日常で利用することはありませんが、都会に行くと乗る地下鉄。
最初に地下鉄を東京につくろうとした人の物語です。
すでに満州鉄道まであって地上を走る電車の経験があった主人公。
ですが組織に属す感じが苦手だったようで、当時のエリート街道から外れていきます。
それでもなお「この国の初めて」を生み出したいという気持ちから「地下鉄」をつくることを思い立ちます。
そのためにまず行ったのは「交通量調査」。
黒豆と白豆を使って今でいうカウンターのようにしてリサーチします。
そしてその結果を持って大隈重信に会いに行く。
東京の地盤は弱いとの思い込みから、地下鉄に現実味を感じない人を説得していく様は、まだまだ新しいことがやれるという熱意を感じさせます。
資本金のために澁澤栄一に面談したり、とにかくあの時代の凄い人たちがボコボコ出てきます。
一朝一夕に成る事業ではないので、関係者の死もあります。
関東大震災を挟んで成された事業の凄さが伝わってきました。
そして言い出しっぺの主人公だけでなく、工事に携わった人たちの思いの強さ、仕事にかける矜持など、熱い作品です。