市井で萬相談所を営む月輪龍太郎が帝大で「犯罪捜査学」なる講義を受け持つことになった。
実際に起きた事件を参考に、推理力を鍛錬する講座。
しかし受講生は3人。彼らは別に推理がしたいわけではなく…。
それでも飄々とした月輪先生は、課題を与えて学生たちを魅了していく。
身分制度が歴として存在する時代、政府要人らとも対等に話す月輪先生の人脈を利用して立身出世を目論む学生。
巻末に明治が終わったあと、かの学生たちがいかなる人生を送ったか推察する文章があり、物語のリアリティを増しているようで、青雲の志を持つ若者が現代にも現れないかなぁ…と思いました。