一口30回噛む効果、そして実行する方法は・・・ | 総合診療医:誰もがわかりやすく医療を理解する事ができるブログ

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「否定の極論」記事に疲れたあなたへ贈る:「食事」「睡眠」「運動」・・これら「健康の三本柱」をねじ曲げずにポジティブに考えるブログです。

こんにちは、「ヒサッチ」です。
  
平成21年7月、厚生労働省は一口30回以上噛んで食べることを目標とする「噛ミング30」(カミングサンマル)を提唱しました。
これは、十分に歯・口を使う「食べ方」を通じて、健康増進を図ろうというものです。
  
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早食いが、肥満や2型糖尿病の原因になる理由はご存知でしょうか?。
  
早食いにより血糖値が急激に上昇し、血糖値を下げるために「肥満ホルモン」でもあるインスリンが多量に分泌されるからです。
もちろん肥満になる理由は、他にもありますが。
  
尚、今回のテーマとは無関係ですが、甘いものを多くかつ早食いすると、インスリンがより多量に出て、血糖値が乱高下します。
その結果、低血糖ではないのに低血糖症状が出現し、食後に気分が悪くなったりイライラする事もあるので注意が必要です(機能性低血糖)。
 

噛む5

  
良く噛んで食べるのが良い理由は、例えば下の写真のように様々な良い効果をもたらします。
  
これに関連して、1つだけ説明を加えます。
  

ひみこ

  
~唾液を出す!!!~
  
成人が一日に出す唾液量は0.5~1.5ℓです。
唾液に入っているアミラーゼと言う酵素は、食べものを消化することを助けます。
  
残念ながら、下の表のように現代人は明らかに噛む回数も、更には食事に要する時間も減っています。
唾液を出す時間を増やす意味でも、1日3食摂る事はとても大切です。
またパンよりご飯の方がよく噛む事ができます。
  
また唾液には成長ホルモンも含まれています。
この成長ホルモンは、傷ついた細胞を修復したり、新陳代謝を促し老化防止するなどミトコンドリアを守ってくれる要素があり、ミトコンドリアの数が減るのを防いでくれます。
  
他にも唾液の中の酵素やビタミンなどが、食べ物に含まれている発癌物質の毒消しをするとされています。
  
ここで「ミトコンドリア」という言葉が出てきました。
うわ~、高校の生物に出てきて、よくわからなかった!、いやだな~、などと思わないでください。
実は私もそうでしたから、次からわかりやすく説明しますので。
  

噛む1

  
人間の身体の中には、60兆個の細胞があるとされています。
  
その1つ1つの細胞の中に、ミトコンドリアは50~50万個(平均2000個ほど)存在します。
細胞全体の10~20%を占めています。
  

ミトコンドリア3

  
~ミトコンドリアの役割~
  
ミトコンドリアは食事から摂取した栄養と、呼吸から得られた酸素を使って、細胞の中で呼吸をして「ATP」というものを作ります。
ATPは細胞や器官を動かすエネルギーを作っています。
  
ATPは作られた瞬間に使われてしまうので、保存がきかないため、絶えずATPを作り続ける必要があります。
またミトコンドリアは細胞の新陳代謝を指揮しています。
  
残念ながら、40歳頃からミトコンドリアの数や機能・生産力は落ちていきます。
  

ミトコンドリア2

  
~ミトコンドリアの異常が生み出す病気~
  
・生活習慣病:肥満、高脂血症、糖尿病、メタボリックシンドロームなど
・老年病:アルツハイマー型認知症、脳変性疾患、老化など
・遺伝病:ミトコンドリア病など
・がん
・慢性腎臓病(CKD)
・不妊:生殖細胞をつくるにはミトコンドリア遺伝子が必要
  

ミトコンドリア1

  
~ミトコンドリアの機能~
  
84歳以上の人のミトコンドリア機能は、若年者に比べてATPを生み出す力が46%も低くなるとされています。
ですが日頃から健康を意識するにより、ミトコンドリアの機能を維持する事が可能です。
  
それは「よく噛む」事です
それ以外にも、次の事でミトコンドリアの機能を維持する事が可能です。
  
① 朝日を浴びる
② 深呼吸をする
③ 十分に睡眠をとる
④ 入浴をする
⑤ 筋トレをする
⑥ 歌う・踊る・感動する
⑦ 背筋を伸ばす

 

ATP

  
ここで話が脱線します。
ここまで、「ミトコンドリア」と「ATP」の役割を書いてみました。
  
上の色文字を読まれてお分かりになったと思いますが、要は日頃から健康的な事を適度に実行していればいいのです。
「ミトコンドリア」と「ATP」は、健康オタクに喜ばれる言葉で、これをキーワードにアクセスを集める記事やセミナーがあります。
  

「ミトコンドリア」と「ATP」がどのような役割を担っているのかを説明もせずに、文章に紛れ込ませて、よくわかっていない素人を煙に巻いて騙す記事もありますので、決して誘導されないようにしてください。
  

「ミトコンドリア」と「ATP」という言葉は、健康を考えるためのキーワードの1つにすぎません。
心がける事はいつもと同じなので、言葉を知らなくても問題ありません。
  

噛む2

噛む3

  
話を戻します。
よく噛んで、唾液を出すためには、1日3食でかつ一口30回は噛む必要があります。
  
その方法は、下記サイトから上の写真にも示しました。
⇒「よく噛むことが血糖管理にも影響 噛む回数を増やす6つの対策
  
① 一口の量を減らす
② 食事の時間に余裕をもつ
③ まずは噛む回数を5回増やす
④ 食材は大きく、厚めに切る
⑤ 歯ごたえのある食材を選ぶ
⑥ 薄味にする
  
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この他にも、私がお勧めの方法を説明します。
  
例えば、「1、2、3、・・・、30」と頭の中で数えていると、絶対に飽きてきます。
そこで、何かを言葉で唱える!!
  
例えば相方を思い浮かべて、「好きよ、あなた(^_-)-☆」を5回繰り返してもいいかもしれません。
これが恥ずかしい人は、ブログの私の名前を使って「好きよ、ヒサッチ」を5回繰り返してもいいかもしれません。
  
あつかましくて申し訳ありません(+_+)
  

噛む6

  
しかし、もっと良い方法があります。
それは最初に「いただきます」をした後に、少々多めに口の中に食べ物を入れてください
  
そしてつらくても、「100回!」噛んでみてください。
その後は、回数を気にせず食べてください。
すると、一口30回噛むことがつらくないはずですし、自然と多く噛むようになっているはずです
  
食事をゆっくりとよく噛んで食べる事は、様々な病気の原因である「AGE(終末糖化産物)」を多く増やさない事にもつながりますし、ぜひとも噛むことを意識されてください
  
ちなみに唾液の効果は約30秒で最大になることが証明されています。
一口30回(30秒)噛むことは、とても大切です。
  
お時間がある方は、こちらもご覧ください。
→『噛む力と食事時間が糖尿病リスクに関連
  

ヒサッチ

by ヒサッチ
(画像は、最後を除きネットより引用)