自動車内の「一酸化炭素中毒」でなぜ死に至る場合があるのか? | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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今シーズンの寒波はかなり強く、全国的に寒い日々が続いております。
2月には「ラニーニャ現象」が起き、日本海側で再度大雪になる可能性があるとの事です。
 
「ラニーニャ現象」とは下図の①⇒⑤の順に起きる現象です。

 
今シーズンも既に発生しておりますが、大雪で大渋滞となり、その間も雪が降り続けた結果、自動車のマフラーが塞がれて、一酸化炭素中毒で死亡という話がありました。過去の大雪でも同じ事が度々起こっております。
 
雪国の方々は、車内にスコップを用意しておき、大雪で立ち往生しても、マフラー部分だけは雪をどけるように心がけていただきたいものです。
  
↓ところで疑問
  
我々は呼吸で酸素を取り入れますよね。
この酸素を、血液を通して全身に送る必要があります。

  
 
  
車内に一酸化炭素が逆流して、これはマズイと思っても、脳の低酸素状態が始まっているので、手に力が入らず、エンジンを切る事も、窓を開ける事も出来ない場合があるのです。
  
「一酸化炭素中毒」は怖いですね。
  
  

  
また急激な一酸化炭素中毒に至らなくても、密閉された空間で、練炭を使って鍋料理などをする場合、ゆっくりゆっくりと身体に一酸化炭素が取り込まれ、下のような症状を起こす場合があります。
  
練炭を使用する際は、必ず換気状態が良い事を確かめてから使用すべきです。
  
  
さて、もしも一酸化炭素中毒による意識障害の人を見たら、どうやって救出すべきでしょうか?
  
絶対にやっていけない事は、直ちに部屋から出そうとする事です。救出中にあなたが一酸化炭素中毒になり、意識を失う場合があります。まずは119番通報をした後、呼吸を止めて部屋の換気をする事です。換気ができたと判断できれば、救い出しても構いません。
  
意識障害の人が必ずしも一酸化炭素中毒とは限りませんが、まずは、自分の安全を確保して、もしも空気が臭ければ、換気を優先すべきです。

  
  
繰り返しますが、どんな場合でもまずは自分の安全確保が優先です。
心肺蘇生(BLS)でも、まずは「安全確認」から始まります。必ずしも、心肺停止の原因が心臓病や脳卒中ではなく、一酸化炭素中毒や硫化水素中毒などの環境因子が原因の場合もあるからです。
  
窓を開ける事も無理そうならば、救急隊に状況を説明して、お任せしましょう。
  

  
あなたの大切な人が雪国に住んでいたり出張で行くような事があるようなら、「一酸化炭素中毒」について教えてあげてくださいね。