ロコモティブ症候群(運動器症候群)の低年齢化 | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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ロコモティブ症候群ってご存知でしょうか?

    

これは、 関節や筋肉が弱くなり、「座る」「立つ」「歩く」などの日常的に必要な動作ができなくなってしまう状態です。

よってお年寄りにありがちな症状ですが、最近では若い女性にもその傾向があるようです。

    

東京・丸の内の20~30代のOL352人にテストを実施した結果、30%の女性に移動機能障害が既に始まっている傾向が見られ、さらに4%に「障害が進行中」という調査結果が出たという報告もあります。

    

    

2013年9月27日、厚労省からの発表をホームページから抜粋します。

秋葉副大臣会見概要(ロコモティブシンドロームについて)

    

★日本における危険因子とそれによる死亡数についての報告の中で、運動不足による死亡者数は年間約5万人で、喫煙、高血圧に次ぐ第3位と非常に多い。

★ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)とは、年齢と共に運動機能が低下し、自立度が低下することで、介護が必要となる可能性が高い状態のことである。

★ロコモの認知度は、平成24(2012)年度において17.4%と低いことから、平成34(2022)年度までに80%まで向上させることを目標としている。

★ロコモは、運動器の障害が基になるため、運動が重要な対策となる。健康な人のための身体活動量の新基準(2013)では、3つの年齢層に分け、各層での必要な身体活動量を示している。子供の頃からの運動習慣を確立しておくことは、大人になってからの運動の習慣化につながるため、ロコモの予防の観点から大切と考える。

★健康寿命を延ばすためには、「ロコモ」対策が重要な要素の一つであり、そのためには、まず、「毎日」「今よりプラス10分、体を動かすこと」を心がけていただきたい。

    

    

#7つのロコチェック

 上の写真をご覧ください。

 この中で1つでも、チェックが入った場合は要注意です。将来的にロコモになる可能性があります。

    

 そもそもなぜロコモになるのが要注意なのか?

 これは上の厚労省の発表(赤文字で強調)もありますが、業界でも有名な「Lanset誌」に掲載された次の論文を提示します。

Prognostic value of grip strength: findings from the Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study

    

 上のロコチェックでは、主に下肢筋力の低下によるものが多いですが、この論文では検査を簡単に行なえるように、握力で調査しています。

    

#結果

 握力の低下幅が大きくなるほど、原因を問わない死亡率は高まりました。具体的には握力が5kg減少するごとに危険度は16%高まりました。

 また、5kg握力が低下するごとに、心臓や血管の病気による死亡の危険度は17%増加、心臓や血管の病気ではない原因による死亡の危険度は17%増加、心筋梗塞は7%増加、脳卒中は9%増加しました。

    

 また筋力が低下すると、認知症や寝たきりの原因にもなります。

筋力が低下すると認知機能も低下する!?健康な身体と脳を保つのに必要な「年齢筋力」とは

    

    

 では、ロコモ予防のためにはどのような事を行なえばいいのでしょうか?

 それはもちろん定期的な運動をする事ですが、「ロコトレ」というものがあります。

     

 それが上の写真です。

① 開眼片足立ち

② スクワット

    

 尚、スクワットの代わりに、お相撲さんのように四股を踏む事もいいでしょう(女性は場所を選ばないとなりませんが)。

 でも私は、やはり定期的な運動をお勧めします。運動嫌いな人は、出来るだけ長く歩き、階段を使う事を心がけましょう。

  

▲ロコモティブドミノ

  

▲「平均寿命」-「健康寿命」=「寝たきり期間」

  

▲ロコトレ・片脚立ち編

 

▲ロコトレ・スクワット編

  

(画像はネットより拝借)

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