西田公昭先生の「」マインドコントロールとは何か」(紀伊国屋書店)で、マインドコントロールへの抵抗として貴重な意見を述べられているので転載しておこう。


マインドコントロールを受けやすいタイミングとしては、「何か悩んでいたり、不安でいたり、ものごとに失敗したり、うまく物事が運んでいなかったり、あるいはなんとなく退屈であったりするときである。こういうときこそ、マインドコントロールを受けやすいと謙虚に認識し、自分の判断力にあまり自信過剰にならないよう、注意すべきである。」として強調していらっしゃる。

 

心が弱っている時に、その心の隙間に入ってくるのがカルトの習性なので、こんな時こそ注意をしてほしい。ひかりの輪が精神的に弱っている人をターゲットにするにもこういう理由があるのだろう。

 

また、ジンバルドーとアンダーソンの20の具体的な提言も紹介されていて、その提言も非常に参考になるので私も紹介しておこう。

 

①時と場合によっては、規範を逸脱する実習をする。「ちゃんとしていないと相手に悪い」とか「きちんとしようとか」必ずしも思う必要はない。

 

②「私がまちがっていました。」「すみません」「私が悪かった」とあやまる実習をする。人はつい自分をよく見せようとしすぎて相手の勧誘に断れないことがある。途中で自分の本心とちがう誘いであることに気づいたら、直ちにその場から逃げ出すことにしよう。

 

③卑近な問題や状況を「型にはめる」ために用いる、ものの見方に注意を払おう。そのような他人のものの見方を受け入れてしまうと、その場において、相手を優位に立たせてしまう。

 

④望んでいない影響を受ける状況から逃れるために必要な、金銭、自尊心、時間、労力といった短時間の小さな損失をいとわないことだ。

 

⑤人は他者からの愛や好意に弱いものである。いかなる対人状況であっても、相手と少し距離を置き、相手や自らに対して「私は、あなたがいなくても、ひとりでやっっていける」と言うのをいとわないことである。

 

⑥どうすべきか明白でないとき、不確かな行動をとるのではなく、時間をおき、歪曲のない公正な意見を得てから行動しよう。答えを保留することは、恥ずかしいことではなく、そこには否定的な意味は何もないと知るべきである。

 

⑦知ったかぶりをしないこと。ごまかしのない、理解可能な説明を強く求める。勧誘者には、しらないことに意外な顔をされても、お世辞によって自尊心をくすぐられても、自分がくわしくないことに対する煽りにのってはいけない。

 

⑧役割関係、制服、権威の象徴、集団圧力、規則、みかけの合意、義務、コミットメントなど、強いて従わなくてはいけないような、いかなる状況の拘束力にも敏感になろう。

 

⑨ゲスト(客)として扱われているとき、ホスト(接待者)との関係に注意し、選択の自由を狭めないようにしよう。ホストの恩着せがましい行為には要注意である。

 

⑩複雑な問題に対して、単純な解決があると信じてはならない。個人の人生、人間関係、経済や政治、国際関係などの複雑な問題に対して、他者が与えられる単純で明白な解決など絶対にないと覚えておこう。

 

⑪全くの他人から、即席に得られる無償の愛など存在しないことも覚えておこう。愛情や友情、信頼というものは、時間をかけて努力して発展させるものである。

 

⑫不特定の相手の一人から影響を受ける立場に置かれたなら、自分自身と、共有するものを求めてくる相手とを差別化しよう。つまり、視線を合わせたり、名前を確認したり、お世辞を使って、相手や相手のアイデンティティを管理する。そうすれば、相手にも個人的責任が生じる。

 

⑬統制感のない状況や自由のきかない不慣れな状況を避けよう。そんな状況は操作しようとする相手には「完全な環境」である。少々のいざこざに巻き込まれても、不快感をおぼえても、その場からすぐに離れよう。ずっと操作されての全体的損失と比べれば大した問題ではない。

 

⑭重要な評価や判断をするときには、少し冷めた目で、一歩下がって見つめ直そう。策略をめぐらす人との接触においては、感情移入しないことが肝心。

 

⑮みせかけの動機に惑わされたときには、貪欲さや自己を増長させるようなお世辞がマインドコントロールしようとする者を調子づかせてしまう。最も自分が信頼している人なら、この場合、どう考えるだろうかと思い浮かべてみる。

 

⑯相手が誘発させようとする罪の意識の微候を再認識する必要はなく、それを動機として行動しない。

 

⑰人は一般に慣れた状況では自動的に行動してしまいがちである。いつも自分が置かれている状況で、自分のやっていることに注意深くなろう。

 

⑱時としては、行動に一貫性は必要としない。「信頼できる」人にならなければならないと固執してないけない。

 

⑲非合法的な権威に対しては、いかなるときも拒否しなくてはならない。

 

⑳手続きや規則の変更が不公正におこなわれたならば、口頭での反対や情緒的な反対では不十分である。そうしたことに対して、従ってはならないだけでなく、公然と批判し、反抗し、挑戦すべきである。

 

以上、私もひかりの輪というカルト団体に所属していた経験から振り返っても、これらの実践は非常にマインドコントロールに抗するには有効だろうと思う。

 

今、勧誘を受けて悩んでいる人は、是非とも実践して欲しいと思う。「迷惑行為」と言われようが、「精神病理」とレッテルを貼られようが、カルトに人生を支配され続けるよりも損失は少ないと思われる。