C型肝炎は、現在99%治癒可能になりました、これが医学の進歩です! | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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「否定の極論」記事に疲れたあなたへ贈る:「食事」「睡眠」「運動」・・これら「健康の三本柱」をねじ曲げずにポジティブに考えるブログです。

あなたの周りの方に、もしかしたらC型肝炎に感染している人がいらっしゃるでしょうか?


今回のブログは一般人だけでなく、C型肝炎とは専門外の医療関係者の方々にとっても大切な内容です。


  


C型肝炎が初めて検査で測定可能となったのは1989年でした。

それまでA型とB型までは測定可能でしたが、他のウイルス性肝炎は「non A non B肝炎」と言われていました。

検査で測定できなかったため、輸血を行なって肝炎になった人が多数おりました。


検査可能となってからは、輸血による肝炎は激減しました。

現在、輸血によるB型肝炎の発症は10万人に1人、C型肝炎の発症は100万人に1人です。


C型肝炎の発症の大半は「血液感染」・・・つまり輸血です。

現在、日本人の1.5%がC型肝炎です。今後C型肝炎の発症数が大幅に増える事はないでしょう。

輸血は怖くない!!~救急医の立場より



ですが、問題なのは既にC型肝炎に罹患している人たちです。


上の図のように、C型(慢性)肝炎は20年以上の経過で肝硬変となり、更には肝臓癌へと進行します。肝臓癌の原因となるC型肝炎の患者は、以前は75%を占めていましたが、患者数減少のため、現在は60%まで減少しています。

統計的に減少しているとは言え、現在C型肝炎に罹患している人たちは、何とか治さなければなりません。


1992年からインターフェロン治療が始まりました。

残念ながら、日本でこの治療は約30%の患者さんにしか効果がありませんでした。ですが、他に効果的な治療法もなく、長年インターフェロン治療が行なわれてきました。



ところが2014年、それまでインターフェロンを中心とした治療法から、インターフェロンを全く使用しない「DAA」という治療法が確立しました。

それ以前からもDAAが使用されていたのですが、C型肝炎のタイプ別(ジェノタイプ1型・2型)によって治療法が異なり、複雑な上に副作用も強かったのです。


「DAA」単独治療が可能となって、C型肝炎の治癒率が大幅に上がりました。

さらに2017年11月、「マヴィレット」という薬が発売されました、この薬は1回3錠を1日1回8週間内服するものです。

この薬は、治療をタイプ別に分ける必要はなく、治癒率(SVR)が何と99%で、しかも副作用もかなり少ないものです。


▲C型肝炎の治療の歴史



気になるのは医療費です。

この薬価は1日7万2600円ほどかかります。ですから保険1割負担だとしたら1日7200円、3割だとしたら21700円もかかり、とても医療費を払う事などできません。


ですが、この治療に関しては、国からの助成金があります。

患者負担は1ヶ月たったの1万円、治療期間が8週間(2ヶ月)なので、たった2万円です。2万円で肝硬変や肝臓癌への進行を止められるのです。



尚、C型肝炎があるのに、未覚知(検査を受けていない)人が推定80万人いるとされています。

年に1回の健康診断などで、もしもC型肝炎(HCV)が判明した場合、消化器内科を受診して、治療する事をお勧めします。



#医療関係者の方々へ

この治療の適応は「C型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変」の患者さんです。

代償性肝硬変とは、肝硬変の初期(Child分類:Grade A)の事です(下図)。この薬は肝臓で代謝されるので、非代償性肝硬変(Grade B以上)では、肝不全になる可能性があるため、現段階では使用できません。

その一方で、腎臓で代謝されないので、腎機能が悪い患者さんでも治療可能です。


外科系の先生方は、手術前にルーチンの感染症検査をオーダーすると思います。

偶然、HCV(+)の患者さんが見つかれば、後日必ず消化器内科医にコンサルトお願いします。

尚、私の所属する総合病院では、HCV(+)の結果が出ると、検査科より消化器内科医師へ全て連絡が入るようになっています。


▲肝硬変の分類



尚、このブログに関して「利益相反行為」、つまり製薬会社から頼み事をされて、都合が良いように書いているわけではありません。


私がこのブログを書いたのは、薬や医療行為を全面的に否定する人たちの発信を、一般の人たちに信じてほしくないからです。


世の中には、薬を全面的に否定する医師・薬剤師・医療ジャーナリストがよくいます。

もしあなたやご家族が、C型肝炎に罹患していたとしたら、今回のブログを読んでどう思われましたか?

「利権」だの「陰謀」「金儲け」で終わらせますか?。頑なに心を閉ざす人たちは、医学の進歩についていけないばかりか、人としての成長も既に止まっています。


確かに良い薬が発売できれば、製薬会社の利益に繋がるでしょう。

でもそれっていけない事ですか?。あなたが勤めている会社も、社員に給料を支払います。そのために、社員も会社のために利益を上げる必要があります。日本人が大嫌いな「金儲け」というワードは、どこの会社でも行なっている事です。


そもそも・・・

  


保険認可に厳しい日本では、2~3万個に1個の薬しか認可されないと言われています。製薬会社が利益に繋げる事って簡単ではないのです。


安い治療⇒保険認可された治療⇒エリート治療です!!


もしあなたが、どうしても西洋医療を認めたくなければ、それはそれで構いません・・・あなたの人生ですから。

ですが、治したいと思っている他人まで巻き込むような行為は絶対にしないでください!!!


ネット上にはアクセス集め・怪しいビジネス目的のため、ビックリするような無駄な発信が多数散乱しています。

そのような記事に迷わされず、正しい知識を持つようにしてください。


よろしければこの記事をシェアまたはリブログして、多くの方々に伝えてください。


 

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