WBCで日本が優勝後、日本人にとっては珍しくもない胴上げに、米国の実況は驚いたようだ。
実はこの「胴上げ」、日本以外ではスウェーデン、ハンガリー、チェコ、ロシアなどの東欧諸国で行なわれているが、他国では胴上げが行なわれないそうだ。
#元々胴上げとは・・・
現在の「胴上げ」は優勝や合格などのめでたい時に行なわれているが、日本では古来から稲のモミなどの身を選別するために、モミをザルなどに入れて空中に振り上げ、中身のあまり詰まっていない悪い実を選別していた。
つまり、元々は「悪いものを取り払うために行なわれていた」という説もある。
#日本の胴上げの起源
所説はあるが長野県善光寺の「堂童子」という年越し行事があり、その行事の仕切り役を胴上げする習慣が、江戸時代初期(17世紀前半)に行なわれていたという記録があるらしい。
#胴上げの定例儀式
大相撲では場所が始まる前に、興行の成功などを祈る「土俵祭」が催される。この際に土俵に降りてきた神様を、天に送り返すために行司の胴上げが行なわれている。
興行最終日(千秋楽)では、表彰式が終わると「出世力士手打式」が行われ、「神送りの儀式」に移り、新人力士たちが御幣(ごへい)という神祭用具を持った行司を胴上げしている。
大男たちによる胴上げだから、行事はかなり高く舞い上がって、顔が引きつっていたり身体がひっくり返る事もあるらしい。
#胴上げの礼儀
大相撲の行司の胴上げは、下手すると地面に落下して大怪我になりかねない。
実は胴上げにも礼儀というものがあり、誰かが胴上げされる人の衣類の脇あたりをつかんで、あまり高い胴上げにならないようにしたり、万が一落下の際に怪我をしないように注意する必要がある。
WBCでヌートバー選手が胴上げされている時も、大谷選手がヌートバーの脇の下をつかんでいたらしい。
それにしても、「胴上げ」など普通に見る出来事を調べてみると、奥の深さを知る事があるようだ。