墓じまいラプソディ:垣谷美雨 | 図書館司書の読書日記

図書館司書の読書日記

こちらは主に備忘録的読書日記と映画の感想を記しています。
著作権法上、ネタばれしないように書いているので味気ないとは思いますが、こんな本があるのだと興味を持っていただけたら幸いです。


 巻頭にふた家族の家系図が載っています。

 どんな家族なのかなぁと読み進めると、地方にお墓のある長男教の家族たちです。

 良妻賢母というか長男の嫁としての人生を全うしたかに見えた姑の遺言は、「婚家の墓に入りたくない」でした。

 同世代の男に比べたら理解のある夫だと自負していた長男教の舅は「それなら生前に言え」と憤慨しますが、そのあたりは本当に自己分析のできていないオトコの発言。

 そこにコブ付き再婚した次男の嫁の非常識発言がバクダンを落とします。ですがこの次男の嫁もなかなか壮絶な家族観を持っていて…。

 娘たちは結婚を考える年頃に自称フェミニストの彼氏の「結婚後は当然俺の名字を選択する」という考えにモヤモヤ。

 ここに「婿養子」にいった長男の悲哀も加わります。

 一度は名字のことで破局した長女、9年経ってお互い未婚、もしかしたら…の匂わせがありつつも、全く根本的考えの変わっていない元カレにうんざり。

 ただ若者が結婚に際して妻の名字を選択する=婿養子と捉えているところが、なんとも…。

 婿養子にならなくても妻の名字を選択することはできるのですよね。そもそも憲法上夫の名字を選択するとは書かれていないのですし。

 戸籍の筆頭者の氏であるだけなので、筆頭者を男にこだわると婿養子が必要になりますが、筆頭者が女でよければ婿養子にはなりません。

 世帯主もそうですが、男でも女でもどっちでも選択可能なのにね。

 フィクションですから少しずつミスリードに思える点がありますが、テーマとしては面白いし、これからどんどん変化していく家族観でもあると思います。

 結局宗教は己の心のうちのことなので「見栄」ですることは本質ではないのですよね。

 改葬にかかる費用の根拠など大袈裟でなく考えておかないといけないことだと思いました。

 埋葬の許可って大切なんですよね。