トラさんにはもう一つの大きな偉業があります。
それは、偉大な弟子を育てたことです。
その中の1人に、樋口久子プロがいます。
彼女は、77年全米女子プロ優勝を含む72勝という
女子プロの最多勝記録を持ち、
その後、女子プロ協会を設立、初代会長をされるなど
近年の女子プロ繁栄の基礎を作ったといっても過言ではありません。
そんな彼女に対しての指導はとても先進的なもので、
30年後、有名なプロコーチのレッド・ベター氏が打ち立てた
『二本軸で右足から左足へのシフト』というスイング理論と同じ物でした。
ベター氏は、当時のメジャーチャンピオンを育てるほどのコーチでした。
そして、その方とトラさんの理論が同じだったことに驚き、
「30年も前から樋口さんにそれを教えたのは凄いですね」
と、話したところ
「あいつにはそれしか飛ばす方法がないじゃないか」
と、これまたぶっきらぼうな返事。
どうして30年も前にそのような理論を思い付くに至ったのか
そのような説明の全くない、潔い答えだったのでした。