マーダーズ:長浦京 | 図書館司書の読書日記

図書館司書の読書日記

こちらは主に備忘録的読書日記と映画の感想を記しています。
著作権法上、ネタばれしないように書いているので味気ないとは思いますが、こんな本があるのだと興味を持っていただけたら幸いです。


 「死体がなければ犯罪はバレない」そう言って死体を消した犯罪がありましたが、この作品では死体があるのに犯罪がバレていません。

 自殺か他殺かわからない死体があるだけ。

 離れた場所で見つかる死体。

 何年も経過してから見つかる類似の死体。

 一見完全犯罪が成し遂げられているかのように思えますが、綻びは見つかるもの。

 一方から見れば正しいことも、反対側から見れば正しくない。

 どちらの立場に立つかということがあるかもしれないけれど、退職した元刑事が追い続けた事件が解決した時、元刑事の行動が賞賛されるものかどうかはわからない。

 正義感でも義憤でもなく、ただ犯罪者と紙一重の殺戮衝動を合法的に叶えていただけだとしたらこの世はマーダーだらけのような気分になってなんともいえない気分になりました。