているだけであって絶対に信用してはならない。この画像は、今後も誰かしら必ず使うので、絶対に騙されないでいただきたい。
では、なぜ喫煙率が下がっているのに肺がん死亡率は上昇しているのであろうか?。
理由は少なくとも2つある。
① 肺がん発症までのタイムラグ
喫煙したからと言ってただちに肺がんが発症するわけではない。ある程度喫煙期間が長くなって、30~50年後に肺がんが発症するからである。
ちなみにこれは、肺がんだけではなく、喫煙が関連する他のがんや、そしてCOPDなどの肺炎症性疾患や心臓病・脳卒中なども同様である。今後、更に30年くらい経つと、今度は徐々に肺がん死亡率は低下してくると予想されている。
② 高齢化
日本人の2人に1人が生涯に何らかのがんを発症し、3人に1人が死亡するとされている。これは日本人の平均寿命が世界的にもトップクラスである事が理由である。欧米諸国でがんの死亡率が日本人ほど高くないのは、がんを発症する前に心臓病や脳卒中で、日本人より平均的に早死にしているからである。
この「高齢化」という影響を排除した場合、添付画像の下のグラフになる。つまり、肺がん死亡率はほとんど変わっていない。
ちなみに『2人に1人が発症、3人に1人が死亡』という文面も、推奨品の宣伝や"添加物がー!!”などで目立ちたがりたい奴らに都合よく使われるので、こちらも注意していただきたい。
これまでも何度も書いてきたが、常識とは真逆の発信を見たら、驚くのではなく必ず疑問を持っていただきたい。
もう一度繰り返すが、添付画像の上のグラフを用いて、素人を騙す悪質な医師は今後も必ず現れるので、決して信用しないでいただきたい。近藤誠や阿保徹が亡くなっても、代わりの者はいくらでもいる。